ANECDOTA ミトコンドリア・イブ
みなさんは、アダムとイブについて知っているだろう。キリスト教の旧約聖書に出てくる最初の人間だ。知恵の実を食べてしまったために楽園を追放されたふたりは子供を作り、やがて彼らの子孫は世界に広まり…という話である。Anecdotaの第1回は、これがたんなる神話やおとぎ話と片づけられない??という話だ。
さて、1年生のとき生物の授業で習った、「ミトコンドリア」について覚えているだろうか?細胞の中にあり、エネルギーを発生する役割を持っている小器官だ。こいつは哺乳類の場合、母親からしか遺伝しないという特性を持っている。子供のミトコンドリアDNAは母親とまったく同じになるので、これをたどっていけば祖母、曾祖母…と母方の先祖をたどることができる。
最近ではミトコンドリアDNAが、人類史の研究に大活躍している。ネアンデルタール人と現代の私たちが、直接のつながりがないことがわかったのも、ネアンデルタール人の骨から取り出した遺伝子を研究した結果である。
さて、アフリカ人、アジア人、オーストラリア人、ヨーロッパ人、ニューギニア人からとった遺伝子のサンプルからは、何タイプかの特定のミトコンドリアDNAがあった。これを比較して家系図をつくった結果、アフリカ人から他の人種が枝わかれしていったことがわかった。
ここから、衝撃的な仮説が発表された。現在の人類の先祖は、14〜29万年前にアフリカに住んでいた、ひとりの女性だったというのだ!
なにを言おうとしているのかもうおわかりだろう。彼女は、聖書にちなんでミトコンドリア・イブと名付けられた。全人類共通の母かもしれない彼女がどんな女性だったか、なんとも興味深いではないか。