【Dragon Quest9】

■オリガと あると の願い[1]

掲載日[2009/09/23]














 静かな漁村の集落、通称ツォの浜と呼ばれるところには、百にも満たない人々が肩を寄せ合うように暮らしていた。
 以前、海の主という意味なのだろう、ぬしさま、と呼ばれる怪物を呼び出すことができる少女オリガに頼って、人々は暮らしていた。ぬしさまとやらを呼び出すと、そのおかげで苦労せずとも魚を得ることができた。人々はその力に頼りきって堕落し、ついには村人は漁に出なくなるという漁村という名にあるまじき行為が目につくようになっていた。
 すでに亡くしたとはいえ、漁師だった父の子であるオリガは、この事態をおかしなものとして捉えるようになった。なんとか村を正常な状態に戻したいと思ったときに、まるで天の使いのようにふらりと現れたのが、 あると 達だった。
 オリガの真摯な言葉に耳を傾け、 あると 達にはオリガの言葉が正しいと思えた。この村をあるべき姿に戻すために、 あると 達はオリガに力を貸した。
 そうして、このツォの村は、本来の姿を取り戻し始めたのだった。

 その後、久しぶりに あると 達がこの村を訪れてみると、オリガは漁を初めて経験したという話で持ちきりだった。村人はそのことが誇りであるかのように、旅人の あると 達に嬉しそうに何度も報告してくるのだった。
「変ッなの〜!」
 レッティが宿屋で個室に入るとすぐにそう言った。
 ジェイドとシジーはレッティが開口一番そう言うだろうと思っていたのだろう、二人は顔を見合わせると肩をすくめた。 あると は暑苦しい兜を外しながら、何が?と眼をレッティに向ける。 あると のわさわさとしたヤシのような髪の毛がぺったりと抑えつけられているのを見て、シジーは笑いそうになるのをなんとかこらえた。
「ここのひとたちよ。前に来た時は漁なんか二度と出なくていいんだ〜とか喜んでてさ、今度は漁を出ることに昔から誇りを持ってたんだ!みたいなさ。なにそれ?じゃあ最初っからちゃんと漁に出てろってのよ!」
「それはそうかもしれないけど…毎日の生活に疲れる時があるのよ。きっと」
 シジーも盾を下ろしながら、ふうと息をついてベッドに腰を下ろす。腕力がない故の僧侶の職であるというのに、重い盾を持たなければならないということが少し苦痛だった。しかし自分の身は自分で守らねば、という信念が彼女をなんとか奮い立たせている。
「ええー!漁が嫌なら村を出ればいいのよ!ここなんてダーマの神殿にすんごく近いじゃない。転職するならもってこいの立地なのよ!実際、ダーマの神殿にここの漁師がいたじゃない」
「でも、きっと生まれ持った物を簡単に手放せる人ってそういないんじゃないかな…」
  あると が鎧も外してしまうと、ベッドに腰かけて俯きながらそう言う。ジェイドもそれに頷く。
「特にこういう人の出入りが少ないところじゃな。ここの村だけが自分たちの世界だったら、それはもう漁を選ぶしかないんだろうな」
「ふーん。理解できない。私なら嫌なら辞めちゃうわ。時間がもったいないもの」
 レッティがそう言うのに、シジーが笑う。
「ほんとね。時間がもったいないわ」
「なんで笑うのよ?」
 莫迦にされた、と思ったレッティは膨れたようにシジーを睨むが、シジーはにっこりと笑いながらレッティの誤解を解こうとする。
「レッティのそう言う考え方、私には及ばなくて。すごく真っ直ぐで最短で、素敵だなって思って」
「素敵だなってまるで他人事みたいな感想ね。普通みんなそう思わないの?」
 レッティはシジーが腰かけたベッドに同じく腰かけると、ごろんと横になって肘をついた。不思議そうに3人を見上げてそう言うと、シジーも あると も黙り込む。レッティの言うことが間違いでないことは分かるのだが、自分ができるのかというと話は別なのだ。仕方なく、沈黙を破るようにジェイドが口を開いた。
「思ってても、みんながみんな簡単にできることじゃないってことだな。俺、体洗ってくる」
