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【Dragon Quest9】 |
| ■オリガと あると の願い[4] |
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掲載日[2009/09/27] 次の日、リッカのベッドのおかげか寝起きの良かった二人をつれて、四人は朝早くからセントシュタイン城を出かけた。西側に水辺のある場所だったという、 あると のうろ覚え情報を頼りに地図を開いて目星をつけたところを回る。その間、もちろん怪物たちがうろつくその場所では、性懲りもなく四人に襲いかかってくる。 しかし、悪の親玉とも言うべき存在を倒した四人にとって、地上をうろつく怪物など目ではない。大きな棍棒を担いだ巨大な怪物トロルが現れても、四人は眉一つ動かさなかった。ジェイドが足払いで巨体を転ばせた後、シジーの槍が疾風のように飛び込んで行く。レッティも攻撃力を削ぐためにトロルの右手に深手を負わせ、 あると がトロルの巨大な体に剣を突き刺してとどめを刺した。トロルは結局立ち上がる暇もなく力尽き、ふっと光に姿を変えてしまった。その場に残されたゴールドを、レッティが珍しく拾いながら嬉しそうに声を上げた。 「やっぱこういう冒険ってなかなかやめられないわー!お金も貯まるし!」 「こっちが強い時じゃないといえないセリフだな」 シェイドが体についた砂を払いながら、そう言った。レッティはジェイドに向き直ると、当然じゃないの!と胸を張る。 「苦労したんだからいいじゃないの!楽しくて何が悪いの!」 「悪いとは言ってない」 面倒そうにジェイドはレッティに一瞥をくれると、勢いあまって地面でへたり込んでいたシジーに手を貸す。 「あ、ありがと、ジェイド」 差しのべられたジェイドの手に気づいて、シジーが恥ずかしそうに笑ってその手を手を取った。 「頑張りすぎなくていいぞ、シジー。お前は僧侶だからな」 「ううん。私もできることはちゃんとやりたいだけなの」 にこりと笑って、シジーはありがとうジェイド、とお礼を言った。手を貸してくれたことよりも、ジェイドがシジーに気遣っていることがわかって、それがシジーは嬉しかった。 「うーん、それにしても、ここじゃなかったかなぁ…」 あると は あると で、『かがみ石』の記憶をたどるようにその辺りをうろついた。他の三人はかがみ石を拾った場所までは覚えてないというので、こればかりは あると の記憶が頼りなのだ。 「ここだと思ったんだけどなぁ。もしかして前に拾いすぎちゃったかな。しばらく時間がかかるとか」 独り言ちながら あると は、下を見ながら歩きまわる。他の三人も歩きながら『かがみ石』を探すのだが、そんなにきれいな石はここにはなさそうだった。 「ここじゃないのかも。水辺って記憶だけで、海じゃないかもしれないんでしょ?」 レッティがそう言って あると に訊いてみると、 あると も自信なさそうにうん、と頷いた。 「違ったかな。ごめん。他の場所に行ってみようか」 「俺たちも覚えてないから、謝る必要はない」 ジェイドは あると に一言そう言って、地図を開いた。別にもいくつか目星をつけたところがあるのだ。四人は地図を覗き込みながら、次の場所を確認しあいルーラと船を駆使して結局世界中を探索して回った。 しかし、めぼしいところを回ってみたが、目当ての『かがみ石』はなかなか見つからなかった。しかし素材のありそうなところを歩き回ってるせいか、素材だけは着々と袋にたまっていった。 「これってついでに錬金の素材も集められるからいいかも。世界樹の葉もたくさん拾っておこうよ!」 船の甲板でレッティが今日の収穫したものを袋から出し入れしながら、上機嫌にそう言った。それだけ袋に集まったということは、それだけ世界中を回ったという証でもある。レッティはお金や物が貯まるを見てるのが好きな物欲的な性格なようだった。 「でも、見つからないわね。肝心の『かがみ石』…こんなに苦労するとは思わなかったわ」 シジーもさすがに一日中移動づくめで疲れが出たようだった。この四人の中で体力的に一番劣るのはシジーだった。 「そろそろ太陽も沈むしな。…けど夜の方が光って目立つかもな。今日も月が出るだろうから」 ジェイドは一日で一番きれいな太陽の姿を見つめながらそう言う。赤く焼けた太陽の光が、地上の全てを朱に染め始める。