―――――――――――――――――  Love competiton  ――
  BY 真鈴サマ

 

「やめろって言ってんだろうがっ!」

今にも噛みつきそうな拓巳をモノともせずに景明はバスルームへ連れ込んで
 拓巳の両腕を右腕一本で後へ拘束したまま、空いた方の手でシャワーのコックを捻った。

「わっ・・・ぷ」

勢い良く温水が降り注いで、あっという間に服が中まで濡れて貼り付く。

 「何やってんだよっ!景明っ!濡れるじゃねーかよっ!
 「うん?いいじゃないか。どうせ洗濯するだけだろう?」
 「てめぇっ!さっきは洗濯するだけだからって洗剤飛ばすなとか言ったくせにっ!」

ふふっと景明がシャワーの下から拓巳を引きずり出しながら笑う。
 「まだ気付かないのかい?あれは拓巳にエプロンをつけさせる為の口実だよ。」

ここまで言っても、ずぶ濡れにしたのは脱がす為の景明の口実だと拓巳は気付かない。

 「男の俺がエプロンつけたからってどうって事ねーだろっ!」
 「そうかな?じゃぁ、私の感覚がおかしいのかな。とても煽情的で
 その気になってしまったんだけどね。 面白そうに景明が拓巳を覗きこんだ。 
「決まってんだろっ!てめぇがおかしいんだよ。」
 「ふぅん。そう。まぁそう言う事にしておいてあげようか。」

納得したのかしていないのか判らない顔で景明は拓巳の服に手をかけた。
 「なっ・・・何すんだよっ!」
 「何って・・・これからお風呂に入るのに服は要らないだろう?
だから脱ぐのを手伝ってあげてるんだよ。」

確かに貼りついた服は脱ぎにくい。

 「ほら、腕を上げて。」

拓巳が着ていたTシャツの裾をたくし上げながら景明が言った。
 渋々ながら拓巳は言われた通りに腕を上げる。

景明は拓巳の頭を抜いた所で、Tシャツを止め拓巳の両肘を軽く曲げさせて
 そのまま腕を下ろさせた。

「え・・・?」

いやな予感が背筋を伝って這い上がる。

濡れたTシャツは拓巳の腕を戒めるように、背中側から肘の上を拘束している。

 「っ!」

 景明を罵倒しようと開いた口は、待ってましたとばかりに景明に塞がれてしまった。

 冷たい壁に押し付けるように深く唇を合わせながら、
景明は自分の着ていた物をあっという間に全て脱いでしまい、
しかも拓巳の下半身に残っていた服までも剥ぎ取ってしまう。

「さあ、さっきの責任をとってあげようね。ああ、それと私の感覚がおかしいのかどうか
 拓巳にも、いつも私が見ているきみの姿を見てもらおうかな。」

言うが早いか、景明は拓巳をくるりと後向きにして膝裏を抱え上げバスルームの床へ胡座をかいて座り、
その中へ拓巳を座らせた。

後から拓巳の顎を捉え、そっと耳元に囁いて来る。

 「拓巳・・・前を見てごらん。」

 拓巳は意地になって俯いた。
 自分の目の前には、曇り止めの施された鏡があるのがわかっているからだ。

 「てめぇー、ぜってー変態だっ!ばかげあきっ!」
 俯いたまま耳まで紅く染めて罵る拓巳の背後で景明の苦笑が零れる。

 そのまま拓巳の膝を左右に割って自分の膝の外へかけさせると、景明は胸の尖りを擦り上げた。

「っん!」
 ピクリとカラダを強張らせて拓巳が声を殺す。

 今度は後から耳朶を噛まれる。

 「ああっ・・・や・・・」

拓巳は噛まれた方へ首を竦めてそれを外そうとしたが、反対の首筋を景明の指先が撫で上げると
咄嗟にあられもない嬌声が漏れた。

「拓巳・・・」
 低く呼びかけられて、その欲情に掠れた声音にさえ感じてしまう。

 「見たくないのなら、それでもいいよ。」
 簡単に要求を取り下げた景明に、妙な訝しさを拓巳は感じた。

 それでも、どうしても顔を上げて、今の自分の姿を見ることだけは出来ない。
 「拓巳・・・きみの全てが見えるよ。」

 「・・・っ!」

 拓巳は瞬間凍りつく。

 「私の指を待ちわびるコレと・・・もっと大きいのが欲しそうなココも・・・」
 言いながら景明がすでに勃ち上がっているモノと、これから己が蹂躙しようとしている場所へ指を伸ばしてくる。

 「ほら、もうここは涙を零して嬉しがっているようだね。」
 逐一実況するつもりかと、背後を振り返って拓巳は景明を睨む。

 「うん?もう我慢できない?瞳が潤んで煽情的だよ。」
 更に言い募られて拓巳は苦い顔をした。
 「てめぇ・・・それでも自分が変態じゃねーって言うのか?」
 「どうだろう。拓巳は女性相手にこういう事をした事はない?」
 言われて拓巳は舌打ちを洩らして顔を背けてしまった。

 覚えがありすぎだ!

