【聖剣伝説3】

■ウェイトタイム

作成日[2003/11/18]






 木枯らしが体を吹き抜けた。
「また、寒くなるんだな」
 身に纏っていた外套を体に巻きつける。かしゃん、と腰から下げた剣の鞘が刃と当たり音を鳴らす。
 痛みのような冷たさが体を走り抜けると、彼はぶるっと震える。
 天を仰ぐと、真っ青に透き通った空が広がっていた。
「・・・」

 同じ繋がった空の向こうで、あの人は笑っているだろうか。


 雪が頬の上にあたった。雪は、火照った彼女の頬の上で雫に変わった。
 伝う雫をすくうと、彼女は少し微笑みながらその雫を見つめる。
「また、寒くなるのね」
 天を仰ぐ。どんよりと重く垂れ込めた雲たちは、これからこの地を白く塗り替えていくのだろう。
 この地を汚れない姿へと変えていくのだろう。
「・・・」

 同じ繋がった空の向こうで、あの人は笑っているでしょうか。


 少年の通りすぎた風が、彼女の肌に届くときがあったとして、
 彼女の触れた雪が、彼の腕に届くときがあったとしても。
 彼女に彼の思いが伝わるわけではなく、
 彼に彼女の切なさが伝わるわけでもない。

 それでも、彼も彼女も、お互いに同じ思いを抱えているということは、紛れもない真実。
 まげることのできない事実。


 だから、彼は笑う。
 だから、彼女は微笑む。


 今もあなたが願うように、笑顔を顔に浮ばせる。
 あなたがそれを願うからではなく、自分がそうすることであなたが喜ぶからでもなく。
 ただ、あなたを願う自分が微笑ましいから。


 そうしていれば、次にお互いが出会える顔も笑顔のはずだから。
 だから、次に会える日を、楽しみに待てる。

 それはそれは、楽しみなウェイトタイム。











■Fin


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