産業遺産(近代化遺産)とは

人類誕生からの生活の跡、文明の遺跡、神社仏閣等、江戸時代までのものに関しては、幅広く文化財として保護されています。
しかし、幕末から戦前にかけて日本の近代化を担って造られた、いろいろな建物、工場、交通、土木に係わる歴史的価値が高い構造物は、科学技術の進歩、自然災害、開発等により、取り壊しが進んでいました。
その様な中、文化庁では、平成2(1990)年から「近代化遺産総合調査」事業を開始し、平成5(1993)年には文化財の登録制度が始まりその保護に乗り出しました。そのなかで、一番初めに選ばれたのが碓氷峠第3橋梁(群馬県松井田町)です。
近代化遺産とは、幕末から戦前までに 「近代化手法によって造られた建造物(各種の構築物、工作物を含む)で産業・交通・土木に関わるもの」とし具体的には、
1)造船所や鉱山、製鉄所、製糸工場、煉瓦製造工場、ビールやワインの醸造工場等の産
  業関係。
2)駅舎、機関庫、橋梁、トンネル、軌道等の鉄道施設、道路橋、灯台、船舶等の交通関係。
3)護岸や埠頭、防波堤などの港湾施設、灌漑用水、運河、閘門、ダム・発電所施設、上下
  水道施設等の土木関係の建造物・構築物・工作物。
4)その他、これらの施設に関わりのあった設備、機械、家具、備品類や機関車、自動車等
  の車両。- のことです。
近代化遺産とは文化庁が付けた名前ですが、世界的には18世紀にイギリスで起こった産業革命以降の遺産を、日本では幕末以降戦前までの遺産を産業遺産と考えます。
一般的に、土木・建築に関わる遺産と捉えられがちですが、工場やその中で使われていた設備、機械、道具、それに伴う写真や図面などの資料も産業遺産ということができます。
また近年、埋もれた過去の遺物はその価値を見直され、残された産業遺産を保存し、新たな地域資源としての観光遺産として活用する動きが広まっています。
現在の物でも100年後には評価され文化遺産や産業遺産に成っているかも知れません。


参考文献
1)斉藤英俊「近代化遺産の調査と保存」『建築年報1991』、日本建築学会、1991年

2)中公新書1604、増田彰久『近代化遺産を歩く』、中央公論新社、2001年



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