 遊んできたツケをこんな所で払わされるとは思ってもみなかった。
 いや、景明とこんな関係になってしまった事自体、年貢の納め時だったのか?

 「どうなんだい?こんな風に可愛がってあげた事はない?」
 頬を両手で優しく包まれてキスを顔中に落とされながら拓巳は俯いた。

 それを可愛がるというのか、虐めると言うのかは定かでないが、覚えは ありすぎるほどにある。

 「・・・・・・ぁる。」

 消え入りそうな声で意地悪な問いに答えた。

 「じゃぁ、これは恋人たちが普通に愛し合う行為のうちだね。」
 念を押されて、渋々拓巳は頷いた。
 「拓巳・・・じゃぁ、私を変態呼ばわりした事へのお仕置きだよ。ちゃんと鏡を見て。」

 否も応もない。

 鏡の中の自分と向き合わされる。
 もう、今の自分の姿だけで拓巳は目眩がしそうだ。

 いかにもコトの最中だと言わんばかりの甘ったるい表情、そして紅く色を増した唇、
加えて上気した頬にかかる乱れた髪と潤んだ瞳。
 これ以上、辱めないでくれと、許してくれと懇願してしまいそうになる。

 「そんな顔をされると余計にそそられてしまうよ拓巳。」
 鏡の中から景明が言う。

 拓巳の腰に、景明の熱く猛った固い欲望が存在を主張して来る。
「やめろよ・・・もう・・・。判ったから・・・。」
 鏡の中の視線を捕らえて拓巳が言うと、景明は瞳を眇めて拓巳を抱き締める。

 「判った?」

 「ああ・・・。ヤロー同士でこんなに気持ちよくなるのは、俺が
 ひろーい心でお前を愛して、とんでもないワガママ聞いてやってるからだって判ったよ。」

微妙に鏡から視線をそらせながらフフンと拓巳が強がると、景明ははっきりとその秀麗な眉を顰めた。

 「それは違うよ拓巳。この私がふかーい愛情をもってきみを愛しているからだよ。」
 「いーや!俺様の愛があってこそだっ!」
 「ふぅん、あくまで言い張るつもりだね?じゃぁ、どっちが正しいか試してみるかい?」
 「望むところだぜ!腕、外せよ。」

自由になった腕を景明の首に回して、挑発的に拓巳が唇を舐める。
 景明がそれへ極上の甘いキスを落とす。
 そうして、すかさず拓巳の双丘のあわいに指を潜りこませて来る。

 「あっ・・・ふ・・・っ」

 喘ぎながら拓巳が景明の猛った欲望に手を伸ばす。
 体中の血がドクッと大きく脈打って、その温度を上げ、お互いの体を弄る手の動きが早くなって行く。

 身の内を探る景明の指がもどかしく感じる頃合を見計らったように
 拓巳の入り口に強暴な景明自身が潜り込んで来る。

 「あぅっ・・・くっ・・・あ・・・・・・はぁっ」

 「愛しているよ・・・拓巳。誰よりも・・・ね。」

 あがった息の合間に拓巳が反駁する。

 「ば・・・かっ!俺の・・・方が・・・っ!」

 拓巳を穿ちながら景明が笑う。

 「はいはい。拓巳の広い心のおかげだよ。その広い心でいつか
 このままの姿にエプロンしてくれる事を期待しているよ。」

 「ばっ・・・ばか、げ・・・あきっ!」

 「おや?広い心で私を愛しているから、とんでもないワガママも
 聞いてくれるんじゃなかったのかい?」

「このっ・・・ああっ・・・くそっ!いっ・・・っや・・・あっ・・・」

「うん?ちがうのかい?じゃぁ、私のふかーい愛情の方が勝ってるって認めるかい?」

 「や・・・あっ・・・、ちが・・・俺の方・・・」

 「じゃ、私のワガママ聞いて裸エプロン決定だね。愛してるよ拓巳!」

 満足な反駁も出来ないうちに拓巳は奥を擦られて意識を飛ばしてしまっていた。


 
☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★
 

 

 ちょうど同じ頃、と・ある部屋の中で巧介とチカラは

「巧介・・・気持ちいい・・・」

 「僕の方が、きっと気持ちいいよ。」

「そんな事あるかよ。オレのがぜーったい気持ちいいっ!」

「そんな事ないよ、僕の方に決まってる。チカラの中は天国なんだから。」

 なんて、同じようなやり取りをして、同じような事に及んでいたのだった。
 

ブラウザのバックでお戻りください