「は〜〜・・」
アンジェラは我が身を嘆くようなため息を吐いた。それに気がついたシャルロットがどうしたんでちか?と尋ねてくる。
「別にどってことないんだけどね。」
アンジェラは頭を掻くと、強がるようににっと笑った。でも、その笑みに昔ほどの・・冒険中だった頃の強さはなかった。
「ひまだなってね。」
「いいことじゃありませんか?」
リースが二人の客をもてなすためのティーセットを持って入りながら笑ってそう言った。
ここはローラント城内、リース王女のプライベートルーム。アンジェラとシャルロットは平和になってから初めてローラント城を訪れた。久しぶりに顔を合わせたかったのだった。アンジェラが唐突にアルテナを飛び出し、ウェンデルからシャルロットを連れ出した。
ローラントへいかない?と。
大した用があったわけではない。ただ、一緒に命を賭して戦った仲間達と話したくなったのだ。
「いいことよね。そうわかってる・・。」
「物足りない、って顔してますわ。アンジェラ」
リースは落ち着いた物腰でティーカップにお茶をいれながら、くす、と微笑んだ。
「うん、正直言って物足りない。何もすることがないみたいで。本当はいっぱいあるんだけど・・ただその事から逃げたいだけだと思うんだけど」
「アルテナの魔法力は低下し続けてるんでちね・・」
シャルロットがカップをリースから受け取ると、彼女にしては物静かにそう言った。
「うん、そう。」
アンジェラもリースからカップを受けて、極端に短く応えた。
「ローラントも、大変なんでしょ。」
「一度落城してますからね。修復作業と、あと王位問題がありますから。」
リースもその辺のことは事務的な口調で軽く受け流す。
「シャルロットは、今何してるの?」
「特別なことは何もしてないでちよ。ヒースは戻ってきたでちから。」
ふぅっと息を吹きかけてお茶を冷ます仕草をして、シャルロットは一口お茶を飲み込んだ。
「おいしいでちね。」
「ジャスミンティーよ。」
にこりと微笑みながらリースが答えた。
「パロの漁港に商人達が来るようになったの。バイゼルからじゃないかしらね。珍しいものが沢山来るの。」
「へえ・・ウェンデルでは飲んだことないお茶でち。」
「うちでも飲んだことないわ。」
リースは安心させるように二人に微笑みかける。
「今から流れるようになりますよ、そちらにもきっと。」
リースの優しい声、シャルロットの好奇心に満ちた瞳。何も変わっていない。きっと、友情だって。友達って事だって、変わってない。
変わっていないことを安心したように、アンジェラは息をついた。
「アンジェラ、大丈夫ですよ。全てきっと乗り越えられます。」
リースの声にはっとしたように、アンジェラは顔を上げた。シャルロットとリースが力づけるように微笑んでいる。
「大丈夫でち!あんな辛い冒険をたった3人でやり遂げたんでちから!」
「そうですよ。あんなに果てしない冒険に比べたらなんてことないですよ。」
アンジェラがそれを聞いて、ほっと息をついた。やっと安らいだ目をして、アンジェラが微笑んだ。
「そうね。きっとみんなうまくいくよね・・」
Fin.