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【ONE PEACE】海賊王の約束 |
| ■海賊王の約束 |
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「ナーミナミナミナミ〜!どこだぁ??」 ぱたぱたと足を鳴らしながらルフィは甲板からみかんの木の間に入り込みマストの天辺からあたりを見渡す。そうして外にはいないと判断したのか、この船のダイニングに当たる部屋へと入っていった。 「ナミ〜ここかぁ?」 「こら、ルフィ。ナミさんは今寝てるんだ。静かにしろっ!」 厨房で夕飯の下ごしらえをしているサンジに入るなり叱られたルフィは、それでも意も介さずすたすたとナミの傍に寄っていった。 ナミはいつもルフィたちが食事するテーブルで、手に羽つきペンを持ったままぺたりと顔をテーブルにつけていた。ルフィはそんなナミを覗き込むと、ナミはすぅすぅと心地よさそうな寝息を立てていた。 「昨日ちっと海が荒れたんで疲れたんだな、きっと。おい、ルフィ、俺は手が離せないんでお前が毛布かけてやってくれよ。ナミさんが風邪引いたら可愛そうだろ?」 「ああ」 リズミカルな包丁の音を聞きながら、ルフィーは寝室から毛布を取ってくるとナミの背中に毛布を掛けてやった。 そんなナミの隣に座ると、同じようにぺたりとテーブルに顔をつけた。 ルフィはナミの寝顔をじっと見つめていた。 一方ナミは、眠りの深遠に引きずり込まれたまま、夢を見ていた。 ゆらゆらと揺れるのは、やはり夢の中でも船の上だからか。 ナミは、その耐えず揺れ動いている船の上で、いつものようにさっと海と空を見渡した。海は落ちつかなげに白く波立ち、空はどんよりと厚い雲が立ち込めている。心なしか、肌にあたる空気も水分を含んでいるように感じた。 (・・時化が来る) ナミの目が鋭く光ると、すうっと息を吸い込んだ。 「みんな!早く方向転換するのよ!多少時間がかかるかもしれないけど止むを得ないわ!・・ってちょっと!」 甲板で声を張り上げているのにも関わらず、甲板に仲間が出てくる気配がないのにナミは驚いて声を上げるのを止めた。慌てて船首のメリーを見上げるが、そこにルフィはいない。マストの天辺にいるはずのウソップがいない。船尾でいつもトレーニングしているはずのゾロも見当たらない。甲板で見当たらないサンジ、チョッパー、ロビンが船室から出てくる気配もない。 「な・・なんで?ちょっと!みんな!!ふざけてないで!早くでてきて手伝って!!」 ナミが声を張り上げる。足が棒のようにすくんで動けない。がくがくと体が震えてきて、ナミはその震えが止まる様に自分で自分を抱きしめた。 「みんな!早く出てきて!!」 悲鳴のようなナミの声。しかしその声は次第に荒くなる波音に吸い込まれるように消えてしまった。 (どうして?どうして誰も?ううん、単にみんなまだ寝過ごしてて声が聞こえなかっただけよ。船室に行って早く叩き起こしてやらなくちゃ・・!!でもどうして、私、どうして私の足は動かないの?) ――モウ誰モ居ナイノカモシレナイ・・ (まさか!) ――ダッテ誰モ返事ヲシナイノダカラ・・ (やめて!!そんなはずは・・) ――ダッタラ、何故スグニ船室ニ向カワナイ? (・・それはっ・・) ――怖イノヨネ?扉ヲ開イタ時、誰モ居ナイ船室ヲ見ルノガ・・! ぎぃっと音が鳴った。 はっとして、ナミは顔を上げると船室の扉が開いた音だった。ナミは安堵のあまり息をつきそうになりながらも、遅いわよ!と怒鳴ろうと息を吸い込んだ。 しかし、開いた扉に人影はなく、呆然とするナミ。 そこから出てきたのは、やけに綺麗なままのルフィの麦藁帽子だった。帽子はふわり、ふわり、と中空を漂いながら、ナミの目の前に下りてきた。ナミが帽子を受け取ろうとすると、突風が帽子をさらっていった。 「ぼ、帽子がっ!!」 ナミは慌ててその帽子をとりもどそうと走り出したが、激しい突風に吹き飛ばされた帽子はひらひらと舞いながらも船の外側へ、海上へと飛び立っていってしまった。 