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第一部 怪談
亜衣ちゃんは、『アイドルグループのメンバーは全然わかんないけど、江戸川乱歩賞の受賞作を第二回以降全部いえる』
中学生からそんな道に走って大丈夫だろうか(笑)ところで「第二回以降」というのがなんだか思わせぶり。何にも知らない助手は最初、乱歩賞は第一回だけ何やら特殊なんだろうと思っていたんだけど、浅井氏毒書日記&先月あたりの葉山響氏の乱歩賞回顧によるとそういうわけでもないらしい。(謎宮会って便利ぃ(笑))亜衣ちゃんには何か第二回受賞の作家に思い入れでもあるのでしょうか?つくづく「濃い」中学生です。
第一部は、おなじみのメンバーが怪談をやっているところから始まりますが、その事件の真相(?)を教授が推理するという趣向になっています。児童文学らしくて、教授らしくて、それでいて大変効果的な第二部のブロローグですね。
第二部 夢の中の失楽
オープニング まどろみ
霧の中の情景は、第二部タイトルの元と思われる『匣の中の失楽(竹本健治)』を思い起こさせます。助手は、今回のタイトルが『夢の中の失楽』という噂を聞いてこの『匣の中の失楽』を読みました。ミステリファンならまず押さえている作品でしょうが、とりわけこの『機巧館のかぞえ唄』を語るにははずせない作品と言えます。『夢…』を先に読む人は、『匣…』を読んでどんな風に味わうのでしょう?
第一の夢 レム睡眠
1 パーティーへ行こう!
亜衣ちゃんはとある本格探偵小説を、古本屋さんを何軒もはしごして探したが見つからず、修学旅行で行った先の小さな古本屋で発見している。濃いミステリファンなら一度や二度はやったことがあるのではないでしょうか。
2 霧の中の機巧館
で、その小説が受賞したという『鮭紙賞』は、推理小説のなかでは最高の賞、とのことですが、現実に存在する賞をもじったりしたものなんでしょうか?(なんかいかにもそんな感じがするんだけど)助手はわかりません。誰か教えて。そもそも、今推理小説界で最高といえる賞というのは一体何なんでしょう?
ところで、パーティーに出席することになった教授と3姉妹。伊藤さんが用意したタキシードを教授は頑なに拒否しています。それについて亜衣ちゃんはこんな邪推をしてます。
(昔、タキシードでなにかあったのかな?タキシードを着た探偵って、かっこいいと思うけどな。)
ひょっとして、亜衣ちゃんはメ●カトル鮎ファンなんでしょうか(笑)
さて、推理作家平井龍太郎の経緯を説明するくだりで、『本格推理小説とは?』という解説が挿入されております。
『大事なのは、おもしろいか、おもしろくないかということ!』
これは亜衣ちゃんに言わせていますが、きっと、作者から若き読者へのメッセージでしょうね。(読了した人は、ここで「にやり」としてくれるかな?)
ちなみに、平井龍太郎がデビューしたのは、横溝正史が『本陣殺人事件』を雑誌『宝石』に連載しはじめたり、高木彬光が『刺青殺人事件』を発表した時代とか。
そうそう、夢水清志郎シリーズでは既に既出ですが、機巧館は最初、奇妙な館を設計するので有名な、中村という建築家に依頼したそうです(笑)本家の「館」の新作はまだかなー。もうゲームのYAKATAも出ちゃったことだし?
推理小説を書いている亜衣ちゃんの夢。一つは「読者への挑戦」をいれること。もう一つは「系図」が出てくるような作品を書くこと。本格推理小説の定義は人それぞれでしょうが、「挑戦状」と「系図」はかなりの人が本格と納得する要素でしょうね。
殺人事件と聞いて連想する名探偵として、たびたび亜衣ちゃんがあげているのが金田一耕助。きょーびの中学生はむしろ、「はじめちゃん」ではないかという気がするけど、亜衣ちゃんらしい?
