第1回ワールドカップ DAY BY DAY
ワールドカップの、私的な日記から、あたりさわりのない部分を抜粋して、リポートします。今回は、公式にはIFAF広報担当として参加ですが、ピックアップは私的な部分から。
ゲームリポート、とくにジャパン(日本代表)に関しては極私的な傾向が出ていますが、40年に1度のことですので、ご勘弁ください。
6月23日(水)
ローマより到着。快晴、以後全ての日が快晴。気温は高い。剥き出しの岩肌が印象的な山々。とりあえず、午後2時にホテルにチェックイン。日本チーム関係者の到着を待つが、結局、深夜12時となった。全員無事。IFAF(世界アメフット連盟)関係者は、笹田英次会長、そして広報担当である私だけ。
6月24日(木) 快晴
朝食後に、10時より審判打ち合わせ。コーディネーターのカール・パガネリ氏の指導で8カ国11人が参加している。日本からは、喜入博、伊藤義樹両氏が参加、西独1、スウエーデン2、イングランド1、イタリア1、フィンランド2、オーストリア1、日本2、韓国1、の構成だった。各チームがボール7準備 (第2日より、急遽スポンサーであるNFLウイルソン球の使用に変更、各チームに4を支給した)、35点以上スプレッドの場合は時間を早める等を確認。
正午、IFAFとOCP(パレルモ組織委員会)との会議。OCPはジジオ理事長、IFAFHAアイラスマ事務総長、笹田、後藤の4人。(夫人急病のために宮下氏欠席)開会式次第等をはいめて決定した。その他、ヘルメットに広告(シシリー島)、毎試合後のコンサート、パスポート確認等。
大会ルールは(1)プールA,プールBの名称とする。(2)プール戦は延長なく、順位決定戦のみNCAAの延長戦。(3)順位決定は、直接対決、得失点差、総得点、コイントスの4段階。
急遽の笹田氏開会式挨拶は、日本語でのスピーチに。午後4時本部集合、混乱で5時15分出発。45分にスタジアム集合。そこでクレデンシャル発行で混乱、結局初期トラブルで2時間の浪費。
大会初日。
午後6時20分開会式開始。観衆は推定3千人。
全6チームが入場行進。開会宣言。
整列後、リージョナル、シティ、プロヴィンスの各代表、CANTO氏(イタリアフットボール会長)、5番目に笹田氏挨拶。好評のようだった。英語訳、イタリア語訳の場内放送があった。
選手宣誓はイタリア。
自転車用スタジマムで、昭和30年代後半の後楽園競輪場をしのばせる。左エンドゾーンに大型舞台を設置して、ハーフタイム、ポストゲームにはライヴを演奏(初日はゴスペル、2日目は男子ヴォーカル)、右エンドゾーン奥のスタンドにはレストランを設置、試合中に食事と観戦が楽しめた。後方の山が印象的。メインスタンド裏通路には、大会商品、案内所、後援のKISSKISSラジオ、スポーツドリンク等のブース等が並んでいた。Aボード、スタンドには協賛のBUD広告。公式協賛は、BUD、Georgie(ファッション),TRM、Holiday Car Rental,kisskissラジオの5社。
午後8時 グループA 第1試合 イタリア 28対7 フィンランド
(F)キックオフ。イタリア(I)は、最初のシリーズ自陣39ヤード3&6で、ダブルスロット隊形から、左にロールしたQB(12)からストリークを走る左WR(12)にパスを通して、WRがRACで約40ヤードの独走してTD。1分52秒残り。劣勢予想から一気にチーム士気がアップした。2Q、Iは敵陣で(28)がインターセプトして好機をつかみ、F16ヤード2&7、左WRモーションからQBが左にロール、左TE(40)にポストを通してTD、TFP―Kも安定。14対0とリード。
2Q終盤、ITが自陣深くから投じたパスを(48)がインターセプトしてFが好機を獲得、左RB(24)が右オープンを走り9ヤードのTD、Kも成功して、F7‐14IT。Fの追い上げムードとなったが、その裏の攻撃で、Iが自陣エンドゾーンでQBがロールしてパスするギャンブルプレーを成功、反則(パーソナルファール)まで誘い出してペースを引き戻し、(14)の37ヤードFGは失敗したが、14−7で前半終了。
