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15 《金鶏》のピアノ編曲版の話

オーケストラの曲をピアノアレンジで聴くのもまた一興です。単一の音色で(といったら怒られるでしょうか)演奏されると、オケよりも和音がくっきりとあざやかになって、気付かなかった発見をすることもしばしばです。


またまた出張のついでに東京で楽譜漁りです。

今回の重点攻略目標は銀座のヤマハ。私は東京に住んでいたこともありましたが、この店へ行くのは実は初めてです。というより存在自体を知りませんでした。正確にいうと、銀座のもっと賑やかな方に「山野楽器」というお店があって、私は今までずっとこちらがヤマハだと勘違いしておりました。

さて、銀座店は全国のヤマハの総本山(たぶん)ということもあって、在庫も豊富だろうと期待が高まります。実際行ってみると地階フロアがまるごと楽譜・書籍関係となっております。さすがに総本山(たぶん)だけあって、品揃えはピカイチです。

リムスキー=コルサコフ関係ではなぜか《金鶏》関係が充実していて、オイレンブルグの管弦楽組曲ポケットスコアは当然として、この組曲のピアノ4手編曲版と「序奏と結婚行進曲」のピアノ2手編曲版、とどめはオペラのヴォーカルスコアまであるという至れり尽くせり状態でした。

《金鶏》の管弦楽抜粋は4曲からなる組曲が有名ですが、作曲者自身の手によるものは「序奏と結婚行進曲」(1907年)です。リムスキー=コルサコフ自身、「序奏と結婚行進曲」をベースに拡大した組曲にするつもりでしたが、1908年に死去してしまったために、作曲者の意図にしたがってグラズノフとシテインベルクが4曲の組曲に仕立てたということになっています。2人が実際にどのように関与したのかまでは不明ですが、CDなどには必ず編曲グラズノフ・シテインベルクと書かれていますよね。《キーテジ》組曲の同様の経緯です。

この「序奏と結婚行進曲」のピアノ編曲版があるということは文献で知っておりましたが、現物を見るのは初めてです。

一方の組曲の4手編曲版があるということは今回新発見。4手版の編曲は作曲者自身ではなくてチェルノフによるものです。チェルノフなる人物がどういう人か寡聞にして存じませんが、リムスキー=コルサコフの交響曲第1番(1884年改訂版)について、当時出版された楽譜の表紙には「4手編曲版:チェルノフによる」と書かれていることから、リムスキー=コルサコフと同時代の人物で、ひょっとしたら彼の弟子だったのかもしれませんね。

今回入手した「《金鶏》組曲」ピアノ4手編曲版と「序奏と結婚行進曲」ピアノ2手編曲版はきちんとした製本ではなくて、両面コピーを閉じただけのチャチな体裁で、ところどころに切り貼りした線がうっすら残っているというようなひどいものです

特に「序奏と結婚行進曲」はどうもヴォーカルスコアを適当に切り貼りしたようで、「序奏」の部分には占星術師のパートも掲載されたままになっていたりします。

こんなものでもいっぱしの値段で売られているということは、局地的にせよそれなりに需要があるからなのでしょうね。

 

 


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