 常に敵の先手を走る武闘家のジェイドは他の3人よりもひどく体が汚れていたようだ。
「裏手の小川がちょうどいいんじゃないかしら。行ってらっしゃい」
 シジーはジェイドの余計な荷物を受け取ろうと手を伸ばすと、ジェイドは少し微笑んでシジーに手渡した。ジェイドはさっさと宿屋を出て行ってしまうと、残された3人は気が抜けたようにベッドに体を横にした。
 実は、最後の戦いの後、初めての夜だった。
 その時の戦いでシジーは力尽きて動けなくなってしまったし、残りの三人もほとんど生きているのが不思議というほど体がくたくたな状態だった。ダーマの神殿の教会に行って、シジーの意識を取り戻してもらうと、すぐに あると はこの村に行くと言った。 あると と女神や天使たちの間で交わされた言葉を聞いていたが、ツォの村に行けというような指令があったようにも思えず、シジー達は あると の行動を不思議がった。しかし、今更嫌がる理由もないのだし、 あると と旅することを終りにしたくないと誰もがそう思っていたのだろう、三人は あると が決めた通りにこの村に同行したのだった。
「あると、どうしてこの村に…?」
 シジーが寝転がったまま あると に訊ねると、自分のベッドで横になった あると はしばらく天井を見つめていたがやがて、シジーの方に体の向きを変えた。
「女神の果実がひとつ、海に落ちていくのを見たんだ。ダーマの神殿で光るものが海に落ちたって話を聞いて、それで一応ね」
「え!あれで全部じゃぁ…なかったの?」
 シジーは驚いて声を上げる。レッティも聞き捨てならない、と思ったのか顔を渋らせて寝ころんだまま あると の方に顔を向けた。レッティが冷たく言う。
「禍(わざわい)の実ね」
「そうとは限らないけど…、とにかく気になって」
  あると がレッティから目をそらす。結果、同じベッドに横になるシジーからも目をそらすことになる。
「天使様の使命だものね…」
 シジーが悲しそうに一言そう言った。あるとは、何も答えない。
 あるとは守護天使だった。だった、というのは過去のことだからだ。彼は天使界の天変地異のせいで天から落ちて、羽根と天使の輪を失ったのだ。それのみならず、最後の敵と戦うためには あると は天使を捨て、ただの人となる必要があり、彼はその運命を受け入れた。今は あると はただの人間となっていたが、天使の守護神たる女神セレシアは あるとが人間となったにも関わらず、再び あると に難題を突き付けたのだった。
――他の天使はみな星空の守り人となります。けれど あると、あなたは地上でひとびとの守り人となってください。
 優しき女神の穏やかな声が、シジー、ジェイド、レッティには、ひどく残酷に響いた。

「あの、あるとさん。ちょっといいですか」
 個室のドアのノックのあと、小さな少女の声がした。
「オリガの声だ。どうしたのかな」
 一度不穏に曇りそうだった空気を払うように、あると が元気よく声をあげて立ち上がった。シジーとレッティも寝転がっていた体を起して、来客に備えた。 あるとがドアを開けてやると、ドアの向こうには不安そうに立ち尽くしたオリガがいた。
「どうしたの、入って」
「あの、ごめんなさい。お休み中でしたよね」
 オリガはおろおろと あると を見てから、シジーとレッティに目をやると、ぶんっと風の音が鳴るほど勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさいごめんなさい!でも、明日もしかしたら あるとさんいないかもしれないし。今逃したらなんだか、うまく話せないような気がしてて、それで…」
「いいよ。大丈夫だよ、オリガ」
 あるとはそう言って、安心させるようにオリガの肩に手をやると、小さな木の椅子を勧める。オリガはごめんなさい、とまた呟きながら、椅子にちょこんと腰かけた。
「どうしたの?何か困ってるの?」
 あるとが優しく声をかけると、オリガはこくん、と頷いた。
