Log (Feb 2005)

■2005年2月28日(月)  ─ エクストリーム。 ─

 この間、東急ハンズに行った際に、
 皮革製品の保革と汚れ落としができるクリーナーの実演をしており、
 思わず買ってしまった。

 とりあえず通勤用の黒い革靴が汚れていたので、ちょっと付けて拭いてみる。
 汚れが落ちて、革の表面のくすみが消えた。

 それを見て、カチリとスイッチが入った。

 あっという間に手持ちの革靴3足を拭きあげるが、
 それでも飽き足らず、部屋中の皮革製品を拭き始める俺。

 山肌を転がり落ちる雪玉のように、加速を増していくテンション。
 山肌を転がり落ちる雪玉のように、ムクムクと肥大化していく衝動。

 財布、定期入れ、革手袋、革の携帯ホルダー、鞄の持ち手・・・。

 もっとないか。他に何かないか。悪い子いねが。
 なまはげのような、或いは狩人のような鋭い眼光で、狭い部屋をぐるぐると見回す。

 雪崩のようなエクストリーム。
 これも一種のランナーズ・ハイなのだろうか。

 ・・・少なくとも、換気をしていなかったせいではないと思いたい。

 ***
 東急ハンズでいつも思うこと。

 疑問。


■2005年2月27日(日)  ─ 時計サロンで5時。 ─

 デパートの時計サロンで時計を買った。

 商品を包装してもらっている間、サロンの応接セットで待つ。

 あのサロンの雰囲気には、どうも馴染めない。
 どうしても居住まいを正してしまってくつろげないのだ。

 何となく落ち着かずにキョロキョロしていたら、
 突然、売り場中の時計が一斉に音を奏でだした。

 どうやら午後5時になると、それに反応して鳴り出すようだ。

 ある物はボーン、ボーンと高らかに。
 またある物は「イッツ・ア・スモールワールド」をにぎやかに。
 またある物はバラードをオルゴール調で艶やかに。

 それぞれに音色もテンポも違うので、
 しかしてその実体は見事な不協和音である。

 ・・・。

 ただでさえくつろげていないのに、余計落ち着かない。

 一種の予告テロか。
 時計サロンの午後5時。それは、まさに「逢う魔が時」である。


■2005年2月26日(土)  ─ ホットケーキ。 ─

 ふと、最近ホットケーキを食べていないことに気付いた。

 いや、「最近」というとスパンが短い。
 少なくとも週間とか月間というレベルではない。
 記憶が確かなら、下手をするとここ十数年もの間、一度も口にしていないことになる。

 ホットケーキは、大人になると縁が薄くなる気がする。
 男性は特にそれが顕著なのではないだろうか。
 別に十数年間ホットケーキを食べていないからといって、それほど苦にならないのも事実だ。

 「ああ、そういえばそんな食べ物もあったね。」とたまに思い出す。

 しかし、一度思い出してしまうと、
 口にしていない期間が長いこともあり、無性に食べたい衝動に駆られるのが人の常である。

 早速、スーパーで材料を買い揃える。

 ・ホテルニューオータニのホットケーキミックス。
 ・遺伝子組換え飼料を使わずに育てた純国産品種「もみじ」の卵。
 ・小岩井低脂肪牛乳。

 俺も三十路近い大人である。
 子供のおやつレベルのホットケーキで満足するわけにはいかない。

 この中途半端に厳選された材料を丹念に混ぜ合わせて生地を作り、
 ティファールのフライパンでじっくり焼き上げる。

 ・・・道具にも中途半端にこだわっている。

 ホットケーキ。

 十数年ぶりのホットケーキとの対面。
 徳光和夫なら、もう涙を浮かべていてもおかしくないシチュエーションである。

 再会の喜びもそこそこに、パクリと一口。
 舌に広がる、ノスタルジックなうす甘い滋味。
 久しぶりに食べたが、そういえばホットケーキってこういう食べ物だったな。

 次に食べるのは、何年後のことだろう。
 ホットケーキは、忘れた頃にやってくる。

 疑問。


■2005年2月24日(木)  ─ 地鶏。 ─

 昼休みにダイエーの食料品売り場をブラブラしていたら、
 「炭火焼き鳥塩だれ味」のポテトチップスが売られていた。

 ポテトチップスのフレーバーとして、
 その渋いチョイスはいかがなものか。とも思ったが、
 それよりも目を奪われたのは、「徳島の阿波尾鶏使用」というフレーズである。