後半も勢いにのった地元ITのペース、エンドトラップ、リヴァースカウンター等変化に富んだ攻撃を展開、最初のドライヴはFG不成功に終わったが、パントブロックからつかんだF陣32ヤードから、ショットガン隊形からの(4)ランで22ヤード、(4)の右オフタックルで10ヤードTD、21‐7として勝負を決めた。第4Qにも、9分36秒残りで、(25)がドロー、カウンター・プレーで走り、再び(13)‐(12)の5ヤードフェードパスを決めて、28対7とした。F最後の反撃、16プレー・ドライヴもTDに結びつかず試合終了。獲得距離はイタリア273、フィンランド157ヤード。
ITは先制点でリズムを握った。変化に富んだ攻守は、練習量十分で、ペースをつかめば得点能力は高い。地元開催に、選手の強い意欲を感じる。この試合で、ダークホースに踊り出た。優秀選手はQB(13)、WR(12)、RB(4)。ITの健闘で、地元の盛り上がりが期待できる。
欧州選手権3連覇中だが、日程上中位程度の単独チームが参加したFは、基本的な攻守にとどまり、プレーに幅がなく、判断が遅い。大型だが動き鈍く、T隊形からオフタックルでスピードランンナー(24)、パワーバック(36)を走らせるが、QBがパス力不足でドライヴ能力がない。テンポにつかんだITの奔放なプレー(ある時はセオリーを無視した)に反応ができなかった。優秀選手は、RB(36)。
6月25日(金) 快晴
日本協会所属のリクルートのデヴィッド・スタントン・コーチは、日本がW杯参加辞退を発表した以降に、オーストラリアから依頼を受けて、同代表のアシスタントをしていたが、日本の参戦をうけて自主的にコーチを辞退した。この件につき、アーストラリア理事より、国際的な普及を図る絶好のチャンスだったのに、大会直前に有能なコーチをアーストラリアが失い、これでまたアーストラリアの普及がスローダウンしてしまう、愚痴を聞かされた。現在のアメフットW杯が国際的な普及振興を最大の目標としているのは明白で、アメフット先進国である日本は、後進国に援助の手を
伸ばすのが、国際的な義務であろう。このあたりの国際常識をしっかり認識していないと、勝つためだけに参加したニッポン、世界的なフットボールブームにただ乗りするニッポンとの誤解を生むことになる。国際的振興策(ルール)ぐらい日本から提案したいものだ。
試合前に試合会場まで、ドライヴ練習(ジェシカ先生)。
午後2時より、OCPのディディオ理事長、IFAF側のオーストリアの理事、笹田氏と共に、今回の大会の課題につき打ち合わせ。
午後8時 グループB 第1試合 スウエーデン 22対6 オーストラリア
試合前の興味では、経験不足のアーストラリア(A)が体力をどこまで生かせるか。
スウエーデン(S)キックオフ。A攻撃はダブルフランカー隊形(ワンバック)からFLモーションの、京大スタイルオプション。最初のシリーズ、ダイブ3回、反則2回(オフサイド、ディレー)でパントと経験不足を暴露。Sはトリプルウイング右隊形(ワンバック)からパス攻撃でスタート、QB(12)がS48ヤード3&10で、右スプリントからスクランブルで16ヤード前進、反則(フェイスマスク)もあってA22ヤードの好位置へ。ここからは、ゾーンブロックを利用したアウトサイドハンドオフが有効で、5分46秒残りで、TB(29)が5ヤードTDラン。キック(33)も成功。7対0。
その直後、Aは持ち味のオプションにパスを交えて前進、第2Q42秒、右スプリントしたQB(16)からフェイドを走る左WR(80)へ40ヤードパスが成功して初TD。キックはブロックされて失敗。A6対S7となった。その後2回ずつパントする膠着状態となったが、2Q終盤にAにパントリターンへの激しいインターフェレンス(15ヤード)が出てSがS48ヤードのチャンス。TBのラン、短いパス、そしてA反則(ラフィン・ザ・パサー)でドライブ、前半最終プレーで、K(33)が20ヤードのFG、前半は10対6とSがリードした。
後半は両チームがファンブルを交換しあった後、再び膠着状態。3Q中盤になって、(スタートQBが前半最終プレーで負傷)交代した出場したA(11)が自陣30ヤードでファンブル。SはTB(29)がスイープで18ヤードを走り追加TD、キックは左にそれ不成功。13対6とSがリードを広げた。
第4Qには、Aはファンブルリカバーで得た好機に、交代TB(4)が48ヤードの独走でTD(キックは失敗)、28対7と勝負を決定した。Aは3人目のQB(85)を登場したが得点できなかった。
