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プロフィールに示しました、木村の研究領域から、必然的に、その範囲と周辺が指導の対象となります。
1.演習の目的:
美術館学芸員養成を中心に、一方で、大学などの研究者、そして芸術系の編集者、ジャーナリスト、アート・ディレクター等の養成を教育の柱としています。日芸には、学部に美術史が学科として存在しません。そうした理由から、学部教育で、各分野の芸術表現と理論、あるいは、文学・語学などを先に学んで来た、他大学の学生諸君たちをお迎えします。
前期課程では、特に、短期・集中的に、西洋美術史の基礎を習得させることを目的としています。他の大学院一般では、学部で美術史を専攻していない場合、前期課程で3年をかけざるを得ないのが普通です。基礎教育には、一般的には、それだけ時間がかかるのが常識だからです。しかし、総合芸術研究を行う日芸大学院では、それを、前期で2年間だけ学んだだけの院生から、下記のように、学会での発表者が多く生まれていることが示すように、集中的な学習が可能です。
歴史の短い大学院のゼミですが、過去12名の院生を引き受け、そのうち、7名が学会発表(5名が、美術史学会)を行っています。教育内容を、フランスを中心とした西洋近代美術史と図像学に特化したことで、一般大学院の美学美術史課程の教育内容を超えられる環境が整備されています。納付金は、文学系大学院と比べ破格に高額です。しかし、その納付金に見合った教育内容を提供できる条件が揃い、またそれを一層整備するべく努力を行っています。高くいただいて、高く還元する、「もとを取っていただく」ための体制です。
それは、たとえば、やはり納付金が高額な、イギリスの私立大学である、オックスフォード大学や、アメリカのイリノイ大学で成功している大学院教育を手本とした体制です。
2.方法とその特色:
拙著『美術史と美術理論』(1994),『名画を読み解くアトリビュート』(2002)に解説してある内容を実践することが基本です。
{講義}
内容の大半は、論文として刊行されているので、それぞれ業績リストを参照して下さい。 1993
「《インドで布教する聖フランシスコ・ザビエル》の図像について」 1994 「プッサン作《ファレリーの教師》について」 1995
「神戸市立博物館所蔵《聖フランシスコ・ザビエル像》について」 1996 同前 1997
「西洋16-17世紀における《煉獄》の図像」・「ルーベンス作《聖フランシスコ・ザビエルの奇跡》について」 1998
「ヴァン・ダイク作、通称《日本の王に拝謁する聖フランシスコ・ザビエル》について」・「プッサンのパリ帰国前後」 1999
「プッサンのパリ滞在」・「フランソワ・シュブレ=ド=ノワイエとイエズス会」 2000
「十六世紀末から十七世紀前半において、フランスに紹介された日本」 2001 「ドゥーエーとパリ」 2002
「西洋美術史におけるアトリビュート」・「ヴァン・ダイク論」 2003 「ヴァン・ダイクのパリ滞在」・「カラヴァッジオ」・「ヴィニョン」
{原典購読}
@英語・フランス語を中心に、基礎的な購読を行います。受講生の専門とするテーマについて書かれた、美術史関係の、複数の基本的な参考図書(Dictionary
ofArt,等)を、同一テーマで読み比べる基礎訓練を、先ず行います。内容を知ったテーマについて書かれた参考図書の中のテキストは、最も理解しやすく、別の意味からは、基礎的な情報が漏れなく書かれているからです。その際には、一般の語学教育では学び得ない、美学美術史専門用語の学習に重点を置きます。美術史専門の学生諸君には、演習での作業のための基礎訓練となります。次第に、高い内容に移ります。
A積極的な勉学意志のある学生諸君が関心を持つ内容の購読を、優先します。その結果、修士論文指導に大きな成果を生んできました。その成果は、下記にある、修士論文の報告書にある修士論文に書かれた、参考文献リストに現れています。
B原典購読に関心はあるけれども、フランス語の基礎知識が必要な院生が、学部(所沢開講)の、フランス語の授業を平行して聴講し、成功した例もしばしばです。
{演習}
@基礎的であり、また重要性を持った、西洋近代美術史の原書論文を、持続的で丹念に、長時間をかけて輪読します。基本的には、学生諸君が目標とする欧米の博士論文、あるいはその水準のものが部分的に刊行された論文を対象とします。博士論文を執筆する過程での著者の努力、工夫を、特に、脚注の解釈と分析を通して深く検証しつつ理解し、各自の研究に反映してもらいます。英語・フランス語が中心ですが、必要な際には、ドイツ語、イタリア語購読にも広がります。前期・後期のそれぞれのゼミを継続して行っています。
例:過去数年の輪読対象の論文 PANOFSKY(E.)《Et in Arcadia Ego》,Philosophy and
History: essays presented to Ernst Cassirer,edited by R.KLIBANSKY and H.J.
PATON,Oxford,Clarendon Press,1936,p.223-254.
ROSENBLUM(R.),Transformation in Late Eighteenth Century
Art,Princeton,Princeton U.P.1967 PACE(C),《Héros de légende:Achille et
Enée》,Nicolas Poussin,Coll.Louvre,conférences et colloques,Paris,La
documentation Française,1996,I,p.437-467(現在、輪読中).
