この夏一番暑かった場所 (前編)

 一週間以上前の話になるのだが、コミックマーケットに行って来た。自分はオタクを長年続けてきてはいるのだが、夏コミに行くのは初めてであった。前から行きたいとは思っていたのだが、まわりにそういうイベントに行ってる知り合いがおらず(ただ単に友達が少ないとも言う)、行くキッカケというものがなかったのである。で、私が大学四年の頃入ってきた後輩がそういうイベントに欠かさず参加している男で、三つ下の後輩であるが私は彼を「先生」と呼びご指導頂いている次第である。

 最初に彼に連れていってもらったのは去年の年末の冬コミであった。ちょうど、ジャンフェスでビックサイトには行った直後だったので、行くのは簡単だと思ったのだが、甘かった。先生の関口君(仮名)曰く、「始発で行くのは基本ッス!東館の方へ並ばされるので、新木場乗り換えは使っちゃダメッス!ゆりかもめで行くッス!新橋駅に朝6時に来てくださいッス!」と指導され、その通りにする。で、当日の新橋駅。言葉を失う。・・・は?東京から非難命令でも出てるんですか?とツッコミたくなる人だかり。しかも、これは新橋からゆりかもめで行く人たちだけである。

 現地について、私は卒倒しそうになる。なんじゃこりゃああああああああ!!!
先生曰く、「今年は人が少ないッス」
ハア?コミケは三日間の延べ参加者が30万人とも40万とも言われており、国内最大のイベントであるとは知っていたが、自分の目で見るとその迫力はハンパではない。しかもこれを見て少ないと言えるとは・・・関口(仮名)先生、只者ではない。

 で、並ぶ。並んでいる間に、先生に中に入ってからのレクチャーを受ける。「では、先輩はこの金でここのサークルとここのサークルに並んで欲しいッス!」
え?でもどの本買って良いのか分らんぞ?「新刊全部ください、と言えば良いッス!」
ほほう、そういうものなのか。って、なんか俺は利用されているだけではないのだろうか。しかし、先生のレクチャーなしでは右も左も分らんので仕方あるまい。

 なんだかんだと話しているうちに会場時間となり、凄まじい人の波に流されながら、私は指示されたサークルへと向かう。とっとと頼まれた買い物を済ませて、あちこち見て回らねばならぬ。ふんふん、このヘンのハズだが・・・あれ?なんか、すごい行列ができてるんですけど。・・・また並ぶんかい!!先生に電話をかけて苦情を言おうかと思ったが、電話がつながらない。どうやらこの近辺に凄まじい数の携帯電話が密集してしまったために、電波が混線を起こして届かないそうである。NTTすらも予測しなかったであろう異常事態が、ここでは普通なのである。

 とにかく、断れない以上並ぶしかあるまい。最後尾はどこだ?って、外まで続いてるやんけ。せっかく中に入れたのに・・。最後尾の人はプラカードを持っていたのでスグ分った。なるほど、分りやすいシステムである。と感心していたら、次にプラカードを持つのは新最後尾の私であるらしい。ちょっと待て。別にそれくらい良いんだけど、この恥ずかしいイラストを掲げろと言うのはどうかと思うのだが。上野あたりでテレクラのプラカード持ってるおっさんより恥ずかしいものがあるのではないか。しかし、ここで私が既存のシステムに異を唱えても始まらぬ。おとなしくプラカードを持って並ぶ。

 周りを見ると、既に買った同人誌を読んで並ぶ時間を潰している人が多いようだ。しかし、最初にここに来た私は同人誌など持ってはいない。コミケの流儀に逆らいたくはなかったが、仕方なくザックに入っていたゴルゴ13を読む。なんか、カナリ浮いているような気がする。

 なんだかんだと指定されたサークルの本を買い漁り、気がつくともう昼が近い。まあ、時間はまだたっぷりあるのだが、疲れちゃったし帰ろうかな・・・と思っていると関口(仮名)先生から電話がある。「本は買えたッスか?じゃ、指定の場所まで来て欲しいッス!本を受け取るッス!」 言われるままに合流する(これもひと苦労だったんだけど)。っていうか、もう疲れたし眠いので今日は帰ろうかと思うんですけど、と話すと「じゃあコスプレ広場に行くッス!あそこに行かないで帰ったらもったいないッス!」との話しであるので、前から興味のあったコスプレを見に行く事にする。

 結果、ハマる。関口(仮名)先生にカメラ小僧の講義を受け、二日目からは自分もカメラ小僧をしていた。っていうかここからカメラ小僧と言う趣味を覚える。後に自分もコスプレする事になるのだけど、それはまた、別の話(CV:森本レオ)。

 っていうか、せっかくコミケに来てるんだから本買わないとしゃーないやんけ!!と思い、うろうろしていたら島本和彦本人の本を偶然見つける。うおおお!!なんで並んでないの?プロの本ですよ?と思ったが、それがコミケと納得し、楽に買えた事に感謝する。

 と、こんな感じで、冬コミは三日間とも参加したにも関わらずパリシとカメ子で終わってしまった気がする(本も買ったけど)。せっかくのオタクの祭典。自分もオタクの一員として、しっかり味あわなければならぬ!!そう言った意味も込めて、夏コミは気合を入れて参加する事にした。

 しかし、この夏コミ、話を聞くと冬コミ以上の過酷さであると言う。確かに、あの凄まじい人と熱気を考えると、冬より夏の方が辛いのは容易に想像がつく。しかし、行かねばなるまい。そして、今度こそサークルをまわりまくり、コミケの真髄まで味わい尽くさねばッ!と思う。

 そして、運命の日がやって来た。今回も関口(仮名)先生同伴で行くが、自分もコミケを満喫するためにパシリはやらぬと伝えてある。今回も、指示通り新橋に6時に行き、気合と覚悟とともにビックサイトへ。・・そこで、私は冬コミを遥かに凌ぐ衝撃を受ける事になるのだが・・・・ちょっと長くなったので、今回はいったん終わる。

つづく (次回は企画モノなので、続きは次々回)

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