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【スパイラル〜推理の絆〜】 |
| ■3.お昼はお弁当?それとも食堂? |
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掲載日[2008/9/29] 特になんという事もないない日だった。 空は青いし、雲は白い。太陽はさんさんと輝いているし、吹く風も爽やかだ。 絵本の世界でもこれほどの平和はあるまい。ここまで平和すぎるとこれではお話にならないではないか。 こんなときは昼寝に限る。昼休み時間を有意義に活用すべく、中庭の芝生を歩いていた。 屋上は最高の昼寝エリアだったのに、歩が入学して間もないころに転落事故が発生したため、屋上や非常階段、ベランダの出入りが全面立入禁止になったのだった。 「さてどこがいいか」 さっと辺りを見回して、中庭の陽のあたり具合を見る。完全に日向では体が焼けてしまう。日陰過ぎるとじめじめして制服が濡れたりする。程よい日光と、日陰の具合のいい場所を探そうと見回していると、見回した先に見覚えのある顔がこちらを向いた。 無表情だった歩の眉がぴくりと動く。次にこっそりとため息。 「なんですか、そのため息は」 歩を見つけてこちらに足を進めていた結崎ひよのがむっとしたように手を腰にやった。 「理由を言って欲しいのか?」 「言わなくてもわかります。『面倒な奴が来たな』では?」 ひよのは歩のモノマネなのか、けだるそうに目を伏せると低い声色でそう言った。 歩がそれを見て、まるで見直した、とでもいうように目をぱちくりと見開くと、歩にしてはめずらしくうっすらと笑みを浮かべた。 「次からはアンタが推理するといい」 「正解ってことですね?ひよのぱんちいりますか?」 にっこり笑いながら、ひよのはすでに拳を作って準備万端という具合だったが、歩はふいと顔を逸らすと静かに言い返した。 「間に合ってる」 「それにしても、鳴海さん。ここでお昼寝するつもりですか?」 ひよのが辺りを見回してそういうと、歩は頷き答える。 「ああ、でもやめようかと思い始めたところだ。じめっとしてて気分が悪くなる」 ひよのが呆れたように歩を見上げる。 「そりゃそうですよ。この中庭は三方向が校舎に囲まれてて、日当たりがあまりよくないんです。屋上行かないんですか?」 言われた歩が不服そうに言い返す。 「屋上は立ち入り禁止だろう」 あ、そうか、と他人事のようにひよのが言う。ひよのはスカートのポケットに手を入れてから、じゃーん、と歩の前に鍵を垂らしてみせる。可愛いひよこのキーホルダーがぷらぷらと揺れた。歩はそれを見て、完全に眉間に皺を寄せた。 「これはなんでしょう〜!はいっ鳴海さんっ」 「……まさか、屋上の鍵?」 歩が目の前に垂らされた鍵を見ながらひよのに言うと、ひよのが大きく頷いた。 「正解っ!あとでコレ貸してあげますから、お昼おごってくださいね!」 「別に屋上じゃなくても昼寝はできるからいいよ」 歩は冷たく言い返し、ひよのから離れようとするが、ひよのは強引に歩の制服を掴むと食堂の方に連れて行こうとする。 「はいはい、うだうだ言わないっ!あ、なんなら鳴海さんのお弁当を譲ってくださるなら、そちらでもいいですよ」 急にくるっと向き直ってそう言ったひよのに、歩は前を見て歩け、と言った後、呆れたような声で言葉を返した。 「どっちにしろ俺が被害を被るのか。」 「被害なんてとんでもない!鳴海さんが気持ちよくお昼寝するためのスポンサーですよ。投資だと思えばいいんですよ!」 ひよのは持ち前の可愛い笑顔を目いっぱい披露しながら、歩を説得する。 「アンタに借りを作ってまで屋上で昼寝しようとは思わないんだがな」 「そういうこと言うと…いつか痛い目みますよっ!」 ぶんっと握りこぶしが歩の頭をめがけて振り回されたが、歩はひょいとそれを避けた。 「大体、アンタの食事に付き合ってたら昼寝する時間がなくなっちまうだろ」 「お昼食べるのがお昼休みの本分ですっ!さあさあ、もう食堂に行かないと本当に休み時間がなくなっちゃいますよ」 ほとんど引きずられるようにして、歩はひよのに連れて行かれる。 そして、結局昼の定食を支払わされ、そのために手に入れるはずの屋上での昼寝の時間は見事に食いつぶされたのだった。 「あ、もう昼休み終了5分前ですよ。鳴海さん、お昼寝はいいんですか?」 ひよのがのんびりと食事を摂ったお陰で、時計の針はすでに12時55分を指していた。 食事の締めであるほうじ茶を手に首をかしげるひよのを一瞥して、歩が答えるのもめんどくさそうにこう言った。 「そんなもの、アンタとここに来た時点で諦めてたよ」 ■END
■私の書く歩ひよはこれでいいのです!(笑) 対等のようでちょっと歩が負けてる二人が好きなのですーw |