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【逆転裁判】 |
| ■ありがとうとサヨナラをあなたに |
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DL−6号事件の解決、御剣検事の勝訴をひとまとめにして、お祝いパーティが始まったのは午後19時。パーティ会場は成歩堂法律事務所。 開始からお金のことも考えずに酒を大量に買い、浴びるように飲んで騒ぎまくった。 未成年の真宵はもちろんソフトドリンクを成歩堂にちゃんと強要された。 そして、今は、集まった人々は疲れ果てたようにそのへんに寝転がって眠ってしまっていた。 真宵も、騒ぎ疲れて眠っていた一人だったが、不意に体が震えて目が醒めてしまった。 「ん・・さむ・・」 寝ぼけ眼のまま、窓を見ると窓が開いたままになっている。完全に酔っ払った矢張と成歩堂が隣のホテルに野次を飛ばしていたことをぼんやりと思い出す。 ふと時計を見上げると、今は深夜3時だった。 「閉めなきゃ・・」 頭がまだ完全に冴えてない状態でうつろなまま真宵はそう言った。 ソファから体を起こすと、ソファのバランスが崩れて隣で寝ていた成歩堂がこてん、と倒れた。さっきまで真宵が座っていた場所に、成歩堂の頭が倒れてきたのだった。 (なるほどくん・・) 浴びるように酒を飲んだ後、矢張が真宵を追いまわすように話し掛けてきていた。途中からそれに気づいた成歩堂が、矢張と真宵の間に立ってくれていた。 (守ってくれた。ずっと、気にかけていてくれた) 真宵は窓を閉めると、成歩堂が横になったソファの前に跪いた。すやすやと眠る成歩堂の寝顔は、今日の法廷に立った成歩堂とは違っていたが、無邪気な安らかな寝顔だった。 「今日の法廷、格好よかったよ。なるほどくん・・」 すやすやと寝息を立てる成歩堂から返事を得ることはできない。それでも、真宵は話し掛けていたかった。小声で、誰にも聞こえないように、そっとそっと囁く。成歩堂だけに伝えたい秘密の言霊を。 「いつも守ってくれて、ありがとう」 触れるか、触れないかのキス。真宵は自分の唇を成歩堂のそれに押し当てた。 成歩堂は少しも気づかない。相変わらずこんこんと眠り続けている。眠り姫なら目を覚ますはずだが、あいにく眠っているのは男なので効果はないのだろうか。そんなことを考えて、真宵は立ち上がった。 「サヨナラ」 最後に成歩堂の顔を見ると、真宵は思い切ったようにそこから視線を外した。 (容疑者になっても、助手をやってても、なるほどくんはいつもさりげなくあたしを助けてくれた。守ってくれた) 脱ぎ散らかされた服を拾い、椅子に掛ける。そして、自分のバッグを見つけ、財布の中身を確かめた。そこには、故郷に買えるための切符が一枚きり、あった。真宵はその切符をもう一度財布に収め、バックに入れた。 (でも、これ以上甘えられない。なるほどくんはお姉ちゃんを見習ってどんどん成長しなきゃいけない人。あたしも、あたしだって、負けられないんだから) デスクのある部屋を抜け、受付のカウンターの奥に入り、狭いクローゼットから自分のコートを手にとった。そのとき突然声を掛けられた。 「真宵くん」 「きゃわわっ!」 慌てて口に手を当てたが、奇声は上げてしまっていた。声を掛けられることなど完全に予想外だったので、真宵は飛び上がらんばかりに驚いた。 落ち着いて振り返ってみると、受付のカウンターのところにもたれている御剣検事が暗い室内にぼんやりと見えた。 「こんな時間に・・どこにいく?」 「え、ええと、お散歩にでも行こうかなって・・」 御剣がふっと息をついたのが聞こえてくる。誤魔化すように笑うことしかできない真宵は、慌てて言い訳をした。 「あ、すぐ、帰ってきますから。休んでてください」 「真宵くん」 御剣はち、ち、ち、と人差し指を真宵の方に向けて左右に動かした。 「私の聞き間違いでなければ、先ほど、サヨナラ、と聞こえたが?」 「!」 さらにびっくりして今度は真宵は声も出なかった。一体御剣はいつから目を覚ましていたのだろう? 今では、御剣が眠っていた場所もどこだったか思い出せない。 もしかして、成歩堂にキスしたところもみられたのだろうか、と真宵は急に恥ずかしくなって顔を赤くした。 「あ、あのっ・・いつから起きて・・」 「私は酒が入るとあまり眠れない性質でね・・起きていたのだよ。ずっと」 「っ!!」 (聞かれてた!) 真宵は急に力が抜けて、その場にへたり込んでしまった。御剣がそれを見てため息をつくと、カウンターを回りこんで真宵の前に立った。御剣が真宵に優しく手を差し伸べる。 「もう、決めたことなのか」 ――ここを去ることを。 全てを語らない御剣に優しさを感じて、真宵はこっくりと頷いた。 「決めてました」 真宵は御剣の手を握り締めた。