Sは大型ライン、2人のスピード豊かなバックでラッシング259ヤード(総計281)、ゾーンブロックが上位チーム(日本)に通用するか。
Aはオプション攻撃の核であるQB(16)が負傷して完敗。ラッシュは75ヤード(総計176ヤード)。経験不足から11反則(107ヤード)、3ファンブル・2ロストと自滅でもある。随所に試合前まで補佐した、スタントン・リクルート・コーチの影響がうかがわれた。
ゲーム優秀選手は、SはRB(29)GUSTAFSSON(141ヤード/25回、2TD)、Aは負傷したQB(16)YAEGER(4回3成功、69ヤード、1TD、13/8)。審判は順当
6月26日(土) 快晴
大会は休日。
車でセリヌンテ遺跡、エリス市、テラシニの日本チーム宿舎を訪問、高速道路を走り回っただけの気もする。約7時間のドライヴ。
6月27日(日) 快晴
日本の、金沢理事、野田氏到着。
試合前に、肥後氏要請でFIAF(イタリアアメリカンフットボール協会)のFAZIO氏より、FIFAオリジナルのパソコンによるスタッツ作成方法の説明を受けた。
午後8時 Aグループ 第2試合 メキシコ 89対0 フィンランド
フィンランド(F)キックオフ、メキシコ(21)はファンブル後にロングリターンでF5ヤードへ、2プレー目に(1)が3ヤードTD、1分13秒。M2回目の攻撃も、第1ダウンに左オプションプレー、RB(34)が約60ヤードを走りTD。3回目の攻撃も第1ダウン、QB(13)から(88)に33ヤードパスが決まりTD。開始4プレーで3TDを記録する圧倒的な力を発揮。前半に8TD、1FGを記録、59対0と、一方的な展開となった。後半には、メンバーを落としたが、4TD30点(2点トライ2回)を加え、最終得点は12TD、1FGによる89対0となった。Fは後半の攻撃を(失策の少ない)ダイヴのみに制限して、大量失点を防いだ。敗者のニーダウンで終了した稀有な試合となった。
Mは、基礎体力、サイズ、スピードも出色。特にスキルポジションのスピードは出色。リターンTD3回がその証明となろう。ほぼ全員がメキシコの大学選手、今回は米国大学選手、プロ選手は参加しないそうだ。ただし、体力差と緒戦の興奮もあって、パーソルファールを含め反則が12回110ヤードと多かった。優秀選手は、RB(34、3TD)または(1、3TD)。
フィンランドは獲得距離61ヤード、FD4回、Mは559ヤード、リターン312ヤード(リターンTDが3回)と圧倒的。
Fは4日間で2試合目の疲労からかスピード不足。パスがないのがイタイ。反則によるFD3回を除けば、FDは1回(ラッシュ)だけに終わった。今回の参加はほぼ単独チームで、実力的にはユーロボウルを大きく下回る。実力差から戦闘意欲も低下したが、試合後にMへ賞賛の拍手を送る姿に好感。
審判には問題は感じなかった。
6月28日(月) 快晴
近郊の、スタジアムに近い、海浜街モンデーロを訪問、シシリーのほとんどはロックビーチ(岩浜)。岩の上でのサンタンに、ポーズがキまらず苦戦。
日本初試合の日、試合前の私の予想は、42対10。
本部に日本人関係者が多く、午後4時のスタジアム行きでスタジアムに先乗りした。
日本チームは、オーソドックスな攻守で自チームの実力を確認したい意向があるが、一発勝負には、深慮(アドバンテージの確保)が必要なのだが。
グループB 第2試合 日本 24対14 スウエーデン
日本が先制したのは、試合開始後3度目のシリーズ。キッキングゲームで獲得したS陣26ヤードからの攻撃、RB樫野が中央(ドロー)を19ヤード走って初TDに結びつけた。キックも成功、7対0。2Q中盤には、不調の須永と代わったQB松本が冷静に指揮して前進、K中筋の33ヤードFGは失敗したが、堀江の26ヤードパントリターン、安部への14ヤードパスで攻め込み、最後はRB中村が中央のトラッププレーで13ヤードを走りTD(キック成功)、14対0とした。しかし、前半の日本は、対ラッシング守備はまずまずだったが、要所でミス(落球等)が多発して攻撃が十分に機能しない。
