BACK

UPDATE 2002.10.26
ヤフーオークション研究(短報)
「サッカー日本代表対アルゼンチン戦チケットの売買の解析」
第三報

川越シマリス研究所 所長
はじめに

 10月20日のアルゼンチン戦のチケットの一般販売の当日から、ヤフーオークション(以下ヤフオク)にはアルゼンチン戦のチケット、そしてチケットを購入出来る権利である「予約番号」の出品があふれました.
 翌21日も前日の発売日と同様にヤフオクへの出品の主体は、チケットの購入権利である「予約番号のみ」の取引であり、極めて数多くの取引が行われました.そしてこの21日には、売り手市場であったヤフオクの相場はついに崩れ、相対的な供給過多による落札価格の低下に至りました.
 また次の22日の夜には、出品の過多と入札者のアクセスの増加によりヤフオク側がビジーの状態となってしまい、それまでには無い低い価格帯での取引が相次ぎました.
 予定ではこの第三報は、21日と22日の2日間の取引を解析する予定でしたが、この2日間の出品(の終了)数が極めて多かったこと、両日の傾向がそれぞれ異なること、また各日の取引の解析をより精密に行うため、両日を24時間の単日に分けて報告することにしました
 また速報性を高めるため、今回と次回は、結果のみを主体とした「短報」としてお届けすることにしました.
 それではアルゼンチン戦チケットの一般発売翌日である21日のヤフオク上の全取引をご覧下さい.


対象と方法

 現在出品中のヤフオクの代表戦(対アルゼンチン戦)のチケット・オークションを全てウオッチリストに記録する.それぞれの出品のオークション終了後にその落札価格と終了時間を記録する.また説明のあるものは商品の詳細、座席の位置、取引の方法などを記録する.
 観察期間は、先行予約開始後の10月11日から試合当日の11月20日の朝までである.
 本報告はの第三報(短報)である.本報では、10月21日分(10月21日の朝6時から翌22日の朝6時まで)の落札データを集計した.また「予約番号」の取引が多いため、「(A)チケット(実券)の取引」と「(B)予約番号のみの取引」の二者に分けて検討している.


結果と考察

10月21日分の「日本代表vsアルゼンチン戦チケット」落札の集計(速報)

(A) チケットの取引
Fig.1
 10月21日午前6時から22日午前6時までの全ての取引を集計しました.グラフは縦軸が金額(全てペア=2枚の価格)、横軸が時間を示します.前回までと異なり時間は6時から翌6時の表示になっています.グレーのポイントは前回まで(10月11日から20日まで)のデータです.なお、1枚のみなど、2枚以外での取引のものは全て2枚に換算して計算しています.

 21日に終了を迎える出品は、大半が「予約番号のみ」の出品であり、その多くが業者、または「ほぼ業者」の出品でした.またチケットの出品の方は、先週までの先行予約によってチケットを手にされた個人(業者ではない)方の出品が大半であり、この個人の出品数の急増により、オークションはこの日「予約番号のみ」の出品の増加から、大変な賑わいを見せました.

 まずカテ1での取引状況ですが、Fig.1を見てわかる通り、明らかにこの日の相場が下がっています.
 ペアで40.000円以上の値をつけているのは、前段の良席のみであり、普通の席、上段の席は軒並みペアで40.000円以下になっています.前日までと比べ、カテ1は平均して約15.000円の下落です
Fig.2

 カテ2も同様に全体的に下がっています.この日は圧倒的に「予約番号のみ」の取引が多く、全体的にチケットの取引は少なかったのですが、このカテ2は全体の中でも特に少ないものでした.
 ペアで40.000円以上の高値をつけたのはわずかで、ピッチに近い良席での落札価格の低下が目立ちました.前一桁の良席でも前日までに比べてペアで10.000円以上の下落です.
 またカテ1とこのカテ2で極端に安い落札価格の取引がありますが、これは1枚のみの出品、あるいは2枚の出品でも席が離れた、通称「ハナレ」と呼ばれる出品でした.

Fig.3

 カテ3でも相場の下落が見られます.先週まではペアで30.000円以上が当たり前だったのですが、この日、30.000円以上を付けた出品は、バックスタンド前段(下段)のさらに前列の出品のみです.
 極端に高い取引が1件のみありますが、これはピッチが眼前の2列目の席でした.これのみペアで51.500円の値を付けています.
 またFig.4を見てもらえばわかりますが、前回までと同様、カテ3の相場がカテ4とかなりクロスしています.これはカテ3に人気が無いというよりも、カテ4に異常な人気があるという理由によるものです.

Fig.4

 カテ4は相変わらずの人気です.Fig.4を見て頂ければ判るかと思いますが、他のカテと比べて同じカテ4の中でも落札価格にかなりの差があるのが判るかと思います.
 カテ4は特に席の位置による価格差が大きく、下段の前列(18列より前)は異常な人気です.
 この日、ペアで40.000円以上の取引を見せたのは、最前列(ペア63.000円)、2列目(ペア56.000円)、10列目(ペア57.000円)での取引でした.但し、相場そのものはこの日下がっており、この前列での取引でも昨日までと比べて平均で15.000円程度値を下げてます

(B) 予約番号のみの取引
Fig.5
Fig.6
Fig.7
Fig.8
 予約番号のみの取引もチケットの取引と同様、グラフは横軸が時間(6時から翌6時)を示します.予約番号1件でチケット4枚を発券出来ますので、縦軸はその1件の金額(チケット4枚を購入出来る)になっています.グレーのポイントは前回まで(10月11日から20日まで)のデータです.また2枚の購入権利など4枚以外での予約番号の出品は全て4枚に換算して計算しています(Fig.5〜8).

