研究発表
『機巧館のかぞえ唄』の感想,補足。
『機巧館のかぞえ唄』の感想は、謎宮会で書きまして、他のみなさんの感想も興味深く読ませていただきました。
そのうえでちょっとだけ、自分の感想に補足をします。

詳細は書いてませんけど、結構ネタバレでしょう。未読者はご遠慮いただいた方が無難です。
謎宮会の方の感想を読んでからじゃないと、いってることがよくわかんないこと請け合い。





なるほど、高橋さんが5点をつけたのは納得です。
自分が子供に勧めるかと言われたら、そりゃ薦めます。今の子供(ってとりあえず小学生ぐらいを想定してるけど)たちは、金田一少年とかコナンとか、またミステリに限らずいろんな媒体のいろんな作品で、殺人や残虐なシーンを日常目にしていますから。はっきりいってこれくらいの描写はなんでもないでしょう。それは十分承知してます。

それでも、はやみね作品は今までそれらと一線を画していたと思います。だからこそ、子供向けという範疇を越えてほしくない。今回越えたとはいわないけど、ボーダー踏んでます(私的見解)。
もちろんそんな範疇というのは大人が勝手に作ったもんではあるし、私が「子供」であったならそんなもん押しつけるなとかぶーぶーいってそうですが(笑)

それから、私が今回マイナス材料であげた、他作品で既出のトリックが多すぎるという点は、はやみねかおる既作品でも気づいてはいたのですが、今までは扱いの心地よさ(料理がうまいってことですね)及び作品の世間的な位置づけから許容していた感があります。つまりは基準を引き上げた結果のマイナスです。

はやみねかおる作品の読者の中では、こうやって「ミステリかどうか!」とかごちゃごちゃ気にするような人間は少数派です。これは誰々のトリックだとか気にせずに読んでる人の方が多いはず。そういう人たちにとっては既出のあまり問題ないのでしょう。
ただミステリとしての期待を寄せる少数派にとって、高橋さんがかっこ内で懸念している件はそんなに軽い問題ではないように思います。

今回きついなあと思ったのは「匣の中の失楽」を連想させる部分です。私は幸い「匣」から読みましたけど、これから「匣」を読む人はちょっとがっかりしないか心配。っていうか私なら「からくり」を先に読んだことを後悔すると思います。いや、これは人によるんだろうけど。

オマージュでも(パロディでも、って明確な定義分けはわかんないけど)楽しめればOKなのは私も同じです。でも、オリジナルで仕掛けが面白いのにはやっぱりかなわない。はやみねかおるはオリジナルのトリックを仕掛けられる作家だと私は思っています。この辺も、期待が基準を引き上げたうえでの要求ではありますね。

というのが実はかなり前に書いた「補足」なのですが、これを原稿にしている現在、メフィスト賞作家の一人、乾くるみ氏が「匣の中」というのを書いてますね。
助手はこの作家さんはあんまりタイプじゃなさそうな気がするので、しばらく手を出す気はありませんが、どんなもんなんでしょうか。読んだ方、感想教えてね。