【うる星やつら】

■マラソン大パニック!

掲載日[2008/1/21]










 友引高校の鐘の音が鳴り響く。HRが始まる前の予鈴だ。友引高校のレトロな鐘の音は今となっては珍しいものになったが、友引高校はこの鐘をシンボルとしてこれを守り続けているのだった。
 2−4のクラスの教室内で、あたるはまだ担任が教室に現れないことをいいことにクラスの女の子にちょっかいを出していた。
「しーのーぶっ!久しぶりに映画にでも行かないか?ほれほれ、ここにチケットもちょうど二枚あることだし」
 あたるは嬉しそうにしのぶの肩を抱くと、チケットを2枚見せながらそう言った。しのぶは肩に乗せられた手をつねると、つれなくそっぽを向く。
「結構よ。大体、ラムと行けばいいじゃないの」
「俺はしのぶと行きたいんだよ〜」
「やぁよ。私忙しいんだから」
「そんなぁ〜つれないなぁしのぶちゃ〜んっ!」
 くねくねとした腰つきで媚びるあたるの後ろに青白い光を見て、しのぶは眉をしかめた。
「あたるくん、後ろ、見てみなさい」
「え」
 あたるが後ろを振り向くと、いわずと知れたラムがいた。とばっちりを受けないよう、しのぶはその場からそそくさと離れる。
 ラムの体から発光する青白い光はおそらく彼女が全身で放電している色で、肩を怒らせ手を握り締めた形であたるを睨み付けていた。
「ダーーーリーン!」
「うわっ」
「いい加減にするっちゃーーー!!」
 ラムはあたるを握り締めるとドバババ、と電流放電が始まった。青白い光がラムとあたるを包み込む。しかしあたるの感電に対してはいまいち危機感のないクラスメートたちは慌てるというよりも、むしろあたるの学習能力のなさに呆れるのだった。
「アホが…」
 ラム親衛隊を名乗るメガネが、下がったメガネの位置を直しながら開口一番そう言った。おそらくクラス中の誰もがそう思っていることだろう。あたるはラムに見つかると分かっていてあえて別の子にちょっかいを出すという、おかしな習癖があるのだ。なので、おかげでいつもラムから電撃を受ける結果になってしまう。しかしそうと分かっていて、あたるはそれをやめようともしない。電撃という生死にかかわるようなお仕置きでなかったら、何かのプレイかとも思われたに違いない。
「あたるってなんであれ、やめられないのかねー」
 パーマが他人事のようにそういって、頭の後ろで手を組んだ。あたるの悲鳴はまだ続いていた。青白い光も教室中に瞬いている。目が悪くなりそうだな、とパーマは考えていた。
「痛い目を見ると分かっていてやるって相当勇気いるよね」
 感心するように言うチビの頭を、丸めた教科書でばこっとメガネが叩いた。
「馬鹿者。勇気とかそういう問題ではない。あいつはただのアホじゃ。何も考えとらんのじゃ」
「痛いよぉ、メガネ」
 頭をぶたれたチビが涙をこらえるようにそう言ったが、すでにメガネはチビの言うことを聞いてはいなかった。
「けど、不死身の体あってのものだよな。あいつ」
 カクが青白い光にまぶしそうに目を細めてそういうと、メガネは頷いた。
「ま、人間少々のことでは死なんというありがたい教訓だな」
「少々身を挺しすぎだけどな」
 パーマが呆れてそういうと、4人は大きく頷いた。
 そこにようやく担任の温泉マークが教室に入ってくる。いつもどおりのしかめつらを見せながら、教壇の上に立つと騒然としたクラスに大声をあげた。
「よーし席に着け!」
 2−4のクラスの面々は反抗的な態度をとる場合もあれど、ある程度は従順で、すぐに担任の言う通り席に着き始めた。自分の席に戻ったり、椅子や机が引きずられる音が鳴り止むと、温泉マークはにやりと笑ってから話を始める。
「本日はクラス対抗マラソン大会だ。せいぜいそのあり余っとるエネルギーを費やして来い。特に諸星!」
「なんで俺なんだよ」
 あたるはめんどくさそうにうたた寝体勢から顔を上げる。
「お前が余計な騒動をいちいち起こすのは無駄なことにエネルギーを費やしとるからだ。たまにはスポーツにいそしんで精神から磨きなおして来い!」
「今更手遅れだと思うけどな」
 竜之介が椅子を後ろ斜めに倒してバランスをとりながらそんなことを言うが、あたるは気にしたふうもなく、それどころか瞬時に竜之介の席に寄ってその手を握り締める。
「そんなぁ、竜ちゃんったらひどいなぁ」
 あたるは竜之介の手やら腕やらをべたべたと触ると、今度は背中まで手を伸ばして、つつーっと背骨に沿って指を這わせた。ぞわわっと鳥肌が立った瞬間竜之介はあたるを殴りとばした。
「べたべたするんじゃねぇ!」
 あたるは床に向かって殴り飛ばされてべちゃっと頭から落ちた。しかしすぐに立ち上がると、すぐさま温泉マークに抗議した。
「それにしたって今のは余計なお世話だな。だいたい騒動を持ち込んでるのは俺じゃなくて、ラムか面倒あたりじゃないか」
「なんだとぉ!?」
「聞き捨てならないっちゃね!」
 がたがたとラムと面倒が立ち上がってあたるを睨みつける。
「つねに諸悪の根源の分際のくせに!」
「ダーリンが余計なことをいっつもするからだっちゃ!」
「静かに!諸星!席に着け!」
 ばんっと温泉マークが名簿を教卓に叩きつけると、立ち上がった二人はしぶしぶ席についた。あたるも不機嫌そうに自分の席に戻る。
「というわけで、みんな元気があり余っとるようだから、最後まで頑張るように。基本全員参加だが具合の悪い生徒は保健室に相談に行くこと。以上解散」
 温泉マークがそれを言った瞬間、すぐに教室が雑音に包まれる。
「マラソンなぁ。このくそ寒い日につまらんことを考えてくれるな、ウチの学校は」
「暑いさなかにマラソンだったらもっと大変だっちゃ」
 あたるの席の隣に座るラムがすぐさまそういった。
「ラムも走るのか?」
「当然だっちゃ!」
「マラソンは走る競技だぞ?」
 わかってるのか?とも言いたげに、あたるはラムに一瞥をくれる。
「わかってるっちゃ」
 にっこりと笑ってラムは素直に頷く。しかし、あたるはすでにそんなラムに目もくれず、ちらちらとあたりを窺っていた。そんな不自然なあたるにしのぶが声をかける。
「あたるくん?」
「やーしのぶ!映画のこと考えてくれた?」
「そうじゃなくて!男子の着替えは隣の教室でしょ!さっさと行きなさいっ!」
 言われてみると、すでにこの教室は女性だけになっていて、ラムもそれに気づいてむっと顔をゆがませた。
「僕のことなんて気にしなくてもいいのに〜さ、みんな着替えて着替えて!」
 あたるはうれしそうに立ち上がると、教室のみんなに向かって意気揚々と声をかけた。しのぶはこぶしを握り締めて手を震わせると、がっとあたるの襟首をつかみ窓際まであたるを引きずっていく。しのぶの持ち前の怪力はあたるを調教するのにもってこいだった。
「馬鹿なことを言ってないで、さっさと出てけー!」
 どーん、とすがすがしいほどきれいな直線を描きながら、あたるは空に吸い込まれていった。
 