ナミは遠く離れていく帽子を見つめながら、船の縁を握り締めて泣き叫んだ。 「ルフィー!!」 「なんだ?」 あまりにも拍子抜けな返事が聞こえて、ナミはぱちりと目を覚ました。 目を開いた正面には先ほど名前を呼んだその人が、不思議そうな顔をしてナミを覗き込んでいるのだから、ナミはぎょっとして顔を起こした。 「な、なにやってんのよ、ルフィ!」 「お前の寝顔見てた。キレーな顔して寝るんだなぁ、ナミは!」 きしし、と嬉しそうに笑いながらルフィは椅子の上で器用に胡座を組んだ。ナミはその言葉にかっと顔を赤らませると、ルフィの頬をぐいーっと引っ張ってやった。 「あ・ん・た・は!!」 「ひてひて・・やめよよ、ひてえよ」 ぐいーっと引っ張って伸びたルフィのゴム状の頬を、ナミは無情にもぱっと手を離した。ばちん、と痛々しい音がして反動でルフィは椅子から転げ落ちた。 「全く、レディの寝顔をただで見るなんて、ふざけるにも程があるわ。この前貸したお金利子10%アップだからね」 「イイよ、宝払いな」 しししと笑いながらルフィは明るく返事をした。ルフィはお金に無頓着な分、こんなことを言っても無意味だ。ナミははぁっと肩を落としながら、椅子に座りなおした。この船の財政状況を確認していたら眠ってしまったことを思い出したのだ。 「ったくもう、じゃあ早いところお宝のありそうなところ頼むわよ、ルフィ」 「わかってるよー、だけどそうなかなか・・あ、さっきなんで俺の名前呼んだんだナミ」 よいしょ、とルフィは懲りずに椅子に胡座をかくと、ナミに訊いた。ナミはえ?とルフィを見つめ返す。 「だって、呼んだだろ?夢見てたのか?」 「寝言・・言ってた?私」 「ああ、なんか・・帽子が、とか」 かぁっ!と顔を火照らせて、ナミが立ち上がった。 「なんでそんなの聞いてるのよ!」 「ダメなのか?」 きょとん、としたルフィがナミを不思議そうに見上げている。ナミはそんなルフィがますます憎らしくなって声を荒げた。 「ダメに決まってるッ!!だいたい、さっきまでサンジくんがいたはずよ。サンジくんはアンタに何も言わなかったの!?」 「あ、言った言った。”コラコラ、あんまりレディの寝顔を見るもんじゃない!”って言われた」 「そーでしょ!?なんで引き続きアンタは見てたのよ、バカっ!」 ばちぃんっ! 今度はナミはルフィの両方の頬をぐいーっと引き伸ばすと、ぱっと離してやったのだ。反動で今度は椅子の後ろ側に転げ落ちた。ごちっとルフィが床に頭を打ちつけた音が響いても、ナミは膨れた顔で腕を組んで知らん振りをしている。 「あ、忘れてた。俺、お前に用があったんだよ」 ぐいっとナミの手を引いて、ルフィはナミの返事も待たずに船室からナミを引っ張り出した。すると、目の前には甲板を飛び越える何かが羽ばたいているのに気づいて、ナミはあっと声を飲み込んだ。 「ソラトビウオ!」 「へー、ソラトビウオっていうのか!すんげーよなー面白れーよなー!!俺これを、ナミに見せようと思ってさ!」 ソラトビウオの大群はメリーに戯れるように、美しい半円を描きながら船の左舷から右舷、右舷から左舷へと繰り返し羽ばたいていた。普通のトビウオよりも倍の長さの羽を持ち、七色の羽が煌びやかなその魚は食用には適さないが、大群が羽ばたく様はまるで虹がかかった様に美しいプリズムを見せてくれるのだった。 「きれーい!」 無邪気に笑い、喜ぶナミを見て、ルフィは嬉しそうにナミに帽子をぽすっと被せてやった。 「な、なに??」 唐突なルフィの行動にはいつも驚かされる。ナミはびっくりした様にルフィを見上げると、ルフィはいつもの一点の曇りのない笑顔で、ナミに言った。 「心配すんな、ナミ。ずっとずっと、帽子も、俺もここにいるからさ」 ルフィの言葉で、すっかり寝言が筒抜けだったことに気づいてナミは膨れたが、被せられたルフィの帽子と、そこに載せられたルフィの手の感触が心地よくて、ナミは言い返すタイミングを失ってしまったのだった。 「・・・ずっと、ずっとだからね!」 ■END
鼻血モノのリク絵を描いていただいた反動で2時間半ほどで書き上げました。 |