冬の冷たい空に西陽を機体に輝かせながら、西へと向う姿に果てしなさを感じた
静寂と星空が覆う夜の闇に降り注ぐ響きにすら、旅の魅惑が満ちていた
ボーディング時、その先に見たターミナルでの風格は旅の演出かとも思えた
いつしか乗った国際線での最前列席は、他にない寂たる空間だった
長い滑走の末に、生き生きと反り返る銀の翼に自らも浮揚を感じた
小刻みに揺れ続けた最後列席は、機内の喧騒と気流の騒然さが入り乱れていた
幾重にも伸びる縦壁のようなフラップがことの大きさを語っていた
重たい操縦桿はその先に続く操舵ケーブルの長さと翼面積を感じさせた

2014年3月31日に日本の航空会社が運行する旅客のボーイング747型機が引退した

見上げれば飛行機雲を曳いていたのは747だった

ターミナルにそぞろを並んでいたのは747だった

アメリカにもヨーロッパにも、大阪に行くにも747だった



井上が撮影した747機の写真集「747 ジャンボジェット 最後の日々」発売中



井上六郎 2014年7月24日