3.ギターはどうやって作る?



                  ギターは楽器なので当然良い音がするのが第一ですが、やはり作る以上は綺麗に作りたいものです。
                  しかし、製作途中で傷つけてしまったり、削りすぎたり、またずれて接着したりなど、色々失敗もつきものです。
                  このような失敗を最小限にするには、絶えず先を予測しながら作業を進めたり、万が一、失敗しても最小限にする工夫が
                  必要になってきます。
                  ここのところは、なかなか説明がむずかしく、かえって判りにくくなるので、今回は私が工房で教えていただいた基本的な
                  工程を紹介します。
1. ブレーシング 表板用にXブレーシング2本、トーンバー2本、補強バー4本、センターバー1本、裏板用にブレーシング4本作成します。それぞれのブレーシングの接着面にはあらかじめRを付けておきます。
2. 表板、裏板のブックマッチ接着 3ミリまで薄くした表板、裏板を2枚合わせて光に透かし、光が漏れなくなるまでカンナ、ペーパーで削ります。タイトボンドを薄く塗布し、反りに注意して圧着します。
3. ロゼッタ、サウンドホール加工 この時点でロゼッタを入れる溝、サウンドホールの穴を開けておきます 溝に接着剤を塗布し、ロゼッタを入れ、硬化したら表面を180番ペーパーでフラットにします。サウンドホールの穴の周りも角を丸くしておきます。
4. ブレーシング接着 ギターサイズに合うRのついた台の上に表板、裏板を載せ、ブレーシングにタイトボンドを塗布後、バーで押えつけ圧着します。バーが多くなると倒れたり、圧着が弱くなるバーが出てくるので他のバーを確認しながら進めます。
5. 側板曲げ 側板を水で濡らしながら、ベンディングアイロンに押えつけ徐々に曲げていきます。いつもながら型に合うように曲げるには時間と根気が必要です。いつも割れないかとビクビクしているのですが、強めに押し付けるのと、少し曲がったらすぐ水につけて冷やすのが上手く行くコツの様です。型に合うように曲がったらクランプで一晩固定しておきます。
6. 上下ブロック接着 ネックブロックとエンドブロックを接着し、左右の側板を一体にします。 接着時にネックブロックの上下間違い、センターずれが無い様、注意が必要です。
7. ライニング接着 表、裏板を接着する為のライニングを側板に接着します。表、裏板はRがついているので、くびれの部分は若干高くなるよう接着します。
8. 表板、裏板接着 側板に裏板、表板のブレーシングがあたる部分をノミで削ります。仮組みし隙間が無い事を確認後、接着材を塗布し中心を確実に合わせてクランプで圧着します。
9. ネックブロック、エンドブロックプレート加工 ネックのダブテイルが入る様、余分な側板を削り、エンドブロックにプレートを入れるため、ドレメルで溝を掘ります。今回はメープルを入れました。
10.バインディング、パーフリング溝堀り バインディング、パーフリングの幅、厚さにガイドを調節し、ルーターで削ります。
11.バインディング曲げ 今回はメープルを使用する為、事前にベンディングアイロンで曲げておき、一晩、型に固定しておきます。
12.パーフリング、バインディング接着 隙間が出来ない様、紙テープで止めながら接着していきます。
13.ボディ研磨 バインディング、パーフリングと表板、裏板、側板との間に段差を無くする様、80番のペーパーでならし、180番まで全体を仕上げます。
14.ネック加工 への字のマホガニーからネックを削り出します。 まず最初にトラスロッドを入れる溝をルーターで加工します。 ヒールブロックを接着し、14フレットの位置を正確に書き、ダブテイル部を加工していきます。この時点でボディ表面の状態を確認し、適切な仕込み角度をつけます。今回は1度をつけました。 グリップ部はローポジションからハイポジションに移動しても違和感が無いように、滑らかに削ります。
15.ヘッドプレート接着 ヘッドプレートにはナットがあたる部分にヘッドと同じ角度をつけて切っておきます。 接着後、余分な周りを切り落とし、ペグの穴を開けておきます。