「この村にはその昔、本当にぬしさまが現れていたんだそうです。昔はぬしさまが現れるための巫女様がいらっしゃったみたいで…私、そのぬしさまに会いたいんです」
「はぁ?」
 呆れた声が容赦なく響いて、オリガはびくっと肩を震わせた。シジーはレッティを見つめる。さっきの呆れた声はレッティの声だったからだ。レッティは腰を下ろしたベッドからは動こうともせず、言葉をつづけた。
「オリガ、アンタ前会ったときなんつったっけ?ぬしさまを呼ぶのを止めたい、そう言わなかった?」
「ははははい!その通りです」
 オリガは震えあがりつつも、なんとか返事をした。 あると が、黙ってオリガとレッティの顔を見つめている。 あると は、レッティが何を言うのかわかっていたが、止めることはできないと思った。人間たちの営みの一つである会話を遮断することが、天使として行っていい行為かどうかわからなかった。
  あると は今自分が、天使として振る舞えばいいのか、人間として振る舞えばいいのかわからずにいた。
「それで今度は『ぬしさまに会いたいんです』?ほんっと、いい加減よねぇ、人間って。もしこの世に天使様や女神様がいたらさぞお嘆き悲しむでしょうねぇ!ねぇ?あると!?」
「レッティ!言いすぎよ」
 シジーがレッティの手を握り締める。レッティがそんなシジーを見つめ返すと、シジーの手を握り返す。
「知ってるわ。でも言わなきゃ気が済まない」
 レッティの手はシジーがレッティの手をつかみやすいように握り変えていた。レッティは知っているのだ。本当はこの台詞をシジーが言いたくてたまらないのだということを。けれど、彼女は僧侶という職についていて、慎み深く敬愛の情に心を満たさなくてはならない。しかしレッティならば盗賊だからその足枷はない。彼女の心がぶれるのを、レッティは陰ながら支えようとしているのだ。
 シジーは泣きそうになりながらも、シジーの手を握り締めた。
「ほどほどでいいの。ごめんなさい。あなたにそんなことをさせて」
「違うわ。私は私がやりたいことしかやらないし、言いたいことしか言わないもの」
 にっと笑いながら、レッティはそう言う。シジーはそれでも、と続ける。
「これ以上はやめて。オリガも あると も、きっと困るわ。それにレッティも、これ以上続けたら後で後悔するでしょう?」
 ぐっとレッティの手を握り締めて、シジーがもう一度小声で言う。お願い、やめて、これ以上 あるとを苦しませないで。
 言われて、レッティは肩の力を抜く。シジーがここまで懇願するのではしかたがない。レッティはふん、と鼻息荒く息をつくと、すっと立ち上がる。
「外の風に当たってくるわ。話なら信心深い我がパーティの女神ことシジーと、天使のような心優しき我がリーダー あるとがきっといい方向にお導き下さるでしょう。でもオリガ、私の言ったことは本当のことよ」
「はい、わかっています」
 オリガはうつむいたまま頷いた。
「わかってるならいいわ。話、決まったらあとで教えてね、おふたりさん」
 レッティはそう言うと、部屋を出て行った。
「ごめんなさいね、オリガ。びっくりさせて」
 シジーはなんとかこの場を取り繕うように言葉を発した。オリガはゆっくり顔を上げると、いいえ、と首を振る。
「本当のことですから。レッティさんは間違っていません」
 きっぱりというオリガに、シジーはありがとう、と返す。所在なさげに立ち尽くしていた あると にも、シジーは声をかけた。
「あるとも、レッティのことをどうか許してね」
「シジーが謝らなくてもいいのに」
 少し笑って あると がそう言うのを、今度はシジーが首を振った。
「ううん、レッティの言葉は私の言葉でもあった。けどレッティは謝れないから私が代わりに謝るの。ごめんなさい」
 あると はそんなシジーをもの珍しそうに見つめると、にこりと微笑んだ。
「シジーとレッティはまるで姉妹だね」
 それを聞いて、シジーとオリガが不思議そうに顔を見合わせた。
「全然似てないけど?」