 「阿波尾鶏」。

 それが地鶏の一種であること、
 そして名前が「阿波踊り」からきていることは想像に難くない。

 金ぴかシリーズ第2弾

 名古屋在住の人間としては、地鶏といえば「名古屋コーチン」であるが、
 この阿波尾鶏、地鶏でも割と有名な品種らしい。

 しかし、名前はダジャレだ。

 地鶏としての本気度と、ダジャレのネーミングのミスマッチがたまらない。
 この阿波尾鶏にはCMソングまであって、これがまた妙に耳に残る。

 阿波尾鶏CMソング

 思いもよらないところで「イルカに乗った少年」と出くわして、少し面食らった。


■2005年2月22日(火)  ─ 雛人形。 ─

 デパートの催し物会場に、雛人形の特設売り場ができていた。

 豪華絢爛、見上げるような7段飾り、8段飾りが立ち並び、
 階段ピラミッドかと見まごうばかりの勢いである。

 雛人形は、デコレーションとしてクリスマスツリーに対抗できる
 可能性がある日本文化の最有力候補だと思う。

 そろそろ発光ダイオードを使ったイルミネーション雛とかが出てきてもいい。
 音に反応して踊る五人囃子とか。
 ポップな桃の節句。

 うん。

 ところで、よく十五人飾りとか聞いたりするが、
 内裏雛、三人官女、五人囃子くらいしか分からない。
 残りの5人は何者なのだろう。

 どうせよく分からない人たちを並べるのなら、
 マツケンサンバで言うところの、腰元ダンサーズみたいなのを
 ずらっと並べた方がよくないか。

 ***
 雛人形のCMを見るたびに思うのだが、
 狭い住宅事情や少子高齢化という背景もあり、
 国内の市場はもう成長する見込みは薄いのではないだろうか。

 この際、発想を転換して、
 海外向けの輸出に力を入れた方がいいのではないだろうか。
 空港の土産物屋に並べれば、結構買っていく外国人はいるはずだ。


■2005年2月20日(日)  ─ 待ち行列。 ─

 「南セントレア市」問題で生ぬるい注目を集めた中部国際空港「セントレア」であるが、
 この週末は見学客が大挙して訪れ、
 一時、食堂などで6時間待ちとなる事態となったらしい。

 6時間待ちの行列である。
 旧ソ連か。

 俺なら帰る。

 映画なら、3本分。
 カップラーメンなら、120食分の待ち時間。
 ディズニーランドでも、人気のアトラクションを3〜4個は楽しめるはずだ。

 テレビで「行列のできるラーメン屋」なんかを見ても思うが、
 並んでまで食べたいとは思わない。

 店を評価する際には、味だけではなく
 店内の快適性や店員のサービスレベルも勘案されてしかるべきだと思う。

 たとえ少しばかり味がいいと評判でも、
 待ち時間が長く、狭い店内で窮屈な思いをしながら食べるくらいなら、
 俺は別の店に行きたい。


■2005年2月19日(土)  ─ バブル崩壊。 ─

 無印良品に行ったら、
 バレンタイン仕様のチョコレートが、50%OFFで売られているのを見かけた。

 元々は10%OFFと書かれたプレートが、50%OFFに修正されている。
 売れ残ったら、やはり処分されてしまうのだろうか。

 暴落。

 ウォール街もビックリの大暴落。
 バブル崩壊である。

 考えてみれば、
 バレンタインにしろ、ホワイトデーやクリスマスにしろ、
 短期間に価格が高騰し、直後に暴落するその様はバブルだ。

 1年に何度も、小さなバブルが膨れてはしぼむ。
 そして残される不良債権。

 無印良品のレジ前で唐突に垣間見えた、経済の真実。


■2005年2月17日(木)  ─ 組合。 ─

 昼に入った定食屋で出されたおしぼりの袋に、
 「全国おしぼり協同組合連合会」という印刷がされていた。

 ああ、そうか。
 自分が気付かずにいるだけで、
 あらゆるものの裏には組合が存在し、機能しているのだ。

 わりばし協同組合、全国納豆協同組合、全国焼肉協会、日本豆腐協会、
 日本からし協同組合、全日本パン協同組合連合会、全国澱粉協同組合連合会、
 全国珍味商工業協同組合連合会。

