Log (Jun 2006)

■【飛騨高山紀行〜その6】

 普段、あまり目にしないものを見かけることも、旅の醍醐味の一つである。

 商店街のアーケードを歩いていていたら、
 靴屋の店先で「ガーデニングレインシューズ」という商品が目に入った。

 ガーデニングレインシューズ お値段は\2,100

 F1層よりもF2〜F3層あたりを意識しているであろう柄と配色にも目を見張るものがあるが、
 初心者向けパソコン教室のワード課題のような、ワードアートが踊るPOPも見逃せない。

 店先の一番目立つ所に陳列してあり、POPには「超ヒット商品」と書いてあるくらいなので、
 この時期の売れ線商品なのかも知れない。

 花柄。

 しかし、左端のデニム柄あたりは、ともすると普通にお洒落である。
 子供用のサイズでこの柄があったら、結構売れるんじゃないか、とか皮算用する。

 ***
 同じく商店街のアーケードで見かけた、釣エサの自販機。

 釣エサ自販機 イクラやゴカイ、練り餌とかがあった。

 釣りをしないのでよく分からないが、
 やはり店が開いていない早朝に出発したりするからだろうか。

 驚愕のユーザビリティである。釣りエサ、ユビキタス。


■【飛騨高山紀行〜その5】

 飛騨高山といえば、やはり朴葉味噌抜きに語ることはできない。

 朴葉味噌のない飛騨高山なんて、クリープを入れないコーヒーのようなものである。
 ・・・かどうかは知らないし、そもそもコーヒーはブラックでしか飲まないのだが、
 ともかく高山に行く以上、朴葉味噌は食べておこう、いやさ食べねばならないと決めていた。

 朴葉味噌。 民宿の朝食で出てきた朴葉味噌。

 「ご飯が何杯でもいける。」

 それ以外、それ以上に朴葉味噌に関して語る言葉を俺は持たない。

 旅館の朝食はついつい食べ過ぎてしまう、というのはよく聞くが、
 まさか朝っぱらからご飯を3杯も食べてしまうとは。
 恐るべし、朴葉味噌。

 あまりに旨いので、買って帰ろうかとも思ったが、
 土産物屋で売っている朴葉味噌はどれも量が多くて食べ切れそうにない。

 一人分が1回使いきりのアルミ容器に入っていたらいいのに、と思う。
 食べる際には、アルミ容器ごとオーブントースターに入れて加熱するだけ。

 ・・・何だか今、自分が飛騨高山のお土産ラインナップに新風を吹き込んだような気がする。

 実用新案。


■【飛騨高山紀行〜その4】

 無料で入館できる資料館のようなところに、昔の電話機が置いてあった。

 電話。

 当時の最新技術の粋を尽くして完成させた機械が、
 巧まずして「ひょっとこ」にも似た間の抜けたデザインである辺り、
 何だかパラドキシカルでぐっとくる。

 ***
 歴史のある町だけあって高山には神社仏閣が多い。
 そんな中、一番ぐっときたのがこの神社である。

 全体。

 ひさしの部分から、左右に何かが伸びている。

 拡大。

 よく見ると、雨どいで集めた水をこのパイプから排出する仕組みのようである。

 一見合理的ではあるが、雨が降ったら水芸状態なわけで、
 全体の見栄えから言えばギリギリアウトといった印象。

 水芸。

 装飾を施して溶け込ませようとする努力の甲斐もなく、
 むしろそれが見苦しいくらいの滑稽さを醸し出している。

 今まで見た中で、最もアバンギャルドな神社であると言っても過言ではあるまい。


■【飛騨高山紀行〜その3】

 「古い町並」周辺は観光地らしく、土産物屋が多い。

 朴葉味噌やさるぼぼの根付、とち餅といった、いかにも飛騨高山らしい土産物から、

 木刀 お約束の木刀なんかを売っていたりする。

 1,000円か・・・。

 あまり食指が動く土産物はなかったのだが、
 目に入った瞬間に思わず手に取ってしまったものがある。

 漬物ステーキ 漬物ステーキ(みそ味)。

 「飛騨では昔より漬物を焼いて食べる習慣がありました。」
 「野菜炒めなどの生野菜を使った料理とは全く異なる独特の旨味が飛騨の人々の心をとらえて離さないせいでしょう。」
 (パッケージ裏面より)

 ・・・本当か。
 どうなんですか、飛騨の人々。


■【飛騨高山紀行〜その2】

 とりあえず市営駐車場に車を停め、軽く散策する。
 少し歩くと、「古い町並」という何の捻りもない直球なネーミングの町屋があった。

 古い町並

 知らないけれど知っているような、不思議な郷愁を誘われる。

 「古い町並」を何本か外れた普通の住宅街に入っても、それは変わらない。
 縁台に座って世間話に花を咲かせるお年寄り。
 家の前の道に丸椅子を出して、バリカンで子供の散髪をする母親。