後半になって最初の攻撃、松本からSB板井へのポストが成功、板井はRACで40ヤードを走りきって58ヤードのTD、キック成功で、21対0としたが、これで日本の緊張が緩んでしまった。
後半から(高さを生かす)パス攻撃に切り替えたSは、2度目の攻撃で、トリプルウイング体型からQB(6)のスプリントパス(25、14ヤード)を展開、(6)から左WR(87)への20ヤードパス(インアンドアウトパターン)で初のTD、キックも成功して、7対24と追い上げムードをつくった。直後に日本は、ヒッチを捕球したTE友添がFDを狙ってファンブル、J39ヤードの好位置をSに与えた。ここで、日本守備は不要な反則を連発(3回、37ヤード)して後退、Sは(6)の2ヤードスクランブルでTD(キック成功)、14対21と追い上げた。
第4Qに入ると、Sはインターセプトで同点の機会をつかんだが、この試合のターニングポイントに、日本はLB河口を生かした厳しいブリッツ(ラッシュ)守備で対抗。J陣33ヤードの第4ダウンギャンブルを食い止めピンチを脱出した。日本は安部、堀口のNFLEL経験選手のプレーを核に慎重に前進、中筋の19ヤードFGに結びつけ、24対14と辛くもSを振り切った。
ユーロボウルでの自信からか、日本は正攻法で受けてたったが、失投・落球を連発して攻撃が不調(リクルート型スクリーンパス 落球4回)、追い上げられた後半は反則も多発(合計13回143ヤード)して大苦戦。WR堀江のオンワード型クイックスクリーンがエースプレーだった。中筋のキック、堀江のリターン等パンティングゲームにも随分と助けられた。現時点の評価では、メキシコと対戦すれば、10点差でメキシコが優位。獲得距離317(ラン103、パス214)。MVPは板井(5回89ヤード、1TD)、松本(25回16成功、172ヤード、1i、1t)、守備では川口の積極プレー。
Sは、優勝戦進出・打倒日本への意欲十分のプレー、後半パスに切り替えた攻撃戦術も的確で、米国コーチ指導もうなずける展開だった。獲得距離261(ラン93、パス168)。攻撃ラインのホールディングが少し多い。MVPはQB(6)。
審判は、過敏な判定(不正な判定ではない)が多かった。日本13回(143ヤード)、スウエーデン12回(113ヤード)、合計25回(257ヤード)の反則は、反則発生防止の対策(警告等)不足を感じた。
6月29日(火) 快晴
試合はオフ。午前11時ホテル発で、アグリジェントのTEMPLIの遺跡へ。高速道路を約130キロ2時間のドライヴ。迷っていた遺跡への道を、ガススタンドのバーにいあわせた不良っぽい青年が、約30キロのドライヴで先導してくれた。これが国民性、外交が日常の国であるイタリアならではのホスピタリティー、いいやつだった。
6月30日(水) 快晴
大会も残り5日、大事をとって外出せずに自重。
NFL関係者から、日本人NFLEL選手に関する問い合わせFAXが続々届くが、いずれも実現直前に、中止となる。約10時間の時差で、連絡も円滑にいかない。
Aグループ 第3試合 メキシコ 54対0 イタリア
地元イタリアが強敵メキシコと優勝戦出場をかけての対戦、観客が1万2千入場して、ヨーロッパ史上最多(OCP発表―真実ではない)、華やかスタジアムの雰囲気となった。
圧倒的破壊力をみせるメキシコに、イタリアの奔放なプレーがどこまで通じるのか。
第1Q5分38秒、メキシコ(M)は最初の攻撃の第2ダウンに、TB(44)がオプション・ピッチを56ヤードのTDに結び付け、キックはイタリアがブロックしたが、6対0。さらに、7分39秒にはQB((13)がスクランブルで25ヤードTD,9分34秒にはITのパントスナップミスをエンドゾーンで抑えTDと、第1Qで21対0とした。第2Qには、イタリア守備が健闘、メキシコに今大会初となるパントを2回蹴らせたが、3分8秒にはMはRB(34)のスクリーンパスで39ヤードの追加TD。前半はM28対0IT。
後半第3QはITの奇襲キックオフ(不成功)で開けたが、Mの攻撃はとどまらず、5分7秒には(34)、9分50秒には(13)のオプションキープで2TD。3Q終了間際、IT(22)が場内興奮の67ヤードのキックオフリターンをみせ、25ヤードFGトライに結びつけたがブロックされた。結局、第4Qにも(1)の83ヤードパントリターン、(33)の1ヤードランで2TDを追加、54対0の大差がついた。