 この日、21日の「予約番号のみ」の取引は、発売開始日であった昨日と同様かなりの数に上りました.
 この「予約番号のみ」の出品は、これまでのウオッチでも業者、あるいは「ほぼ業者」の方によるものがほとんどでしたが、20日の出品もまた同様で、業者、また「ほぼ業者」の方による出品が圧倒的でした.
 カテ別の出品数の内訳は、カテ1が43件(前日37件)、カテ2が34件(同57件)、カテ3が67件(同65件)、カテ4が33件(同111件)でした.
 また出品の終了時間も、21時から夜中の1時にかけてに集中していました.昼間の出品は数件のみです.ほぼ全てが夜に終了となっています.なかでも23時から1時までの、たった2時間の間の出品(の終了)が圧倒的数であり、全てのカテでそのようになっています.
 業者の方々はこの時間帯に終了するように狙って、発売前日までに「予約番号」を準備出品していました.恐らく夜11時以降のこの時間が入札者のウオッチが多いだろうという読みなのでしょうが、その思惑とは裏腹?に、この日の落札価格は前日と比べてかなり下落するという結果になりました.
 明らかな下落はFig.5〜8からも判るかと思いますが、概算で、カテ1ペアで15.000円、カテ2ペアで10.000円強、カテ3のペアで10.000円弱、人気のカテ4でもペアで平均で5.000円弱ほどの下げとなっています.
 またこの日の落札価格は、見事に時間を追って右下がりになっています.あまりに短時間に大量の出品(の終了)となっているために、競争が起こらず、入札が分散化したものと思われます.
 また前日までと同様、カテ4は「予約番号」でも相変わらず人気が高く、平均落札価格がカテ3よりも高くなるという皮肉な現象を生んでます.
まとめ

 10月20日のアルゼンチン戦のチケット発売日から一夜空け、ヤフオク上のチケットの取引はこれまでの売り手市場から買い手市場へとやや移行して来ています.しかしそれでもまだ定価よりもかなり高い相場であり、ほぼ全ての出品が落札されていることから完全な買い手市場とは言えません.確かに暴落とまでは言えませんが、それでもこれまでの高値の傾向からすると、だいぶ割安感が生まれています.
この傾向は特に夜間の、いつもであれば落札価格が上昇する時間帯で競争が起こらなかったためであり、特に夜10時以降で大量の「予約番号のみ」の出品終了があったため、チケットの取引もそのあおりで入札が集まらなかったのが理由です.供給過多による落札価格の下落です.

 またこの翌日(22日)には前回の第二報でも書きましたが、先週の相場からは考えられないような一時的な落札価格の低下を認めています.22日もこの供給過多の状態が続き、特に21時50分から23時の時間帯で考えられないような出品終了の集中がありました.またこの時間、入札者のアクセスも集中し、ヤフオクが何度か全くビジーになってしまう瞬間が数回ありました.そしてこの時間には入札さえも拒否される(入札したはずなのにそれが無視される)という事態が起こったのです.そのため幾つかの出品が最後の入札競争を経ず、そのまま安値で落札されたのでした.

 当初の予定では21日と22日をまとめて報告する予定でしたが、この22日の夜に見られた「異常事態」は分単位の瞬間的なものであり、これを詳細に解析するためには単日報告にした方が分かりやすいと判断した次第です.
 今回は短報という形でお届けしましたが、速報性を高めるため、次回も短報として22日の解析を行いたいと思います.

 この原稿を書いているのは25日ですが、23日以降、アルゼンチン戦チケットの落札相場は再び上昇傾向をみせています.21日から23日までの相場の下落は出品数の増加(供給過多)が原因でした.出品数は徐々に減って来ており、そのため相場はまた上昇して来そうな気配です.
 また引き替えの締切の関係で今週でほぼ「予約番号のみ」の取引は終了するため、今後は新たなチケット相場が形成されそうです.


追 記

 本検討はアルゼンチン戦チケット売買の第三報(短報)です.前回までの速報(第一報、第二報)もあわせてご覧頂けると幸いです.
 今後、定期的にアルゼンチン戦チケット売買の状況に関する研究成果を提供して行きたいと思っています.(所長)


「後 記」
 研究のため、全ての出品をウオッチリストに入れています.ウオッチリストは数日で満杯になってしまいます.ですからそれぞれの出品をひとつひとつ記録した後、リストの一覧から削除して行かねばなりません.その数は膨大であり、特にここ数日の出品数は尋常では無いですから大変です.
 日々ウオッチリストに入れる作業で数時間.記録するのに半日.また解析してアップするのに半日かかります.昼間は仕事のため主に夜間に作業を行うのですが、この二週間、おかげで徹夜の毎日です.バイトを頼みたいくらいです.(笑) 

 既にこのHPのウオッチ数はこの二週間足らずで30万になろうとしています.更新後は数時間で万単位のアクセスが来ます.苦労はいろいろと多いのですが、このHPを開設後、非常に多くの励ましのお声をいただきまして、この研究が皆様のお役に立てばと思い日々頑張っている次第です.
 しかし、ウオッチリストに件数の制限があることを今回初めて知りました・・・.(所長)