16.指板加工 板のセンターを正確に出して、ネックの幅に合わせて切ります。切った後、センターから直角にフレット位置を書いていき、その位置でフレット溝を切ります。 溝をきった後、ポジションマークを入れる為に位置を決めドレメルで削ります。 ポジションマークを入れた後、表面にRをつけます。 Rをつけた後、13フレット以降のフレット溝を広げ、あらかじめフレットを打っておきます。
17.ネックジョイント 仮接続してガタがなく、ボディとのセンター、仕込み角度を確認して、エポキシ接着剤で接着します。
18.指板接着 トラスロッドをエポキシ接着剤で接着し、3ヶ所、マホガニーでカバーする。表面をフラットに整えた後、タイトボンドで接着します。 接着時、クランプで圧着していくと位置がずれる事があるので、裏に4ヵ所ピンを打っておきます。
19.フレット打ち プラスティックハンマーを使いますが、下の当て木は必ず打つフレットの真下にあてがいます。また、打ちこむときはハンマーの角を使わず平面で、ネックを躍らせない様、一気に打ち下ろします。 フレットの端が浮かない様に曲げ気味に打ちこみ、はみ出た分を食切りペンチでカットします。全部のフレットが打ち終わった後、端を金属ヤスリで角度をつけて整えます。
20.バインディング、パーフリング事前塗装 そのまま下塗り塗装をすると、隙間からどんどん塗料を吸ってしまい穴があいてしまうので濃い目のシーラーを筆で塗っておきます。
21.目止め塗装 バインディングなど、目止め材が入って欲しくないところを紙テープでマスキングして目止め材を擦りこんでいきます。全体が乾いたら、180番のペーパーで磨きます。 これを木の導管が埋まるまで2〜3回、繰り返します。
22.ブリッジ位置決め ボディでネックの延長線を確認し、ブリッジを仮置きし、左右の位置を決め紙テープ張ります。紙テープを張った後、弦長を1弦で合わせ、上下方向を決め紙テープを貼ります。再度、貼った紙テープから1ミリ内側に紙テープを貼り、ブリッジの形で切込みを入れ、残りの部分を剥がします。
23.下塗り塗装 スプレーガンでシーラーを吹きつけ塗装します。最初は少々厚めに吹いても良いのですが、垂れない様に注意します。一度垂れると跡がつき、取るのが大変になります。全体に乾いたらもう一度吹き、乾燥後ペーパーがけをします。ペーパーがけは下の木地が出てしまうと跡が残ってしまう為、注意します。
24.本塗装 ラッカーを吹きます。塗装面に対し、常にスプレーガンを並行に動かします。乾いたら、1000番、1500番、2000番と水研ぎ、コンパウンドで磨いていきます。最後にパフをかけて艶を出します。
25.ブリッジ取り付け マスキングした部分をカッターで慎重に切りこみを入れ、周りの塗装を剥がさない様に注意しながら剥がします。 剥がした周りを紙テープでマスキングし、80番ペーパーで接着材がなじみ易い様、傷をつけます。仮置きし、紙テープが噛まない事を確認後、エポキシ接着剤を塗布し圧着します。 接着剤が硬化後、ドリルでブリッジピンの穴をあけ、リーマで穴を広げます。
26.ペグ取りつけ ペグポストの直径に合うように、リーマで穴を広げ、6個のペグを仮置きし、全体のバランスを見て固定ネジの位置を確定します。確定した位置をキリで穴をあけ、ペグを木ネジで固定します。
27.ナット、サドル作成 ナットをネックの溝、サドルをブリッジの溝にはまる様、ベルトサンダーで研磨します。弦を張り、6弦が均等の幅になる様に仮置きし、ナットに位置を書きこみます。 書き込んだ位置で、各弦の太さに合ったナットフィルで弦高を確認しながら切れ込みを入れます。
28.弦高調整 トラスロッドを軽く締めネックが反っていない事を確認後、ローポジションでの各弦の状態を確認し、ナットフィルでの再調整、コンパウンド磨きを行ないます。続いてハイポジションでの押さえ具合を確認し、高ければサドル底面を削り調整します。
29.完成 やっと完成です。しばらくは表板が引っ張られるため、弦高が上がって来ますが、必要であれば、再度、サドル調整、トラスロッド調整をおこないます。 私の場合、週一回の作業で完成までにほぼ半年間かかります。それだけに音が出たときの感激は忘れられないものになり、愛着もひとしおです。

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