A口頭による研究発表を、春夏の2回行われる合宿を中心に、集中的に行います。在学生、卒業生、学芸員、大学教員等との共同ゼミを行います。そこでは、学会発表が目標にされます。{山中湖日本大学セミナーハウスでの合宿の画像}
B美術館見学の実施と、作品の現場での分析の指導を行います。 C美術史研究のための、映像・情報処理技術の指導を行います。
a.写真撮影研究と映像資料のプレゼンテーションの研究と学習を、日芸以外では不可能な、デザイン・映像環境の中で実施します。
b.インターネットと美術史系参考図書を併用して、美術史に関する、基礎的な情報の入手。一方で、最先端情報へのアクセス技術の指導も行います。リンク集を参照して下さい。
D学芸員資格の取得を奨めます。学部で開講されている科目を科目等履修生として取得し(別個の経費が必要です)、一方で、学芸員実習に関しては、各美術館で実施されているインターン・シップへの積極的な参加を勧めます。過去の実習先としては、国立西洋美術館(2名)とブリヂストン美術館(3名)でお世話になりました。
E海外での研修・調査と留学への指導。 a.日本大学との海外提携校であるケンブリッジ大学、イリノイ大学の美術史担当教官(David
O'brien,Jonathan
Fineberg)、あるいは美術館スタッフとの連携を視野に入れた指導を行っています。一方で、フランスのルーヴル美術館、オルセー美術館、イギリスのワールブルグ研究所、オックスフォード大学アシュモリアン美術館(Christopher
Brown, Jon
Whiteley)、等にに在籍する、木村の旧知の学芸スタッフとの連携を重視した海外調査の方法を、ネイティヴ教員との協力で指導します。e-mailの時代には、かつては考えられなかった指導が現代では可能なのです。
b.日本大学海外派遣留学生制度を利用し、短期・長期の留学指導を行います。
留学資金に関しては、優秀な学生の場合、交流校への短期留学資金への援助も可能です。特に、後期課程在籍学生の長期留学には、日本大学海外派遣留学制度の他に、特別研究生、芸術学部奨学生の奨学金の組み合わせが可能です。
過去の事例:日本大学海外派遣留学生(2名)、特別研究生(2名)
c.外部留学資金入手への、指導を行います。特に、後期課程在籍の学生諸君には、フランス等の政府国費留学、日仏共同博士課程派遣学生、ロータリー財団、鹿島美術財団、花王財団などの留学助成制度への挑戦を奨めます。
過去の事例:ロータリー財団(3名)
F海外からの客員教授の招聘講演を行い、一方で、学会活動へ積極的なの参加を指導します。下記のデータに記した実績の通りです。
G特別講義の開催 博士論文を執筆する大学院生の専門を視野に入れ、その分野の専門家を招聘し、公開の特別講義を企画することがあります。
H論文刊行の指導
a.前期課程在籍者は、修士論文終了後、『大学院造形専攻制作・論文集』への投稿準備の指導とカタログ編集の研究を、デザイン学科・写真学科等の教官と共同で指導します。
←『大学院造形専攻制作・論文集』
b.後期課程在籍者は、研究誌『芸術・メディア・コミュニケーション』への投稿準備の指導。後期課程在籍者は、毎年、論文を刊行し得る可能性があります。
←『芸術・メディア・コミュニケーション』
3.制作現場にいることの特色:
日芸は、芸術制作の現場であり、4000人近くの人員をかかえたキャンパス自体が、総合芸術の大きなミュージアムであるともいえます。写真学科の誇るオリジナル・プリントのコレクションはその一例です。また、映像・音楽・演劇から見れば、膨大な、プロデューサー・システムでもあります。その意味から、日芸の院生である、ということは、常に制作現場の熱気のある環境にいるということを意味します。美術史を学ぶ院生にも、実技の授業への参加も可能です。
4.図書館内での、文献研究の特色:
木村ゼミは、図書館を中心とした以下のような教育に特色があります。文学系図書館では、図書はしばしば各個人の教官の研究室に保存されます。しかし、日芸図書館では、学生の図書活用の利便さが最優先であり、美学・美術史関係図書は、基本的に、図書館に集中管理されています。しかも、それらが、「開架」の環境にあり、自由に閲覧し、カラーの複写も可能なのです。
図書館に収蔵された西洋美術史関連文献が、他大学大学院との比較で考えると、西洋の近代美術史において、極めて高い水準にあることを指摘できます。洋書雑誌では、美術史だけでも、Gazette
des Beaux-Arts, The Burlington Magazine, The Art
Bulletinだけでなく、他大学にはない、Revue du Louvre, Bulletin de la Société de
l’Histoire de l’Art français, Archives de l’Art français,などのバック・ナンバーがあります。
この事実は、WEBCATによる検索で確認可能です。総合芸術研究の場であることから、関連分野の写真理論、や映画理論書にも瞠目すべきものがあります。また、担当者である木村の専門の一つが、アート・ドキュメンテーション研究にあるという理由から、次の2点に集約しうる、アカデミック・トレーニングの基礎訓練の徹底を目指しています。日常的な演習作業は、しばしば図書館内部で実施されます。
1.西洋美術史における参考図書活用法の、集中的な訓練と指導。開架図書館のなかでの、参考図書の整備がたいへん進んでいます。そうした環境下で、特に、前期課程の2年間には、その活用法の習得が重要な柱となります。参考図書の一部であると考えられるインターネット活用の徹底と平行して行われる検索学が、習得できるからです。
2.院生の専門にそれぞれ必要な、ルネサンス以降の一次文献の調査・研究の指導。刊行された報告書に確認できるように、高度な成果が上がっています。
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