 世の中は、有機的な組合の集合体だと言ってもいい。

 おしぼりの袋から唐突に垣間見えた、世界の真実。

 ***
 組合・連合会といえば、ゆるキャラが欠かせないが、
 「全国おしぼり協同組合連合会」のサイトにも、ご多分に漏れずゆるキャラが。

 おしぼり君。

 おしぼり君。
 ・・・植田まさしの4コマ漫画のタイトルか。


■2005年2月16日(水)  ─ インカのめざめ。 ─

 ジャガイモの品種に、「インカのめざめ」というのがある。

 黄金文明、覚醒である。
 ずいぶんと大きく出たなという感じだ。

 アメリカ人が、ちょっと日本的なものに「サムライ」とか「ゲイシャ」とか付けたがる、
 安易なネーミングに似たようなものだろうか。

 イメージ先行型。

 「インカのめざめの煮っ転がし」なんてものがメニューに載っていたら、
 何が出てくるのか気になって仕方がない。

 インカ。

 普段、あまり気にならないが、ジャガイモなのに「男爵」というのも変な名前だ。
 川田龍吉男爵の農場で栽培し始めたから男爵薯らしいが、
 小学生のつけるアダ名並みにそのままである。

 「そのまま」という観点からすれば、
 カルビーが導入したジャガイモの品種、「ヤンキーチッパー」も同様ではあるのだが、
 突き抜けたヒップホップな感覚はアメリカならではだと思う。


■2005年2月15日(火)  ─ ゆるゆる紀行 in 岐阜B。 ─

 「お千代保稲荷」という当初の目的を忘れるほどに、
 養老町で寄り道を繰り返す一行。
 ドラクエでいうなら、ラスボスを倒す直前でカジノにはまるダメ勇者である。

 かなり遅い昼食を取り、いよいよ「お千代保稲荷」を目指すこととなる。

 「お千代保稲荷」が「るるぶ」に載っていないことは既に述べたが、
 頼りは平田町のホームページにあった絵地図を印刷した紙1枚である。

 どこの観光地のサイトを見ても思うことだが、
 なぜ観光地の絵地図はあんなにも簡略化されすぎて分かりにくいのか。
 遠方から訪れる観光客のユーザビリティに配慮が必要だと思う。

 しかも、ランドマークがどれも地味だ。
 「さっき神社の横を通り過ぎて、ここは並木道だから、やっぱりあそこの公園で右折だったんじゃない?」

 何だか本当にドラクエっぽくなってきている。

 紆余曲折の末、遂に「お千代保稲荷」に到着。
 早速、本殿へ。
 本殿の脇に回ってみると、そこに石が。

 重軽石。

 思っていたのと少し違うが、説明文通りに実行する。
 普通に持っても、割と重い。

 不謹慎。

 「願いが叶うなら、軽くなれ」と願って持ち上げたが、・・・さっきより重く感じた。
 まさか石にダメを出されるとは。

 何となくショックを隠しきれぬまま、門前町を散策する。

 平田町はよもぎが名産品らしく、「よもぎソフト」なるものを一口もらった。
 舌が冷たく刺激された後に、草餅の味が広がる。旨い。
 今が冬でなければ、もっと美味しく感じたと思う。外は陽が傾いて寒い。

 「お千代保稲荷」を後にする頃には、すっかり陽が落ちて暗くなっていた。
 冷えた身体を温泉で温めて帰路につく。

 ***
 大人になって、こういうヌルい観光の面白さが分かるようになってきたと思う。
 わざわざ遠出しなくても、近場でも十分に楽しめる。

 何だろう。
 この、メーテルリンクの『青い鳥』的な結論は。


■2005年2月14日(月)  ─ ゆるゆる紀行 in 岐阜A。 ─

 目的地である岐阜県平田町は養老町にほど近く、「養老天命反転地」がある。
 養老天命反転地については、『養老猛司の<逆さメガネ>』で読んだことがあった。

 急ぐ旅でもなし、迷わず寄り道をする。

 天命反転@ 天命反転A

 何だかシュールリアリズムなジブリといった感じ。
 普通に立っていてもクラクラする。真っ直ぐ立っている感覚がない。

 下を向いてはいけない。
 車酔いではないが、遠くを見ていないと酔う。

 くらくら。

 一見無秩序なのだが、仕掛けに気付くと思わず納得の心憎い造りになっている。

 園内はすり鉢状なのだが、かなり傾斜が急なところがある。
 祝日だからか、小さな子供を連れて遊びに来ていた家族連れが多かったが、
 上から下までコロコロと転がり落ちていくんじゃないかと、老婆心ながらハラハラした。

