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Jack Higgins の街角を探す Rodonジャーナル Vol.195 |
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キャヴィンディッシュ・スクェア − Cavendishi Square −
地下鉄「オックスフォード・サーカス駅」と「ボンド・ストリート駅」の中間。
メルボーン地区の、「オックスフォード通り」(OXFORD St)と平行して通る、
ウイグモア通り(WIGMORE St)の一画にあるのが、「キャヴィンディッシュ・スクェア」だ。
ヒギンズの読者なら、必ず知っている住所。
そう、ここが英国国防情報本部(DI5)第4課(グループ・フォア)の責任者、煮ても焼いても喰えないジイさん、
チャールズ・ファーガスン准将のフラットがある場所だ。

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1972年に国防情報本部長が、首相の支持を得て、第4課として知られる課を設けた。 第4課は、時の首相から直接権限を委ねられて、 テロや破壊活動全般に関する対策を統轄することになっている。 10年たった今も、責任者は相変わらずチャールズ・ファーガスン准将である。 体が大きく、一見したところはいかにも柔和な顔つきの男で、 軍人としての経歴をわずかなりとも示しているのは近衛連隊のネクタイだけである。 好んで着るグレーのスーツはしわだらけで、半月形の読書用眼鏡をかけ、 半白の髪がもじゃもじゃになっている姿を見ると、どこか田舎の大学の教授のような印象を受ける。 『黒の狙撃者−CONFESSIONAL』(菊池 光:訳 早川書房) |

「キャヴィンディッシュ・スクェア」 木立の向こう あのフラットは怪しい
ファーガスンが午後のお茶を飲みながら外を眺めているはずだ
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国防情報本部にオフィスはあるが、 彼はキャビンディシュ・スクェアのアパートを本拠に仕事をする方を好む。 インテリア・デザイナーである次女のエリイがアパート全体の内装をしてくれた。 アダム様式の暖炉は本物であるし、燃えている火も本物である。 ファーガスンは薪の火が好きな男である。 他の部分もジョージ王朝風で、分厚いカーテンをも含めてあらゆる物が完璧に調和している。 『黒の狙撃者』(菊池 光:訳 早川書房) |
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コーデリアはランベンス・ノースの向こうのベイカール線で事故にぶつかり、出社に三十分遅刻した。 彼女はオックスフォード・サーカスの地下鉄の駅から明るい六月の陽光のなかへと上がってきた。 《ディキンズ・アンド・ジョーンズ》の飾り窓を眺めている早朝の買い物客の群を行き過ぎ、 キングリイ・ストリートの不協和音のまっただなかへと突入し、 敷石の舗道とせまい通りをぎっしり埋めている乗用車や貨物車の光かがやく洪水のあいだを、 どんどん進んで行った。急ぐなんて理屈に合わないと彼女にはわかっていた。 秩序ときちょうめんさに関する強迫観念のあらわれだ。 今のところ、なんの約束もない。訪ねてくる予定の依頼客もない。未解決の事件もない。 書かねばならぬ最終報告書もない。 『女には向かない職業−AN UNSUITABLE JOB FOR A WOMAN』(小泉 喜美子:訳 早川書房) |

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どう見てもたしかだった。新しい表札は曲がって掲げられていた。 そのまことに正確な事実をはっきりと認めるに際して、コーデリアはベヴィスの教えてくれた”方法” などをわざわざ採用する必要はなかった。 キングリイ・ストリートでごった返している遅い朝の交通ラッシュのあいだを縫って反対側の舗道に 渡り、猛り狂う配達ヴァンやタクシーの群をへだててようくそいつを眺め直してくれ、 とベヴィスは言ったのだ。 たいそうていねいにデザインされ、そしてたいそう高価だったそのすてきな長方形の青銅の板は、 たしかに半インチ曲がっていた。 一方にかしいでいるために、それはその文字づかいの単純さにもかかわらず、 いかにもわざとらしく、ばかげて見えると彼女は思った。 不条理な願望といんちきな繁盛ぶりを広告するにはまさにぴったり。 プライド探偵事務所(三階) 経営者 コーデリア・グレイ 『皮膚の下の頭蓋骨−THE SKULL BENEATH THE SKIN』(小泉 喜美子:訳 早川書房) |
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電気通信公社の黄色いトラックが角を曲がった。 雨のグローヴナー・プレイスは静かな佇まいを見せている。ほかの車輛は一台も見えない。 天候、そして時間が午前三時であるという事実を思い合わせると、べつにおどろくようなことでもない。 ハーヴィー・ジャクスンは速度を落とした。ハンドルを握っている手はじっとりと汗をかき、 滑りそうだった。 かれは黄色いオイルスキンのレインコートを着ていた。 三十歳代後半の大男で、黒い長髪が滅多に笑うことのない顔を縁どり、 高い頬骨の上の眼は黒い色をたたえている。 雨足が強く、ワイパーがあまり効果をあげていなかった。 かれは縁石沿いにトラックを停め、ダッシュボードから煙草の箱を取り出し、 一本引き抜いて火をつけた。 つぎに、窓を巻きおろし、道路の反対側の高い煉瓦塀に視線をむけた。 その塀はバッキンガム宮殿の後部の庭園を取り囲み、上部には有刺鉄線が張りめぐらしてあった。 かれは背後の仕切りを拳でコツコツと叩いた。すぐに仕切りが開き、ヴァリアーズが顔を出した。 「どうした?」 「着きました。準備はいいですか?」 「二分でできる。位置についてくれ」 以前、鼻の骨を折った形跡がある。乱れた黒髪はほとんど肩に届きそうだった。 黒いジャンプスーツとフランス空挺隊員のブーツは、かれをおそろしく危険な男に見せていた。 それから、疲れた悲哀のような雰囲気も漂わせていた。 その顔は、この世の中とそこで生きる人々についてあまりにも知りすぎ、 すべてに絶望した人間のそれだった。 かれは眼だけが出るようになった黒い毛糸のフードをかぶった。 トラックが車体を振動させながら道路を横断し、歩道に乗り上げて壁ぎわに止まったとき、 かれは作業台につかまって身体を支えた。 『エグゾセを狙え−EXOCET』(沢川 進:訳 早川書房) |