「そうですよねえ…」
 そう言ってから、二人はくすくすと笑う。 あると は何がおかしいのかがわからず首をかしげていると、オリガがやがてそうだ、と用件を思い出して口を開いた。
「私、ぬしさまにどうしてもお会いしたいんです。先日漁に初めて出た時にそれらしい影を見つけてしまってから、ずっと気になっていて…。けれど昔巫女様がどうやってぬしさまを呼び出していたのかわからないんです。村の人にも聞いて回ったんですけど、さすがに全員には無理で。そのお手伝いをお願いしたいんです」
「話を聞いて回ればいいんだね。それくらいなら大したことないな。みんなで手分けすれば一日もたたずに話をきけるだろうし」
  あると は聞きながら頷いた。シジーも特に反論はないようで、隣でおとなしく聞いている。
「ありがとうございます!それじゃ、明日からよろしくお願いしますね。お邪魔しました!おやすみなさい!」
 オリガは あると が引き受けてくれたことを心底喜ぶと、早々に部屋を退散した。夜遅くまで邪魔するのが忍びなかったのだろう。
 やがて、シジーは あると に目をやると、くす、と笑う。
「なに?シジー」
「ぬしさまのこと、 あると も気になってるんでしょう」
 シジーがそう言うと、 あると は一瞬びっくりした顔をシジーに向けてから、素直に頷いた。
「良く分かるね、シジー」
「あるとってわかりやすいもの。海のぬしさまならば海に落ちた女神の果実に関することを知ってるんじゃないかって…そうでしょう?」
「うん。何か手掛かりになればって思うよ」
  あると はそう言って、またベッドに横になった。やはり戦いの疲れがでているのだろう。 あると はバトルマスターとして剣を振るう職業だった。武闘家ジェイドが先に打ったところをさらに剣で深手を負わせるのが あると の役目だ。先に打ったところを再び剣で狙うのは相当な集中力と体力を必要とするはずだ。
「シジー」
「なに?」
 横になった あると の体に毛布をかけようとしていたシジーが体を止めて、あると を見る。あると は明かりを避けるように、腕を顔に被せていて表情が読み取れなかった。その腕から辛うじて見えている口がやがて動いた。
「聞いてほしいことがあるんだ」
 シジーは毛布を あると の腰辺りに掛けてから、あると のベッドの足もとの方に腰をかけた。
「何かしら」
 シジーは落ち着いた眼差しで あると を見守ると、声をかけた。
「僕は、人間として振舞っていいのかな?」
 あると の言葉に、シジーは息をのむ。難題を突き付けられてしまったので、シジーは頭が真っ白になりそうになった。
 あると は落ち着いた声で続けた。
「女神から天使の使命を帯びた僕は、体は人間になってしまってもまだ振る舞いが抑制されているような気がしてならないんだ。天使は人に見つかるべきではなくそっと見守り、必要なときのみそっと手を差し伸べる。そんな抑制がね。持った物を簡単に手放せる人なんていないって、多分、僕は自分のことを言ったんだ」
「…ええ、わかっていたわ」
 なんとかシジーはそう言うと、静かに頷いた。あると はシジーのその言葉に、がばっと起き上った。
「シジー、わかってたの?」
 あると の言葉に、シジーは頷く。顔を あると に向けると、シジーは泣いていた。
「あなた、わかりやすいもの。いいえ、 あると がわかりやすいんじゃない。 あると の陥った状況で悩まない人なんていないと思うの。天使に生まれたあなたが、仲間の天使の禍で羽根と輪をなくし、女神の指示で人間にされる。そのうえ人間になったあなたなのに、女神からは同じ人間の守り人という使命を与えられる。こんな道をたどるあなたの苦しみがわからないはずないわ」
  あると はシジーの涙を信じられないような顔で見つめていた。
「ジェイドも、レッティも…?」
「ええ、きっとあなたの苦しみに気づいている。だから、あの戦いの後も、あなたの傍にいるのよ私たち。 あると が心配でたまらなくて。それに、私たちあなたと居たいの。だってあなたのこと大好きなんだもの」