御剣がひっぱり、真宵を立ち上がらせる。 「それは・・いつ?」 真宵の手を握り締めたまま、御剣が問う。握手しているみたいだ、と真宵は思った。 「今日の判決を聞いて」 「そう、か」 御剣がかるく手に力を入れたので、真宵も握り返して、二人は手を放した。 「なるほどくんのこと、お願いします」 「ム、私に頼まれても困るが・・」 「大丈夫ですよ、無理して返事しなくても。御剣さん、優しいからなるほどくんのこと見てくれるってわかってます」 真宵はそういうと、にこっと笑ってみせた。そしてぺこん、とお辞儀をする。 「じゃ、私、行きますね」 御剣はうム、と返事をすると、カウンターに真宵が手紙を置いて歩いていくのを見ていた。おそらく、成歩堂宛なのだろう、と御剣は頭の中でそう解釈をした。 そして、真宵が事務所のドアを開ける。一歩を踏み出すその直前、御剣が声を掛けた。 「真宵くん」 「はい?」 きょとん、とした様子で真宵が振り返った。御剣が身を翻してカウンターを回り、真宵のところへ早足で歩いた。真宵は御剣が来るのを大人しく待っていた。 二人が向かい合うと、御剣は真宵に言い含めるようにこういった。 「いつでも、戻ってくるといい。ここは、きっと成歩堂の居場所でもあり、君の居場所でもあるはずだ」 「!」 「だから、遠慮なく帰ってきてくれ。成歩堂に代わって、私からもお願いする」 真宵は言われて、少し目を潤ませると、はい!と返事をした。そして、また御剣に深深と頭を下げると、事務所の扉をゆっくり閉めた。音を立てないように最大限に注意して。御剣はドアノブがゆっくり戻っていくのを、呆然と見つめていた。 「・・マッタク、本来ならきちんと成歩堂が見送るべきものを・・」 ため息をついて、御剣もドアノブに手を掛けた。ここにいたら成歩堂を起こすなどという真宵を裏切る行為をしてしまいそうだったし、かといって今更真宵を追いかけて止めるのもおかしな気がした。何をすべきか、何をしたらいいか、を常に考える検事としての御剣のスキルは、この場合何も役に立たなかった。 そして悩んだ末、家に帰ろう、と思ったのだった。 真宵と御剣が成歩堂法律事務所をでてからほどなく、何の予感を感じたのか成歩堂は目を覚ますことになるのだが。 今はまだ彼の意識は夢の中にあったのだった・・。 ■END
●今回のオマケ (3−1のネタバレ含みます) 真 宵:こんにちわ、綾里真宵です。 成歩堂:こんにちは。成歩堂龍一です。 真 宵:今の時点でまだタイトルが浮かんでいないらしいです!(笑) 成歩堂:笑い事か? 真 宵:笑い事じゃないよね。実のところ。 成歩堂:まあいいや、そこを考えるのはぼくたちの仕事じゃないし。 真 宵:そりゃそうだよね。じゃ、解説解説。 成歩堂:って・・ぼくはただ寝てただけなんだね・・これ。 真 宵:うん、あたしが1−4で家に帰るところの話だからね。 成歩堂:御剣・・くそー格好いいな・・。 真 宵:いるよねぇ。何言っても格好ついちゃう人。 成歩堂:でも管理人、腫れ物を触れるかように御剣を扱っているらしいぞ。 真 宵:人気ナンバーワンの人を動かすのはさすがにプレッシャーなんだね。 成歩堂:格好つかなかったらどうしよう!って考えながら打ってたらしい。 真 宵:でも、基本的に気障な人書くのは管理人得意なはずなんだけど。 成歩堂:痒い台詞言わせるの得意なんだよね。ぼくは言わないけど。 真 宵:別の意味でカユイ台詞は過去に・・ 成歩堂:いわなくていいから。 真 宵:っていうか、大学の頃カユイ・・というかイタイ台詞ばしばし言ってたのに、なるほどくん弁護士になって口調全然違うよね。基本的にクール口調。 成歩堂:あんなイタイ台詞を吐く弁護士の裁判ゲームしたいか? 真 宵:(震え上がりつつ)したくありません! 成歩堂:即答かよ! 真 宵:当然!! 成歩堂:まあ、でも真宵ちゃんの言う通りだと思うので・・一番妥当な答えは千尋さんに鍛えられたんじゃないかなぁ。 真 宵:お姉ちゃんに? 成歩堂:とりあえず、カユイ台詞言うたびに竹刀で打たれたとか。(参考:真相解明マニュアルより) 真 宵:あ、それは打たれとくべきだね。そっかー、じゃああたしも竹刀用意しておかなきゃ。 成歩堂:い、いやいやいや!今は言ってないし!必要ないだろ! 真 宵:魔が差すことがあるかなーって。そのときはなるほどくんを思うさま、突き倒してあげるから。 成歩堂:いや、さすがにもうないから!! 真 宵:成長したんだね、なるほどくん。 成歩堂:そこに成長をみられても・・。 真 宵:・・あ。まだ管理人タイトル悩んでるよ。 成歩堂:もう、ほっとこう。ぼくらは役目を果たしたし。 ※再度プレイして気づきましたが・・御剣検事、このときゲーム上は「留置所」にいたそうです(汗) どうか広い心でお許しいただければ幸いです・・(汗) ←←TOPへ/ ←目次へ |