 天命反転B 取って付けたような「スリップに注意」の看板。

 最初は「何だよ、これー。」とか言っていた一行であるが、
 次第に童心に戻って純粋に楽しんでいる。

 そして痛感する、寄る年波と日頃の運動不足。


■2005年2月13日(日)  ─ ゆるゆる紀行 in 岐阜@。 ─

 岐阜県に「お千代保稲荷」という稲荷があり、
 そこに持ち上げると願いが叶うという石があるという話を聞いて以来、
 一度行ってみたいと思っていた。

 るるぶ。

 思わず、「るるぶ」を購入。
 中途半端に本気である。

 旅行に際して「るるぶ」を買うという行為は、
 俺の中ではヌルい観光のスタート地点と言っても過言ではない。

 そして、件の「お千代保稲荷」であるが、
 「るるぶ」にも載っていない、ローカルなスポットであることが判明。

 「るるぶ」に載っていない。
 この事実をプラスに解釈すべきか、マイナスに解釈すべきか。
 答えを出せないまま、車は一路、岐阜南濃へひた走る。

 明日のまいど。ドキュメント。は・・・


■2005年2月11日(金)  ─ 南セントレア。 ─

 「愛知県の美浜町と南知多町が合併して『南セントレア市』になる。」と聞いたときは、
 しがない田舎町が山梨の「南アルプス市」に対抗しているつもりなのかと
 シニカルな半笑いを浮かべたものだった。

 半笑い

 何しろ「南セントレア」である。

 要するに「空港南」だ。
 バス停か。

 ***
 今度は「『南セントレア市』という新市名に全国から抗議が殺到」と聞いて、
 笑いが止まらない。

 何しろ「全国から」である。
 ともすれば県内でも見向きもされない地域だったというのに、一躍注目の的だ。

 とにかく目立ちたくて、奇異な行動をとる小学生のようだ。


■2005年2月10日(木)  ─ インド。 ─

 会社帰りに、よく行くインド料理屋に寄った。
 店員のインド人率が高く、かなり本格的なインドカレーを出す店だ。

 カリフラワーとピーマンをスパイスで炒めたベジタブルカレーと
 クリームチーズの入ったトマトベースのカレーに、
 ナンとサラダとヨーグルトが付いたセットを食べる。

 店を出る際、
 1,480円の会計に対して2,000円を出したのだが、
 お釣りがなかなか出てこない。

 どうやら、2,000 - 1,480が咄嗟に暗算できなかったようだ。

 固まった。

 「インドのIT技術はすごい。」
 「インドはIT大国だ。」
 「インドはゼロの概念を生み出した国だから、数字には強い。」

 そう言われるようになって久しいが、
 もしかして、それはかなりの誇張を含んでいるのかも知れない。


■2005年2月8日(火)  ─ 大事な用事。 ─

 今週中に打合わせをしなければいけない案件があり、日程を調整していた。

 正直なところ、既に残業時間中でもあり、別の仕事を抱えていたので
 打合わせは明日にして欲しいと思っていたのだが、
 リーダーが「明日は大事な用事があって早く帰るので、どうしても今日中にしたい」と譲らない。

 まあ、大事な用事があるなら仕方がないか。
 しかし、どんな用事なのか聞いてみても、今ひとつ歯切れが悪い。

 ??

 ・・・大事な用事って、サッカーか。
 さっき気が付いた。

 多分、明日は日本中で似たようなことが同時多発するに違いない。
 サッカー好きな上司を持つサラリーマンは要注意だ。


■2005年2月7日(月)  ─ どっとねっと。 ─

 愛知県岩倉市で、"www.karubi.net"というネオンサインをこうこうと掲げた店を見かけた。
 読んで字の如く、「カルビ・ドット・ネット」である。

 もしかして、インターネットしながら焼肉を焼いたりするのだろうか。新感覚だ。
 想像は膨らむ。

 きっとディスプレイもマウスも脂でギトギトだ。カルビ・ドット・ネット。

 --------------------------
  From:5番席
  To:厨房
  Cc:ホール
  件名:ハラミ追加の件。
 --------------------------
  From:厨房
  To:3番席
  件名:Re:ラストオーダー。
 --------------------------
 みたいにオーダーをメールで送るシステムだったら面白いと思う。カルビ・ドット・ネット。