M獲得距離は319ヤードとダウン。キッキングゲームで2TD。優秀選手は、QB(13)。
Fは、守備は健闘したが、要所で雑なギャンブルプレーがたたりTDは記録できなかった。獲得距離は、134ヤード。MVPは、リーダーのQB(13)、5回捕球で61ヤードを獲得したWR(12)。
7月1日(金)
グループB 第3試合 日本 54対0 オーストラリア
試合前は、アーストラリアのラフなプレーと体力に、負傷への不安を感じたが、レヴェルの差がそれ以上に大きく、後半は若手ものびのびと活躍した。ジャパンは、前日のメキシコと同じスコアで、決勝進出を決めた。
日本はサイズを克服する確実なブロック力で主導権を握り、毎Q着実な得点を重ねて、決勝にに向けてチームを仕上げた。第1Q1分44秒、RB樫野の43ヤードラン、9分44秒にはFBに入った安部の1ヤードラン。2Qには、0分30秒に須永から渡部への33ヤードパス、7分34秒に相手ワイルドスナップが場外に出たSF、10分56秒にはQB中沢から板井への25ヤードパス、前半で30点。後半は、メンバーを若手に変更、対メキシコ戦用のスクイーブキック等を試用しつつ、3Q8分40秒にはRB関野の5ヤードラン、11分50秒には須永から渡部への67ヤードのロングパス、4Qに入っては8分20秒 安部の1ヤードラン、11分46秒には、中筋が27ヤードFGを決めて、最終得点は54点となった。オーストラリアは、エースQBを負傷で欠き、TE(85)をスタートさせる苦しい布陣では、得意のオプショオンプレーは展開できない。交代出場した34歳のQB(11)が日本の早い反応を利用したスクリーンパスを随所で効果的に展開、観衆の拍手を浴びた。
日本は攻守ラインの活躍で、安定した試合振りだった。攻撃537ヤード、守備99ヤード、キック中筋がティーなしで悩み、2FGをミスしたのが気がかり。MVPは5回145ヤード、2TDのWR渡部、99ヤードの樫野。
オーストラリアは、エースQB負傷で、持ち味を出せなかった。あえてMVPをあげれば、QB(11)。
7月2日(金) 快晴
試合はオフ。
午前9時から、IFAF三役の打ち合わせ。
午前11時から、参加チーム打ち合わせ、パスポートチェック、ドーピングを順位決定戦で行う通告。
午後2時に、日本練習見学へ。約1時間30分のドライブ。皆さん、元気でした。黒澤先生も元気にストレッチしていた。
阿部敏彰監督の、選手を信頼した独特の指導が良い。ご存知だろうが、今W杯は、笹田IFAF会長―鈴木日本団長―阿部監督―佐々木主将―QB松本・須永と中核ラインが日本大学出身、日本フットボールを支えてきた男達の努力が結晶したチームといえよう。
7月3日(土) 快晴
午前9時より午後1時まで、IFAFコングレス(総会)。政治的課題、経済的問題、人事等山積したアジェンダを消化しきれず、翌日に延長。今回の当番連盟にあたる、EFAF(欧州連盟)の課題も深く影響している。
今日より、順位決定戦。各チーム、この大会を通じての進歩がみえる。
午後4時 5位決定戦 オーストラリア 10対7 フィンランド
フィンランドが先制したが、後半地力に優るオーストラリアが逆転した。
午後8時 3位決定戦 スウエーデン 38対13 イタリア
スウエーデンの順当勝。大会で最大のサイズを利した攻守は、今後欧州の核になるだろう。
7月4日(日) 快晴
午前9時より、IFAF総会、延長第2日。
最後に、役員選挙が行われ、メンバーが一新された。
会 長 フレデリック・パケ(フランス)
副会長 鈴木卓治(日本)
ミゲロ・メッサカリロ(メキシコ)
アルベルト・ディディオ(イタリア)
初代会長笹田英次さんは、今大会が最後となる。第1回W杯を実現した功績は大きい。
午後8時 優勝決定戦
爆発的なメキシコ攻撃を防ぐ、日本の守備とボールコントロール攻撃が勝敗に鍵。なんとかロースコアに。芝深く、ティーなしで狂ったキッカーの不調も不安。(ただし、4日前に芝の刈り込み は行われた)