 久しぶりに見た。

 本当に今は平成なのか。21世紀で正しかったか。

 ガヤガヤと騒々しい商売っ気丸出しの土産物街に戻ってくると、
 さっきまでの「三丁目の夕日」的な光景がまるで白昼夢であったかのようである。

 いろは 「いろは」が割り当てられた倉庫。

 「何だか全体的に時間がゆっくりと流れている町だなあ・・・」と思ったが、
 あとで駐車場の精算をしたらきっちり2時間分請求されたので、
 時間軸に揺らぎはないものと思われる。


■【飛騨高山紀行〜その1】

 1泊2日で飛騨高山に旅行に行った。

 白川郷。

 名古屋インターから東名高速道路に乗り、東海北陸自動車道をひたすら北上する。
 総距離151.4km、約2時間のドライブである。

 東名高速を名古屋から東に走ると、
 行けども行けども静岡、という静岡県の横の長さに驚かされるが、
 今回は岐阜県の縦の長さを思い知らされた。

 退屈。

 狭い狭いと思っていたが、結構日本って広いのだ。

 狭いのは己の行動半径であることに気付かされつつ、高山市に着いた。


■激取れ。

 東海地方も梅雨入りである。
 今年も「ナイス蚊っち」が手放せない季節がやってきた。

 ところで、蚊が多いのは例年のことではあるが、
 今年は何だか普段よりハチが多いような気がする。

 アシナガバチやスズメバチが飛んでいるのをよく見かけるし、
 アシナガバチが軒下などに作った巣を撤去するのも既に2〜3回している。

 危険。

 由々しき事態に思案に暮れていたところ、ドラッグストアでこんな商品を見つけた。

 激取れ。

 ・・・ストレートなネーミングである。
 「激取れ」というフレーズが頼もしくもあり、恐ろしくもある。

 甘い香りのする誘引剤が入ったコップ部分と、
 漏斗状の入り口が2つ空いた黒色のフタ部分、
 そして、それらを吊るし、雨水の浸入を防ぐための屋根部分からなり、
 組み立ては非常に簡単である。

 誘引剤に誘われたハチが中に入ると、
 羽根が邪魔になって出ることができなくなり、最終的に溺れて死ぬ、という寸法。

 このメソッド、何かに似ていると思ったのだが、
 食虫植物のウツボカズラに似ている。

 誘引剤に消化成分が含まれていれば文句なしであったが、
 流石にそこまでフマキラーに期待するのは酷である。

 少なくとも、「激取れ」と銘打つだけの効果は期待したい。


■桃太郎神社。

 桃太郎といえば、日本で一、ニを争う有名な昔話であるが、
 愛知県犬山市という何だか身近な場所に「桃太郎神社」というのがあるらしいというので、
 少し足を伸ばして行ってみた。

 情報源はどこだっけか。

 名古屋から車で1時間半。
 駐車場に車を停めると、木曽川畔の芝生広場では家族連れや大学生がバーベキューをしている。

 気候もいいし、バーベキューに興じる休日というのも羨ましいと思いつつ、
 後ろを振り返ると目的の桃太郎神社である。

 ヴァモラ! 「ヴァモラーッ!!」

 意味も分からず使ってしまったが、何となくそんなキャプションを付けたい衝動に駆られる。
 ある意味、「五色園」リターンズである。

 ともあれ階段を上り、神社にお参りをする。

 神社。 ・・・鳥居が、桃。

 まあ、桃太郎神社を名乗る以上、これくらいは普通なのかも知れない。

 さて、この神社の特徴として、
 桃太郎の昔話に登場する人物のコンクリート像が、境内に唐突に散在していることが挙げられる。
 しかし、制作者が異なるためか、それぞれの作風が大きく異なり、
 それがまた一層のカオスを醸し出している。

 揃い踏み。

 犬。 猿。 雉。

 犬。 猿。 雉。

 ・・・場合によっては、子供の夢を壊しかねない造形である。

 しかし、遊具の揃った公園や、広い芝生広場があるせいか人出はそこそこあり、
 近所の子供たちにも親しまれているようではあった。
 境内のテンションの割には、飾らない普段使いの公園として利用されている。

 何となく桃太郎的なものを求めて行ってみたが、
 ここには桃太郎を越えた何かがある、そんな気がした。

 多分、気のせいである。


■命名権。

 高気圧と低気圧の命名権を民間に売る制度がドイツにあり、
 日本人が命名権を購入して「TAKASHI」という名の低気圧が雨を降らせたらしい。

 「TAKASHI」という名の低気圧が雨を降らせた、というフレーズは
 何だか安っぽい詩人の書いたエレジーのようである。

 命名権ビジネスに関しては、常々現代の錬金術だなあと思っていたのだが、
 低気圧まで売り物にするとは商魂たくましくて恐れ入る。

 鋼?の

 売る方も売る方だし、買う方も買う方だと思うが、
 世の中には色々な価値観があるのだと自分を納得させる。

 過去に、どこかで同じような感覚を味わったような気がしていたのだが、
 これは昔、「ハンマープライス」を見ながら感じていたのと同じ感覚である。

 少し前、「IT産業は虚業である」などとよく言われたものだが、
 命名権ビジネスはそれを遥かに上回る虚業だと思う。



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