星と人の行方



「星が、泣いてるわ・・」
 ティファは空を見上げてそういった。迫り来るメテオ。赤く輝く隕石は今この星を目指している。
 そして、聞こえてくるのは星の悲鳴。それは乙女の叫びのようにも聞こえ、幼子の泣き声のようにも聞こえてくる。
 どちらにしても、星が助けを待っている。

 神羅が発進させた、ロケットでのメテオ爆破作戦は失敗に終わった今、メテオの一部が損傷したものの依然その進路を変えることはなかった。刻々とその姿が大きくなっているように見えるのは隕石を恐れる恐怖のせいだけでは、ない。
「随分と来やがったな・・」
 シドはハイウィンドの船体に手をやりながら、煙草を吹かした。煙がすーっと赤い空に伸びていくのを、ティファはぼんやり見上げる。その先にまた、あの巨大な隕石が目に入ってきて、慌てて目を逸らす。
「シドは言ってたね・・この星が子供のようだって」
 ティファはふぅっと息を吐くと、そういった。目のやり場に困って、地面を見ることしかできなくなった。この星の大地を見つめた。
 クラウドはレッドXIIIとユフィをつれてブーゲンハーゲンに会いに行ってしまい、ここにはいない。
「んあ?・・ああ、宇宙見てきたあと話したヤツか」
 シドは唐突な話の内容に一瞬戸惑ったようだったが、すぐに思い当たったようだった。ティファはうん、そう、と言うと、ひとつの岩に腰をおろした。ここは岩場なので腰掛けるのにちょうどいい岩がそこここに突き出している。ティファはそのひとつに腰をおろしたのだった。
「セフィロスって病気を抱えた子供・・エアリスはどうやってその子供を守ろうとしたのかな・・」
「想像もつかねぇな」
 いやにあっさりと、それでもシドらしい回答が返って来た。思わずティファはその言葉に微笑んだ。それから、また、息をつく。ずっとこの調子だ。エアリスがいなくなってからというもの、ずっとため息が止まない。
「エアリスは・・」
 ティファは巨大な隕石を見つめた。今度は目を逸らさずに、まっすぐに見つめた。
「エアリスだったら、きっと目を逸らしたりなんかしないわね。」
「らしくねぇな、ティファ」
「えっ?」
 シドに優しい声をかけられるとは思ってもみなかった。ティファは目を丸くしてシドを見つめた。シドはいつもよりなんだか優しい目をしていた。
「お前さんは何かとエアリスエアリスと気にしすぎてるな。」
 歯の間から煙を吐くと、シドがそういった。
「エアリスにはエアリスなりの、お前さんにはお前さんなりの生き方ってやつがあるんだ。人と比べることなんざ、なんにもねぇ。」
 もう一度、シドが煙草を吸う。吐いた煙がまた空へと向かう。
「なんにもねぇんだよ。ティファ」
 煙がたゆたいながら空へと向かうのを見つめながら、ティファは少し気分が楽になった。
「そうね。その通りね、シド」





Fin.


←←TOPへ←目次へ
Copyright 2001 BY SAE