中村さん、今度は書生?(笑)いや、仲村匠さんだもんね。別人か。
3 老作家のあいさつ、そして……
なんてったって、一流推理作家のパーティーですから、いろんな人が出てきます。
・黒い革手ぶくろ(以下略(笑))
・やさしそうな笑顔で手品を披露する人
・男の子の人形を持ったマリオネット使い
・エレキギターをかき鳴らす長身痩躯の男
さいごのひとは、伊藤さんがこのひとも推理作家だと説明してます(笑)
毬夫くんという男の子が出てきますが、青のブレザーに半ズボンに蝶ネクタイという出で立ちです。 まるで、マリオネット人形のようですね?まあ、江●川コナンという話もあるか。
作中で出てくるのでこれまた、『見立て殺人』の説明がなされてます。このくだりが、ミステリファンにはまたたまらない。ある「歌」にまつわる見立て殺人の事件解決(?)までの模様をたどってみよう。
・探偵は、あくまでもとうとつに質問しなければならない。間違っても時候のあいさつからはじめたりしない。
・探偵は何かわかったら高らかに笑う。
・探偵は説明の中で使う「おそらく」は「かならず」という意味を持っている。
・「みなさんもわかったはずです」は「名探偵(じぶん)にしかわかんねえんだよ!」という意味を持っている。
・探偵は謎解きの第一声を「さて」で始める。
・そして歩き回りながら話す。
・事件を整理したところで、探偵は関係者一同を見回す。
・そして高らかに歌う。このとき、関係ない曲を何曲も歌ってはいけない。
・ここで関係者の一人が怒り出さなければならない。「一体その歌が、何の関係があるというんだ!」
・探偵は、見立て殺人であることを指摘する。一同沈黙。
・しかししばらくして、何故見立てなんかやったのかという素朴な疑問が提示される。
・「アディオス!」と謎の言葉を残して探偵は風のように去っていく。
最後はまあともかく(笑)、探偵小説のお約束が小気味よく抽出されている。「本格」が好きか嫌いかは、こういうのをお約束として楽しめるか、「なんで得体が知れない人物が唐突にやってきたのにほいほい大事なことを喋るんだ!」とか怒っちゃうかで分かれるのかもしれませんね。
ここで『見立て』の代表作として、『そして誰もいなくなった(クリスティ)』『僧正殺人事件(ヴァン・ダイン)』『獄門島(横溝正史)』『悪魔の手鞠唄(横溝正史)』があげられています。はやみねかおるがこれらの作品に思い入れがあることは、既に自明ですな。
『見立て』を扱った作品の中には、上のお約束事件もそうだけど、なぜ見立てを行ったのかという理由がはっきりしないものもある。この点を不満に思ったことがある人ほど、『機巧館のかぞえ唄』は嬉しい作品ですね。はやみねミステリは(とか勝手に呼んじゃったりして)理由へのこだわりが特徴の一つではないでしょうか。
第二の夢 ノンレム睡眠
1 若き名探偵誕生?
もちろん彼です(笑)ファンはお見逃しなく。
2 事件を呼ぶ、数え歌
ここらへんはあんまりミステリネタはない…と思うんですが、あったら教えて下さい。
3 エレベーターの謎を追え
教授が針井さんに借りたというかなり厚い本、『薔薇なんとか』…これまた助手にわかりませんので誰か教えて。
第三の夢 覚醒
厳重警備にかかわらず毎日ポストに入っている、切手が貼られていない手紙。この超有名な「見えない人」を扱った作品が出てきますが、これタイトルなんだっけ…ってどっちにしろここに書くわけにもいかないか。
第三部 さよなら天使(エンゼル)
タイトルは、『バイバイ、エンジェル(笠井潔)』からと思われますが、内容ははやみねかおるの愛息子(ほんとうに愛らしいんだこれが)ののろけ話?(笑)
亜衣ちゃんは古本屋で、『あたしと真夏とスパイ(天藤真)』を手に入れたようです。長年探し求めていたようだから(って小学生の時から?)レアな本なんでしょうか?
作中に出てくる赤ちゃん、創人くんに教授は、探偵の基本を教え込む。密室殺人、時刻表もの(?)、発見されない凶器…創人探偵が鮮やかに事件を解決(笑)いずれは、たく、いや、創人くんの活躍する別な物語が読めるみたいですね、楽しみがまた一つ増えました!
なんだかんだいって、第三部はなくてはならない作品です。
羽衣かあさんファンも必見!
さて今回は謎どころかストーリーにもほとんど触れずにやってきたつもりですが、それでもこれだけ長くなってしまいました。作品そのものの文量に対してこのミステリネタの濃さといったら…(笑)ミステリファンにとって楽しいだけでなく、これからミステリを読んでみようと思う子供たちにも役に立つんじゃないでしょうか。
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