すでに一行がセントシュタイン城を出てから、結構な時間が経っていた。 「一度宿で体を休ませて夜出てみるか…」 あると の言葉に全員が頷いた。船が方向をゆっくりと回転させて、セントシュタインに向けて走り出した。 一度宿で休息を取った後、深夜四人は再び街を後にした。月の光の反射を頼りに探してみようという作戦だ。しかし、夜は夜で怪物の活動が旺盛になる時間でもあった。四人に絡んでくる怪物がどんなに弱くても、立て続けに襲われると難儀になってくる。四人はほとんど無心で武器をひるがえしながら、目では地面を追っていた。 そうしてようやく見つかった場所は思いもよらない場所だった。西側に水辺というのは確かにあっていたが、川だったのでめぼしい場所から外されていたのだった。 「やっぱり地図だけで目星を決めるっていうのも問題ね。歩いてみないとわからないものなんだわ」 やっと手に入った『かがみ石』をしみじみと見つめながら、シジーがほっと息をつくようにそう言ったのにジェイドが頷く。 「今回の反省点だな」 真面目腐ってジェイドが言うので、シジーは少し笑った。しかし、疲れが先に出てあまりうまく笑えなかった。 「あーもう本当に疲れた!もう宿で寝ていいでしょ? あると 」 あると にレッティがねだってそう言った。 あると はそんなレッティに笑顔を返した。 「もちろん。今日はありがとうレッティ。それに二人とも。宿に戻ってゆっくり疲れをとろう!」 あると はそう言って四人を労うと、すぐにルーラの呪文が唱えた。四人は瞬時にセントシュタイン城の前に立つことができた。 あると 達は宿屋に直行し、リッカに顔を出してすぐさま部屋を用意してもらう。リッカはいつも通りの満面の笑みで四人を迎えると、いつもの部屋にどうぞ、と案内した。 「ここのベッドって本当最高!ここだったら何時間でも寝てられるわ」 レッティはクエストがほとんど終わったも同然だと思ってか、ずいぶんとハイテンションになっている。対して、シジーは頷くのがやっとというような状態だ。部屋に行くための階段を上るのもつらそうだ。 「シジー、今日は早く寝た方がいいよ」 あると が気遣ってシジーに声をかけると、シジーは弱々しく頷いた。本当に疲れ切ってしまったようだった。ジェイドがシジーに声をかける。 「おぶってやろうか」 「ばか!あんたが出てどうすんの!そこは あると でしょ!」 レッティがジェイドに耳打ちすると、ジェイドが無表情でレッティを見返した。 「そうか」 「え、僕がなに?」 あると がきょとんとジェイドに問いかけるのを、シジーが慌てて止める。 「ちょっとちょっと!大丈夫です!部屋くらい自分で行けます!何言ってんのよ全くもう…」 最後の気力を振り絞ってシジーは階段を上りきると、そそくさと先に部屋に入ってしまった。 「せっかくチャンスだったのにー」 レッティがぼやくようにそう言ってから、ふと何かに気づいてあわてて走り出す。 「ちょっとシジー!窓際のベッド私だからね!」 ばたばたと走り去るレッティを見てから、おもむろに あると がジェイドに話しかける。 「ジェイド、先に寝てていいよ。僕は『みかがみの盾』を錬金釜で作ってくるよ」 「俺も行こうか?」 ジェイドが珍しく、 あると について行こうとしたが、 あると は笑って断った。 「そんなに時間もかからないと思うからひとりで平気だよ。街の外に出るわけでもないしね」 「そうか。それなら俺は先に寝てる」 ジェイドはそう言うと、そのまま部屋に入っていった。 あると はひとり、部屋の前で踵を返すと先ほどのロビーに降りて行ったのだった。 部屋では、ベッドの場所取りに間にあったのか、レッティが一番外側のベッドに潜っていた。レッティもやはり疲れ果てたので、お風呂に入り直す気力もわかないようだった。ジェイドが部屋に入っても、何も声がしなかったところを見るとレッティはすでに眠りのモードに入っているのだろう。 シジーも同じくその隣のベッドで横にはなっていたが、布団を被らずにそのままベッドに突っ伏したような格好だった。 「大丈夫か?」 ジェイドがシジーに声をかけると、シジーは頷いた。 「決戦の時の疲れかしら…ちょっと疲れが貯まってたみたい。ごめんね、気を遣わせて」 ゆっくりとジェイドに顔を向けて、シジーがそう言うと、ジェイドは隣のベッドに腰かけた。 「無理もない。