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クラシックレコード業界初のフランス−ロシアの合弁企業として1990年に登場したのが、「セゾン・リュス」です。このレーベル名が、今世紀初頭にパリで一大センセーションを巻き起こしたディアギレフの公演に因んでいることは言うまでもないでしょうが、日陰者扱いされているロシア音楽愛好者からは、このレーベルの登場は三顧の礼をもって熱狂的に迎えられたのです。
1994年に販売された、「セゾン・リュス」のCD付きカタログには、このレーベルが扱う音楽として次のようなものが挙げられております。
・ロシアの宗教音楽
・有名作曲家の知られざる作品
・忘れられた作品の発掘
・1920年代のいわゆるアヴァン・ギャルド系作品
・現代音楽
リムスキー=コルサコフの作品は2つ目の項目に該当するものとして、《クリスマス・イブ》、《不死身のカシチェイ》のレア・オペラや、「歌曲集全集」がカタログ解説中に例示されていましたが、リムスキーに限ったとしても、確かに「有名作曲家の知られざる作品」を世に送り出した功績というものは賞賛に値するものだったと思います。
このレーベルでは、誰かの趣味なのかどうかは不明ですが、リムスキーは割と「えこ贔屓」されていた作曲家だったようで、チャイコフスキーの知られざるオペラ(例えば《オプリーチニク》《チャロデイカ》など)は、結局録音されることがなかったという事実をリムスキーのそれと比較するとその差は歴然としています。
そしてこの「セゾン・リュス」レーベルの輝かける第1作として登場したのが、他ならぬリムスキーの《クリスマス・イヴ》でした。これは後に対訳付き国内盤としても販売されましたので、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。とてもクラシックとは思えない(本当に思えないのです。ノンサッチあたりといい勝負か)、味のありすぎるデザインをまとってタワーレコード心斎橋店に置かれていたのを見つけた時の衝撃(と混乱)は今でも忘れることはできませんね。
さてこのレーベル、近年は業績不振のためか、以前とは違ってロシア音楽でも割とメジャーなものを出すようになってきて、あの(まさしく「あの」と言いたくなるような)独特のジャケットデザインも鳴りをひそめて、すっかり常識的になって迎合路線をとりつつあるようでした。資本主義社会ですから売れなきゃ仕方ないのは当然ですが、私にはちょっと残念な方針転換でした。
そんな時に「セゾン・リュス」から突然リムスキーのカンタータ集が発売されて、かつてのこのレーベルに対して感じたヨロコビというものを久々に味わったのも束の間、今度は「セゾン・リュス」が無くなってしまうとの衝撃情報が!
詳細は不明ですが、事実とすれば、とても残念!
このレーベルからはぜひ《パン・ヴォエヴォーダ》や《セルヴィリア》といった未だCDになっていないオペラや(《セルヴィリア》はレコードでも全曲盤が無い)、合唱曲集を出してもらいたかったのに、もうこの「セゾン・リュス」のようにあからさまにリムスキーを贔屓にしてくれるレーベルはなく、また今後登場するとも思えないので、その喪失感は計り知れないです。
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