P.1
クライエント中心療法

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P.1 それまでのカウンセリング(セラピィ=心理療法)との違い
なぜクライエント中心療法か?
P.2 カウンセラーに求められる条件とは?
共感的理解は学識とは別の分野の能力?
P.3 その後の評価と発展

それまでのカウンセリング(セラピィ=心理療法)との違い

1942年、カール・ロジャースは、それまで主流となっていた精神分析的
カウンセリングに疑問を呈しました。

当時行われていた
「解釈、暗示、忠告」などと
いったカウンセリング技法は、
根本的な援助にならない」
と批判したのです。

心理療法(サイコセラピィ)は
生きた人と人との相互作用であり、悩める患者と彼がどうすべきかを知っている専門家との神秘体験ではないといっています。

「解釈、暗示、忠告」といった技法は、クライエント(相談者、来談者又は依頼者)に依存心を起こさせ、問題が起こるたびにセラピィが必要になるという結果を招き、どんなに柔らかであろうと、外から(他人が)解決策や解釈、説明を押し付けることは効果的な援助とはいえないと強調しています。

そして、それまで専門家と患者で行われていた密室の体験を、初めて治療関係
として録画・録音し、それまでなかった客観的検証を可能にしました。


彼のカウンセリング理論は
「個人は自ら成長、健康、適応への衝動を持っている」
という生物学的仮説を基本理念としています。
だから、必要な心理的条件さえ与えられれば、
クライエントは自分自身で答えを見つけ出していく能力があるというのです。

カウンセリングの目的も、それまでのような表面的な問題解決型とは違います。
カウンセラーの役割は、もっと本質的な、クライエントが
「自分自身になれる、自分自身でいられるように個人の成長を援助する」
ことにあるというものです。


植物は種子が育つのに必要な土壌の要素が揃っていれば、芽は自然に伸び成長します。どこまで伸びるかは本人が決めますが、これが自己実現といわれるものです。この土壌にあたる心理的雰囲気を作るの
カウンセラーの
役目
いうわけです。

なぜクライエント中心療法か?


ロジャースは、それまでの知的、専門的優位性を背景に「医者と患者」「親と子」
「教師と教え子」のような上下関係にたつ権威者的アプローチを否定しています。
カウンセラーとクライエントは、対等な立場であるべきだと唱えています。
権威的になることを恐れたからか、カウンセラーの資格制度などには
反対だったようです。


そして、「カウンセリングの主体はあくまでクライエントである」という意味に
おいて、彼の唱えるカウンセリングのアプローチを
「クライエント中心療法」(初期には非指示的カウンセリングと呼ばれた)と
呼んだのです。
相談者を患者と呼ばずに「
クライエント(相談者、来談者又は依頼者)」と
いう言葉を使ったのも彼が初めてでした。



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おすすめ新書
カール・ロジャース
ブライアン・ソーン著
上峰洋一・岡村達也
林幸子・三國牧子訳
諸富祥彦監訳
    定価 1800円
 発行:コスモス・ライブラリー

ロジャーズの晩年の10年間ともに仕事をしてきた著者が、
傍らで観てきたその人となりや生涯と仕事について述べている。
「静かな革命者」と呼ばれるロジャーズが多くの敵をうむ背景やその批判の中にも重要な問題が提起されている点なども指摘している。
そして、後年ロジャーズがたどり着いたスピリチュアルな世界についても触れている。
テキストの中だけでしか知らない学徒にもおすすめの一冊である。

ロジャース学派の現在
現代のエスプリ」別冊
編集 村山正治
定価 2476円
発行:至文堂
パーソンセンタード・アプローチの
世界の動向(シンポジュームなど)やロジャーズ学派の独自性や今後の発展についての座談会の模様を紹介。
また、ロジャース学派の専門性やわが国での展開など、生誕100年を記念して論評からエッセイまで、学者・臨床家の面々が稿を寄せており、百花繚乱の観がある。 

参考文献(訳者敬称省略)
書籍名 著者又は訳者名 出版社名
ロージァズ全集 1巻〜23巻 村山正治、友田不二男、佐治守夫 岩崎学術出版社
畠瀬稔、伊藤博、児玉享子 他編・訳
ロジャーズ選集 上・下巻 H・カーセンバム/V・Lヘンダーソン編 誠信書房
伊藤博・村山正治監訳
ロジャーズ再考 村山正治・氏原寛共著 培風館
パーソンセンタード・カウンセリング 伊藤義美訳 ナカニシヤ出版
パーソンセンタード・カウンセリングの実際 ディブ・メァーンズ著 岡本達也他訳 コスモ・ライブラリー
人間尊重の心理学 畠瀬直子監訳 創元社
プリセラピィ ゲリープラゥティ著 岡村達也・日笠摩子訳 日本評論社
クライエント中心療法と体験過程療法 村山正治・藤中隆久編 ナカニシヤ出版
フォーカシング指向心理療法 上・下巻 村瀬・池見・日笠 監訳 金剛出版
ロジャース学派の現在 村山正治編集 至文堂
エンカウンター・グループ 畠瀬稔・畠瀬直子監訳 創元社