シジーは頑張りすぎるから疲れが残るんだ」 ジェイドが無表情でそう言ったのに反応して、シジーは体を起こした。 「頑張りすぎてるかしら」 「少なくともその手に出せる結果以上のことを結果として残そうとしている。それは自然、体に負担をかける」 ジェイドは自分の手を開いたり閉じたりするのを見つめながら。シジーにそう言った。シジーも同じようにベッドに腰かけ直すと、ジェイドのように手を開いたり閉じたりしてみた。 「この手に出せる以上の結果…」 「人間…に限らずだとは思うが。生きる命すべては全てが違って当たり前だ。違うことを嘆いたり悲しんだりするのは間違いだ。違うことは喜びだ。違うからこそ、その命が果たす役目が他とは違う唯一のものになるんだ」 ジェイドはいつもと変わらずに、落ち着いた静かな声でシジーを諭すようにそう言った。シジーは目を閉じて、ジェイドのその声を胸に刻み込むように聞き入った。 「だからその手にあるものを発揮するだけでいい。余計な部分まで手を出そうとすると、身の破滅を招いたり、人から恨みを買ったりしていいことはない。シジーはシジーができることだけやればいい」 ジェイドの声は澄み切っていてとても聞き心地がよかった。シジーはその声に気持ちが安らぐような気がした。実は横になったものの、何故か体が興奮状態で強張っていて、このままでは眠れそうになかったのだった。しかし、ジェイドの落ち着いた声と、宥めるような優しい言葉にシジーは気持ちが楽になっていった。 「ありがとう、ジェイド。今の言葉で私、すごく楽になったわ」 シジーは目を開くと、ジェイドを見てふわりとほほ笑んだ。ジェイドも少し口角を上げて安心したように笑みを浮かべていた。 「安心していい。シジーはシジーの役目を果たすだけで俺たちは十分助かってるんだ。 あると だってそうだ」 「ふふ。天使様も助けてあげられるなんて役目、滅多にないものね」 シジーはそう言うと、眠れそうだと判断したのか、布団にもぐり始めた。 「ジェイド。私あなたといると、私の良心が支えられるような気がするの。仲間でいてくれて、本当にありがとう…」 シジーはそこまで言うと、本当に気持ちが安らいだようですっと寝入ってしまったのだった。ジェイドは寝入ってしまったシジーを見てから、ひとり頷くと、自分も布団の中に潜った。 あると が戻った時に起きていたら、 あると がまた気を遣われたと恐縮するだろうと思った。 気遣うというのは難しいものだと、ジェイドは一人布団に入りながら思った。 翌朝、完全に太陽が上りきり、上天の天辺で輝きを放っているころ、四人は出かけた。 あると が錬金した『みかがみの盾』はもちろん袋に大事にしまわれていた。これをオリガに渡せば、オリガがぬしさまとやらを無事に呼び出せるだろうと、四人は安心しきった顔でツォの浜に向かった。 ツォの浜ではたまたま休みの日だったのか、オリガが浜で漁に使う網の補修をしているところだった。オリガは あると が声をかけるよりも早く気づいて、すぐに あると に向かって足を走らせた。 「 あると さん!無理なお願いで本当にごめんなさい。でも、その顔を見ると…揃ったんですね?巫女様が身を包んでいたという三つのものが!」 「あっりがたく思いなさいよ〜?ほら!」 レッティが節をつけながらそう言って、『水のはごろも』『うみなりの杖』『みかがみの盾』を一気に出してオリガをびっくりさせた。 「わ!本当に…!本当にありがとうございます! あると さんの聞いた話ではそれを着て、見晴らしのいいところに立ってぬしさまに祈りを込めればいいんですよね!」 「そうだね」 あると はオリガの嬉しそうな顔を見られたのが嬉しいのか、柔らかな笑みをこぼしながら頷いた。 「ああでも、どうしよう…」 「なにかまずいのか?」 ジェイドがオリガが心配そうに三つのアイテムを眺めているので、訊いてみる。 「私ではこの盾は装備できないわ…。あの、ご迷惑を重ねて申し訳ないんですけど、 あると さん達のどなたかがその三つのものを身につけていただけますか?私は先に村長さんのプライベートビーチの方に行ってますから…多分、そこならぬしさまを呼べると思うんです…」 オリガがぺこりとお辞儀をしてもう一度、お願いします、と言うと、オリガは早速村長のプライベートビーチに向かって行ってしまったのだった。 そんなオリガの後ろ姿を見ながら、レッティはため息をつく。 「いつもながら無茶ぶりする子ねぇ…」 「そうだな…」 レッティに言ってから、ジェイドも頷く。