日本キックオフ。メキシコで一番の武器である、キックリターンは正確にカヴァーできた。メキシコ自陣25ヤードの第2プレーを、DT池之上がフォースして、木村がファンブル・リカヴァー、ただし攻撃は完封され、K中筋が40ヤードFGを外し、無得点。試合のトーンはジャパンがつかんだ。以後、メキシコの小刻み前進を、ジャパン守備がビッグプレーで止める展開が続いた。第2Q直後、DE佐々木のファンブルフォース、河口リカバーで掴んだ好機も31ヤードFG失敗。日本は前半終了直前に、自陣28ヤードから、初のFD(!)を含む9プレーで62ヤードドライブした
が、(不安定なキックを避けた)敵陣10ヤードの1ヤードギャンブルランが失敗、前半は0対0。攻撃はメキシコ110ヤード、日本69ヤード。ターンオヴァー、メキシコ2、日本1。ジャパンは攻撃が低調で、守備のもぎ取った好機を生かせない。
場内は日本への応援一色。メキシコの力を精密なスピードで封じ込める日本に、イタリア観客が、試合を終わった選手達が、日本人応援団をリードする。満月の夜空に歓声が響く。
後半、メキシコのキックオフ。堀江が31ヤード好リターンするも、攻撃は進まない。守備は絶好調を維持、その裏のメキシコ攻撃シリーズを実質3サック(河口、木村、脇坂)マイナス23ヤードに追い込む。中盤、メキシコは47ヤードのロングランで、初の得点機を迎えたが、日本陣23ヤードからのFGトライでスナップミス。
第4Qに入ると、QB松本―SB板井、TE安部、WR堀江のパスで14プレー38ヤードという忍耐のドライヴも、メキシコの厳しいタックルに1ヤードの壁が破れない。ショートアウトパスを捕球した板井の全力のランが1ヤードで止められ,QBスニークも跳ね返った。だが、壮烈な消耗戦にメキシコのミス、反則が目立ちはじめ、モメンタムがゆっくりと日本に傾いてきた。CB竹下、佐藤と連続インターセプト、K中筋の47ヤードFG失敗と、日本がゲームを支配しはじめたところで、試合終了。ついに、優勝決定のタイブレークシステムに縺れ込んだ。
コイントスで、日本が先攻。直前に交代したQB須永が、乾坤一擲のプレーを展開した。25ヤードから、樫野6ヤードラン、WR堀江スクリーンパス10ヤード。9ヤードから、中村4ヤードラン。そして、5ヤードからI 体型、ダイブアクションした須永から左ゴールラインに飛び込むFB安部へ矢のようなアウトパスが通った。ベロドームに大歓声が響いた、劇的な6点、メキシコ今大会初失点。中筋のキックは外れ、不安が残ったが、守備が仕上げてくれた。メキシコの第1ダウン、ショートポストパスはTEの手をはね、S市川ががっちりボールに胸に抱え込んだ。結局、ジャパンのW杯は、市川で始まり、市川で終わった。
獲得距離 日本233(ラン70、パス163)、メキシコ198(110、88)。パス成功率、日本52.6%、メキシコ36%。ターンオヴァー、日本2回、メキシコ5回。反則 日本7回−66ヤード、メキシコ8回−87ヤード。サック、日本6回44ヤード、メキシコ0。
MVPは3回サックのLB河口を筆頭とする守備チーム、高野元秀守備コーチだろう。
第1回ワールドカップ杯に優勝したジャパン、私の目にした40年間で、最強のチームだった。
日本を世界の頂点に押し上げたのは、スピードと戦術。つきつめれば、それを可能にしたメンタル(精神)とサイコロジー(心理)。精神とは、フットボール技術の理解力、応用力。心理とは平常心、闘争心を保つタフネス。いずれも、65年間の伝統と恵まれたフットボール環境(高水準で厳しい国内競争)から生まれた。米国が不参加とあって、過剰な期待を背負ったなかでの優勝は賞賛したい。敢えてMVPをあげれば、河口、板井となる。彼ら、NFLEL勢の強靭なパワーは出色でチームの核となった。阿部監督以下、コーチもベストパフォーマンスだった。MVC(優秀コーチ)は高野守備コーチだろう(試合後、祝福の右フックをあごにくらわせた)。
コソボ紛争等による米国の参加中止、カナダの辞退、欧州代表の変動、ドイツ・英国・スペインの不出場、そして日本の出場にも紆余曲折があり、今後の課題は山積みだが、その環境から判断すれば、第1回大会は大成功だろう。
リーダーの立場に立った日本、次の課題は頂点を支える底辺の拡大と、世界を導くリーダーシップだろう。とりあえず、開催が未定な第2回W杯の日本開催を、世界フットボール界の頂点として、慎重に検討することから始めるべきだろう。そこから、やるべき課題が浮き上がってくるはずだ。
back
|