  あると はそれを聞いて、ほっとしたように笑った。肩を落としてうつむくと、毛布の上に置いた手を握り締める。その手が震える。
「ずっと悩んでいたんだ。僕が受けた天使としての使命に君たちを巻き込んでいいのかって…。地上に着いたら、すぐにお別れしなきゃいけないんじゃないかって…それがずっと僕は怖くて。だから僕は神殿ですぐにツォの浜に行くって言ったんだ。誰も僕から離れないことを願って、でも、誰かが離れるようだったらそれは仕方ないって思って…」
  あると の声が震えて、ぽたぽたと滴が手の甲を濡らした。シジーが泣きながら、そんな あると を笑う。
「莫迦ね、 あると 。そんなことあるわけないじゃないの!」
 悲鳴を押し殺したようなシジーの声に、つられたように二人が現れた。
「ほんっと、見くびるのも大概にしなさいよね」
「ったく、本当にここまで大莫迦者とはな」
 レッティとジェイドだった。 あると は涙を拭くのを忘れて、入ってきた二人をぽかんと見つめる。
「つまらん話をしていたようだが、要は明日は村人と話をすればいいんだろう。今日は疲れたから先に寝るぞ」
 ジェイドは あると を一瞥してから、自分のベッドにもぐりこむ。そして、 あると 、と声をかけた。
「なに?」
「お前、さっきみたいなアホなこと二度と言うなよ。どんだけの付き合いだよ俺たち。いやなことに無理やり付き合う連中がここに一人でもいたか?」
「そーそー」
 レッティも、自分のベッドにもぐりこみながら相槌を打つ。
「私もジェイドもやりたいことしかしない主義よ!あ、シジーはいい子ちゃんだからわかんないけど、さっき言ったように あると 大好きだから大丈夫!」
「ちょっと!どこから聞いてたのよ!オリガの話も二人ともわかってるみたいだし!」
 シジーが耳まで赤くなりながらレッティに喚いた。
「さぁね〜。壁に耳ありショージに目ありってやつ?でもショージってなんだろね?おやすみ!」
 レッティが言いながら毛布を被ってしまったので、シジーは悔しそうに手近にあったものを何か投げつけようとしたが、あいにくさびれた漁村の宿には余計なものは何も置いていないのだった。
 はぁ、と息をついてシジーは立ち上がると、自分のベッドに向かおうとした。そのとき、 あると が声をかける。
「シジー…」
「なっ、なに?」
 このタイミングで話しかけられるのは無しだ!とシジーは思ったが、 あると のことだからそんなことは少しも思い寄らないに違いない。後の二人が毛布の中で耳だけは大きくしているかと思うと気が気ではないのだが、仕方無い。
「ありがとう。君にはいつも救われるよ」
  あると の無垢な言葉に、一瞬にしてシジーは救われる。本当にこの人は天使なのだと、いつも思わされる。
「私もありがとう。私の役目を見出してくれた あると にいつも感謝してるわ」
「おやすみシジー」
「おやすみなさい、 あると 」
 シジーもようやくベッドの中で一息つくと、レッティが小声で話しかけてきた。
「シジー!あんたあんなんで告ったつもりじゃないでしょうね!」
 シジーはむっとした。やはりレッティはずっと外で聞き耳を立てていたようだ。そういえば盗賊ともなれば、そういうことに長けるのも頷けるのだが、仲間に対して行使するのであれば今度はちゃんとお仕置きする必要がありそうだ。とりあえず、この場は無視することにした。
「聖職者のくせに人の話に耳を傾けないなんてどういうことよ!ったく!」
 ぶつくさといいつつ、やがてレッティは静かになった。シジーははぁ、と息をつきながら、今日あった酷い戦いが夢に出てきませんように、と天に祈り、眠りについた。







to be continued.

■ネタばれ全開なのですが!もうどうにも辛抱たまらんw

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