状況が理解しきれていない あると とシジーが不思議そうにレッティとジェイドの顔を交互に見つめた。 「どういうこと?」 シジーがそう言うと、呆れたようにレッティはシジーに返した。 「あの子、シジーにそれ着れって言ったのよ」 レッティの言葉に、シジーは驚いて身を引く。 「えっ!?なんで私!?」 シジーはおろおろとその場を後ずさりながら聞くと、レッティはシジーに体の向きを変えて、にやっと笑うと至極当然の質問をシジーにした。 「この中で、盾と杖装備できるのは誰ですか?」 正解は、シジーである。このパーティでは僧侶のシジーにしか盾と杖の装備できないのだ。 「そ、そんなっ!だってその『水のはごろも』って完全に透けてるのに…!」 シジーは真っ赤になりながら首を振り、断固拒否をした。 「ほんと、きれいな青だけど、さすがに水が流れる糸で織ったっていうだけに透明度抜群ね。これなら体の線が完全みえまくり!」 レッティは意地悪そうに笑いながら、水のはごろもをぴらぴらと風になびかせる。 「レッティ!」 シジーはレッティの言葉に信じられない!とばかりに声を張り上げた。 「残念だわー。私なら喜んで着るのにぃ。抜群のプロポーションでぬしさまを釘付けにしてやるわ!」 レッティが意気揚揚とそう言うと、隣でジェイドが、目的が違う…とぼそっと呟いていたがレッティは無視した。 「だったらレッティが着ればいいのよ!」 ほとんど半泣きになりながらシジーが喚いたが、レッティはちちちと口を鳴らして人差し指を左右に揺らした。 「盾と杖装備できないから、この捨てがたい栄光は残念だけどシジーに譲るわ」 「遠慮します!」 シジーが腕を組んでそっぽを向くと、レッティはこれまで一言も口を出してこなかった あると をシジーの前に連れて行く。 「な、なに?」 「レッティー?」 シジーと あると が何をさせられるのかわからずにおろおろとレッティを見ていると、レッティが あると に最後の質問をした。 「このパーティのリーダーは あると だわ。だから あると に決めてもらいましょう。さぁ、あると。このクエストの鍵となる栄光のアイテムを身を包むべきは誰なのか、ちゃんと命じて頂戴」 シジーがひっと声を上げて、目をつぶる。懇願するように手を祈りの形にしてシジーが必死に嫌がっている。少し顔が赤い あると はシジーから目をそらしながらも、申し訳なさそうに一言言った。 「シジー…悪いけど…頼むよ…」 「はい、最終通告終わり!男性陣は先に行ってなさい!私は宿屋でシジーを着替えさせてから行くから!」 がっくりと肩を落としたシジーをレッティは楽しそうに宿屋に連れて行く。 あると は赤くなった顔を隠すように両手で顔を覆うと、ジェイドが慰めるように肩に手をやっていた。 言わずもがなのひと悶着の後、シジーは『水のはごろも』『うみなりの杖』『みかがみの盾』を装備してレッティと村長のプライベートビーチに進んだ。なんとかシジーが着こんでくれたが、さすがに今まで履いていた『とうめいのタイツ』はやめて『うみかぜのスカート』に履き替えた。本気で容赦なく、体の線が見えてしまうのだ。 「すごくセクシーなのに。チャンスじゃないの! あると に色仕掛けできるいい口実じゃないの!」 レッティとシジーはビーチまで走りながら移動していたが、その途中に、レッティがシジーに残念そうにそう言った。そんなレッティにシジーもいい加減嫌気がさして、思わず声を荒げる。 「レッティ!あなた勘違いしてるわ!私、 あると もジェイドもレッティも同じように好きなだけよ!」 「莫迦!ウソツキ!聖職者の癖に嘘ついたりして!今に天罰食らうわよ!」 レッティは容赦なくそう言い放つと黙ってしまった。別に面白がってシジーと あると をくっつけようとしてるわけではないのだ。(面白がっている要素が全くないとも言えないのだが) あると にはシジーが必要で、シジーには あると が必要なのが見てて分かるのだ。だからちゃんと、 あると が人間であるうちに、このことをはっきりさせておいた方がいいと思ったのだった。 対して、シジーも走りながら、レッティの言葉を考える。 天罰。天罰を食らう。もしかしたら、女神の果実がもし見つかったら、それはシジーにとっての文字通りの天罰になるのかもしれない、と。 to be continued. ■まだ終わらない…変だな。次絶対終わらせます…。なんでだー!! |