高分子の物性 (モノマー、ポリマー、結晶性)

サイトのTOP→理系インデックス
物性のTOP→物性科学 ( 固体、無機、高分子 )インデックス




『 高分子 』 とは、同じユニットがいくつも重合をして々結合した化合物のことである。

『 ユニット 』 は、高分子を構成する基本単位のことである。

『 重合 』 は、ユニットが結合することを意味する。

最も簡単な高分子の例として、ポリエチレンなどが挙げられる。

ポリエチレンの構造は、



そのユニットの構造は、



このとき 「 ポリエチレンのユニットは次のように考えてはいけないのだろうか?」 という疑問が生じるかもしれない。



ポリエチレンの場合、エチレンが重合したものとして考えているので、ユニットは以下のように考えるのが普通である。



ユニットが3個結合したものを 『 重合度3 』 といい、ユニットが100個結合すれば 『 重合度100 』 という。

どれくらいの重合度になると、高分子と呼ばれるのか?

実は、重合度によって以下のように名称が変化する。

@ 1つのユニットを 『 モノマー(単量体) 』 と呼ぶ。ポリエチレンのであればエチレンがモノマーに該当する。

A ユニットが2〜100程度 ( つまり重合度が 2〜100 程度 ) まで連なったものを 『 オリゴマー 』 と呼ぶ。

B ユニットが100以上 ( つまり、重合度が 100 以上 ) 連なったものを 『 ポリマー(高分子) 』 と呼ぶ。

すなわち、高分子であるためには、重合度は100以上必要だということになる。

ただし、厳密に境界線が決められているわけではない。

重合度が大きくなると物性はどのように変化するのか?

基本的には、沸点や融点が上がり、強度が強くなっていく。

ポリエチレンを例に挙げると、概ね下表のようになる。



表中に 『 分解 』 と書かれている。これは融点に達する前に、共有結合が切れて物質が分解してしまうことを意味する。

また、表によると、ポリエチレンは重合度が1から10に増えると融点に劇的に上昇しているが、重合度100から1000に増えても融点はあまり変化していない。

これはポリエチレンだけでなく、他の高分子にも見られる特徴である。

ある程度分子量が大きくなってしまうと、融点は飽和に達し、それ以上はあまり大きくならない。

高分子の分子量と融点 Tm の関係を概略図に示すと、



上図では分子量の大きい領域では融点 Tm が枝分かれしているように見える。これは融点に幅があるということを意味している。つまり、分子量の大きい領域では融点がはっきりせず、不明瞭になってしまうので図のような表現方法を用いるのである。

融点が不明瞭になる原因は、簡単に言うと、分子量が大きい領域では結晶が不完全になるからである。

高分子の融点はどのような因子によって決定されるのか?

A 融点を Tm とすると、下式のように表される。



ΔH を決める因子は分子間力である。まとめると、

@ 分子間力を強くする極性基の数が多い
A 立体的な規則性が大きい
B 高分子の分岐が少ない

@〜Bの傾向が強いほど、ΔHの値が大きくなり、融点が大きくなる。

ΔS を決める因子は分子の柔軟性である。まとめると、

C 高分子中における主鎖の自由回転が制限されている
D 分子の対称性が大きい

C〜Dの傾向が強いほど、ΔSの値が小さくなり、融点が大きくなる。

例えば、同じポリエチレンであっても、『 分岐の少ないエチレン 』 と 『 分岐の多いエチレン 』 では融点が異なる。分岐の少ないエチレンの方が融点が大きいのである。

他にも、ポリエチレンとカプトン(商品名)を比較してみよう。



カプトンはエチレンに比べると、高分子の主鎖の回転が制限されている。( 主鎖が回転しても、高分子全体としては曲がることができない。柔軟性が低い )

つまり、ΔSが非常に小さいので、ポリエチレンに比べると融点が高くなる。

このような高分子をエンジニアリングプラスチックと呼ぶ。

高分子の(物性としての)強度と分子量の関係はどのようになっているのか?

下図のようになっている。



図によれば、高分子は分子量がある値 ( Ms ) を超えると、物性としての強度が飽和状態になる。

それ以降は分子量が増えても、ほとんど強度が変化しなくなることがわかります。

先の説明にあった Ms はどのような条件で決まるのでしょうか?

Ms の大きさは高分子の結晶性に依存する。

高分子の鎖と鎖の分子間力が強いと結晶性を示し易く、Msの値が 『 小さく 』 なる。

つまり、少ない分子量で強度が飽和に達する。

具体的に、『 ナイロン66 』 と 『 ポリスチレン 』 を比較してみよう。

Ms は分子量だが、ここでは分かりやすいように重合度で考える。

これを強度飽和重合度と呼ぶことにする。

ナイロン66の強度飽和重合度は約200、ポリスチレンの強度飽和重合度は約3000である。

なんと、ナイロン66は200個モノマーが連なるだけで飽和強度に達するのに対して、ポリスチレンは3000個のモノマーが連ならなければ飽和強度に達しない。

その理由を考えるために、各高分子の構造を下に示す。

ナイロン66


ポリスチレン


ナイロン66 の構造の中には極性基がある。

ナイロン66の高分子鎖がいくつも並ぶと、高分子鎖の間で強い分子間力が働き、全体として強い結晶性を示す。これにより、ナイロン66 は少ない重合度で飽和強度に達するのである。

一方、ポリスチレンの高分子鎖には極性基がない。

しかも、主鎖ではなく、側鎖にベンゼンがある。

このベンゼンが立体的に大きな障害となるため、高分子鎖同士が近付くことができない。

よって、分子間力も弱くなり、ポリスチレンは結晶性を示すことが難しくなる。

飽和強度に達するためには鎖を長く ( つまり重合度を大きく ) しなければならないのである。












サイトのTOP→理系インデックス
物性のTOP→物性科学 ( 固体、無機、高分子 )インデックス