ホーム漫筆 > 19 サックス四重奏のスケルツォ

19 サックス四重奏のスケルツォ


CDショップの吹奏楽コーナーでたまたま手にとった『ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の芸術』(なんとvol.18!です)のボトムジャケットを見ると、曲目の中に「スケルツォ(リムスキー=コルサコフ)」とあるではありませんか。

リムスキー=コルサコフの交響曲などに「スケルツォ」と呼ばれる曲(楽章)はありますが、少なくともここに記されているように「スケルツォ」と題されただけで「ああ、あの曲ね」と一般に通用するような作品ではありません。どうもサックスの四重奏で演奏されているようですが、いったいどの曲を指しているのかさすがに見当もつきませんでした。

となれば購入あるのみですが、ここで苦い思い出が一つ。ずっと昔ですが、「リムスキー=コルサコフ作曲パヴァーヌ」なる作品が収録されているCDを買ったところ、聴こえてきたのはあのラヴェル作曲の有名な旋律。要するに単なる誤記だったわけで、今回もひょっとしたら...?という思いが駆け巡ってきました。とは言え、これは天下の東芝EMI様のリリース、しかもボーナス直後という懐事情も加わってレジ直行です。

店を出てから早速ブックレットを見てみると、弦楽四重奏曲へ長調作品12の第3楽章のスケルツォとありました。マイナーな作品ですが、オリジナルの弦楽四重奏の演奏でCDも2種類ほどリリースされていて、私も大好きな曲です。今回買ったCDにはこの曲をサックス四重奏にアレンジしたものが収録されていることがわかりました。

それにしてもこれが録音されたのは何と1930年代!リムスキーが亡くなってまだ20年あまりしか経っていない頃です。こうした時期に、今では忘れられていると言ってもよい超マイナー曲が、サックス四重奏にアレンジされて、(多分フランスで)レコーディングされていたという不思議な巡り合わせには、ちょっとびっくりですね。

このCDはマルセル・ミュールという有名な(らしい...)サックス奏者の演奏を収録したものですが、彼が結成したサックス四重奏団にいろいろな作曲家達が作品を提供していたんですね。あのグラズノフの有名なサックス四重奏曲もその一つのようです。そう言えばグラズノフは革命後のロシアを捨ててパリに亡命していました(念のために三省堂の『クラシック音楽作品名辞典』のグラズノフの項を見てみると「1928年よりプラハに移住」とあります。これも誤記ですか??)。そうした時期にミュールはグラズノフから直接「この作品をやってみると面白いよ」とリムスキーのスケルツォを紹介されたのかもしれませんね。本当に面白い巡り合わせです。

 

 


ホーム漫筆 > 19 サックス四重奏のスケルツォ