 ・・・引き篭もりか。

 などと考えながら検索してみたら、
 「焼肉かるび」という、愛知と岐阜に展開する普通の焼肉チェーンだった。

 カルビ.net

 あんまりと言えばあんまりなほど普通だったので、何だかガッカリだ。カルビ・ドット・ネット。


■2005年2月6日(日)  ─ タマゴ。 ─

 土曜日にスノーボードに行った。

 派手に転倒して後頭部を強打。
 近くで誰かが同じように転倒していたら、きっと人格が入れ替っていたと思う。

 本日の起床時。

 ***
 「イースターエッグ」というのがあるだろう。
 キリスト教の復活祭のときにタマゴに色を塗る、あれのことだ。
 詳しくは知らないが、部屋のあちこちに隠して、探して遊んだりするらしい。

 そのイースターエッグについて、
 生卵なのかゆで卵なのか長年疑問に思っていたのだが、
 針で殻に穴を開け、中身を抜いた卵を使うのだという話を聞いた。

 盲点を突く、第三の視点である。

 確かに、生卵を部屋に隠すというのは、かなり迷惑な行為だと言わざるを得ない。
 食べ物を粗末にすることもない。
 イースターエッグ、PTA対策も万全である。

 ***
 数年前に流行ったチョコエッグは、そういえば最近どうなんだ。


■2005年2月4日(金)  ─ 豆。 ─

 今春の花粉の飛散量は、昨年と比較して
 東京で13倍、大阪で23倍、大津市で43倍になると予測されているらしい。

 目に見えないものが普段の何十倍も漂っているのって、何かホラーだ。

 ***
 昨日は節分だった。

 ここ数年、「恵方巻き」という慣習が急速に台頭してきているが、
 そんな流行へのアンチテーゼとして、俺は恵方巻きは食べなかった。

 断じて、昼にちらし寿司を食べたからではない。

 そんなわけで、古来よりの言い伝えどおり、歳の数だけ豆を食べた。
 29粒。
 期せずして「29(ふく)」だ。

 節分。

 ***
 110グラム入りの豆を一袋購入したのに、
 29粒しか食べていないので当然豆がどっさり残っている。

 仕方がないので、毎日29粒ずつ食べて、少しずつ減らしていくことにする。

 厄除けのはずが、いつの間にかローカーボダイエットになっている。


■2005年2月2日(水)  ─ 雪の朝。 ─

 朝起きたら窓の外が真っ白だった。

 「うわあ・・・。」
 思わず語尾下げで感嘆の声を漏らす。

 あまり雪が降らない地方は、人も街も雪に慣れていないので、
 ちょっと雪が積もっただけですぐ混乱に陥る。

 職場に着くまでの紆余曲折を思うと、頭の中まで真っ白になる。

 慣れない手つきで雪かきされた歩道を駅まで歩いていると、
 革靴は雪道を歩くのに向いていないなと思い出したように思う。
 無意識に雪を甘く見ている自分に気付かされる瞬間だ。

 その横を、満員御礼の市バスがそろそろと徐行していく。
 乗客は全員不機嫌だ。

 案の定、普段は割とすいている地下鉄もラッシュ時のような混雑。
 地下を走る分、市バスほどダイヤが乱れないのがせめてもの救いか。

 風に乗って舞う雪が前面に纏わりついて、
 チャコールグレーのコートがごま塩のようになりつつ、
 やっとの思いで職場に到着。

 何だか朝から疲れ果てている。

 北海道や東北に行けばこれが普通なのだと思うと、
 「凄えな・・・。」
 思わず語尾上げで感嘆の声を漏らさずにはいられない。

 雪。


■2005年2月1日(火)  ─ スケルトン。 ─

 職場で使っているPHSは、会社が買い換えてくれないのでかなりの年代ものだ。
 何しろスケルトンである。基盤が透けて見える。

 一時期、何でもかんでも透け透けにするのがお洒落だった時代があったが、
 それってかれこれ何年前の話だろう。
 長く使い続けるのなら、スタンダードなデザインを選択した方が無難だなと感じる。

 ぼーっとPHSの内部を見ていたら、
 ふいにファミコンカセットの「沙羅曼蛇」を思い出した。
 あの頃、あのスケルトンをもの凄く格好いいと思っていたのを覚えている。

 沙羅曼蛇。

 80年代の先進的かつ斬新なデザインを、時代は既に追い越してしまったのか。



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