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Jack Higgins の街角を探す Rodonジャーナル Vol.195 |
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中央のマス 左上にある路地が「ダウニング街」
最寄りの地下鉄はウエストミンスター駅
この人だ。
以前は10番地の前(歩道)まで、見物人は入ることが出来た。
しかし現在は、ダウニング街の入り口に黒い鉄の門が設けられ、ここからの進入は不可能だ。
”鉄の女” Matgret Thatcher女史(1979〜1990)によって、この門は建てられた。
ひょっとすると直接のきっかけは、マーティン・プロスナンが彼女へ届けた、一輪の薔薇だったのかもしれない。

陽が射している右側奥 黒い平面的デザインの建物(ジョージ王朝様式)に10番地はある
翌朝、ダウニング街十番地の表でファーガスンが車から降りた時は雨が降っていた。 首相との十一時の面会時間までまだ十分あった。 車がすぐさま走り去ると、ファーガスンは歩道を横切って入り口に向かった。 道路の向こう側に、雨にもかかわらず、見物人が一かたまりいた。 ほとんどが観光客で、巡査二人が歩道からはみ出さないよう整理していた。 もう一人、巡査がドアのそばの定位置に立っていた。イギリスでもっともよく知られた住所であり、 政治権力の座であると同時に首相の住まいでもある場所にしては、きわめて手薄な警備であるが、 ファーガスンが熟知しているように、そんなことは問題ではなかった。 (中略) 二階に上がる主階段の壁に歴代の首相の肖像がかかっている−ピール、ウェリントン、ディズレイリ、 グラッドストゥン。ファーガスンはこの階段を上がるたびに歴史を肌身に感じたが、現首相と会うために 上がって行くのは今回が初めてである。女性に状況説明をするのはこれが初めてだが、 それも非常に頭脳明晰な女性である。全く新しい経験だ。しかし、とくに特異な状況ということではない。 ヴィクトリア女王は何回となく命を狙われた。 『テロリストに薔薇を』(菊池 光:訳 早川書房) |

この階段や廊下を、ファーガスン准将は幾度となく歩いたのかもしれない
二階の廊下で案内の若者がドアの一つをノックし、開けて、ファーガスンを中へ送り込んだ。 「ファーガスン准将です、首相」と言い、ドアを閉めて立ち去った。 今の書斎は、ファーガスンが記憶していた部屋より優雅で、薄緑色の壁、金色のカーテン、 ゆったりした感じの家具など、この上なく上品である。 しかし、その部屋の中で何にもまして優雅なのは、机についている当の女性であった。 襟に白いレース飾りのついたブルーのスーツが金髪と見事に調和している。 世の中のことを知り尽くした優雅で容姿端麗な女性であるが、 読んでいた書類からファーガスンに視線を移した目は厳しかった。 『テロリストに薔薇を』(菊池 光:訳 早川書房) |

『テロリストに薔薇を』が出版された1982年当時の住人、「鉄の女」マーガレット・サッチャー女史
「そのことは一応おくとして、あなたはプロスナンに嘘をいった、彼を騙した、 そのために、彼は、あなただけでなく、あなたを通じてわたしを恨んでいる。 一昨日、あなたに電話をした時、彼があなたに告げた状況は、だいたいそういうことだ、と考えていいのね?」 「そうです。首相。正確にいうと、彼がいったのは、”誰かが代償を払わなければならない。今度の場合は、 自分が直接レイディに対処する”でした。そういって電話を切ったのです」 首相は、恐れている様子など全くなく、きわめて平静にうなずいた。 「彼は私を暗殺するつもりでいるのかしら、准将?」 「なんともいえません。かなり複雑な考え方をする男です」 『テロリストに薔薇を』(菊池 光:訳 早川書房) |

Pillared drawing Room
サッチャー女史が、秘書や掃除夫など、スッタフの為にクリスマス・パーティを開くのが、ここピラード・ルームだ。
プロスナンは、難なくここへ入り込む。
首相が驚いて顔を上げた。「いったい、何をもってきたの?」 プロスナンは口中がからからになり、胸がどきどきし、背中にくいこんでいるスミス・アンド・ウェッソンを 痛いほど意識していた。彼が、低い、ややかすれた声で言った、「シャンパンでございます」 「シャンパンを頼んだ覚えはないわ」 「給仕頭が、グラス二つといっしょに持ってくるよう、命じたのです。とくに、グラスを二つ、と注意しました」 「グラス二つ」首相がとつぜん微笑した。 「わかったわ。そこのテイブルにおいておいて」 また何か書き始めた。小さなコーヒー・テイブルに盆をおいた時、プロスナンの額に汗が浮いていた。 体をおこすと、首相の方を見ながら上衣の下に手を入れて拳銃に触れた。三秒で終わる。 彼女にとっては終わりだが、自分の方は終わらない。いったい、終わることがあるのだろうか? プロスナンは、テイブルの端のクリスタルの花瓶に何本もバラが挿してあるのに気づいた。 茎の長いクリスマス用の白いバラ。 「ほかにご用はございませんか?」 「ないわ、ありがとう」心持ちいらだたしげな口調だった。 プロスナンが胸をどきどきさせながら、花瓶からバラを一本抜き、銀盆の二つのグラスのそばにおく間も、 首相は書類仕事を続けていた。 彼は、ドアを開けて外に出ると、ソーッとしめた。 『テロリストに薔薇を』(菊池 光:訳 早川書房) |

午後7時過ぎのダウニング街 中央に車止めが置かれた

John Major氏(1990〜1997)
この前入った時には、この書斎は女性の部屋で、まごうかたなき女性らしさが漂っていた。 しかし今は雰囲気が変わって、どことなく以前より質朴な感じがすることにファーガスンは気づいた。 外がみるみる明るくなっていく中、ジョン・メージャーはペンを素早く動かしながら、何かの報告書を点検していた。 「申し訳ないが仕事を続けさせてもらうよ。すぐ終わるから」首相が言った。 その気配りにファーガスンは驚愕した。国家の指導者にはあまり見られない礼儀正しさであった。 メージャーは報告書に署名して机の片側におき、椅子の背にもたれた。 銀髪、角縁眼鏡の、二十世紀でもっとも若い首相の人好きのする顔がそこにあった。 「どうでした? 用件は何でしたか?」 「なに、フランスでの事件だ」ファーガスンが、奇妙にも心ここにあらずといった声で言った。 「あれだよ、きみ、今度の首相もなかなかやる男だよ」 『嵐の眼』(黒原 敏行:訳 早川書房) |
そして彼が在任中、現実に起きた英国首相官邸砲撃事件は、湾岸戦争さなかの出来事だった。
1991年2月7日木曜日午前10時、 戦時閣議が開かれているダウニング街10番地に迫撃砲による攻撃が加えられた事件は、 すでに過去の歴史となった。 この事件に関してはいまだ充分な説明がなされていない。 しかし、もしかしたら次のようなことが起こったのかもしれない・・・・・・。 『嵐の眼』(黒原 敏行:訳 早川書房) |
「歴史秘話モノ」得意のヒギンズらしい、こんな書き出しで始まるのが『嵐の眼−EYE
OF STORM』。
お馴染みの登場人物達が、90年代のロンドンを動き回る。