 グラウンドに全校生徒が集合して、まもなく男子がスタートになった。男子はコースが長いため、遅れて女子がスタートすることになっていた。
 男子生徒の一団が校門を抜けて500メートルほど走った地点で、あたると四人組は周りの人間に紛れるように全体の中央付近を維持していた。逃げ足の早いあたるならば颯爽と前を走っても不思議ではないのだが、あたるがこういう場面で実力発揮することははっきりいって皆無といってよい。
「あたる。どこで抜ける?」
 メガネがさっそくあたるにけしかけた。エスケープを誘っているのだ。真面目くさって走りこむことなどは、すでに彼らの頭にはないのだろう。
「しばらくはおとなしく走るとしようか。集団が散り散りに分かれ始めたころが頃合いだな」
「わかった。それまでは我々もおとなしく走るとしよう」
 メガネは自分の眼鏡を体操服で拭いてかけなおすと、あたるの横から下がっていった。あまり固まっているとやはり周りに疑われかねない。影の生活指導部となりあたるたちを敵に回す輩(面堂終太郎)もいるので、警戒するに越したことはないのだった。
 しかし、この計画は無残にもぶち壊されることとなる。それは外部からの原因ではなく、内部、そもそも根本の原因によるものだった。
「あ!あれは了子ちゃんとこの!」
 私立清廉女子大学付属中学の制服を見つけて、あたるは喜び勇んだ。
「お、おい、あたる、もうちょっとおとなしくした方が…」
 気弱なチビがそう言ったが、あたるの耳にはもうすでに届いていない。ひとたび、面堂の妹である了子の姿が見つけようものならば、あたるは見境なくコースを外れてしまうだろう、と4人の誰もがそう思った瞬間であった。
「了子ちゅあーん!!」
 メガネが胸の前で十字を切り終えようともする前に、あたるの甘えるようなその声が聞こえてきてメガネはたまらず息をついた。しかし、すぐに頭を切り替えてあとの3人に指示を伝える。
「これにて待機時間は終了、直ちに行動開始とする!これからのミッションは見張りの教師につかまらんようただちにコースから外れ『じぱんぐ』にて集合することとする!以上、散れ!」
「「「ラジャー!」」」
 4人はすぐに人に紛れて道を外すと、全速力で道を走り抜けた。
「待ってよ、了子ちゅあーんん!!」
「諸星様!」
 見れば、あたるはすでに先頭集団を追い抜き、コースを外れ、その先を歩いていた清廉女子中学の集団に突っ込もうとするところだった。そこは運悪く見通しのよいコースの曲がり角で、道案内のために教師が立っている場所だったため、あたるの行動は教師に完全にばれてしまった。
「だめですよ諸星君!コースを外れてはー!!」
「花和先生!諸星君なら応援を呼ばないと手に負えません!私学校に戻って応援を呼んできます!」
 花和を置いて、一人の女教師が学校方面に戻るが、それでは応援は間に合うまい。花和はそこを動くこともできず、あたるの見境のなさにがっかりとうなだれるしかなかった。
 しかし、うなだれている場合でもなかった。その花和の隙をついて次々と生徒がコースを外れはじめたのだ。
「みなさん!みなさん!どうかコースに戻って!話を聞きなさい!」
 温厚な花和の話など聞く耳持たずといった調子で、生徒たちは蜘蛛の子を散らすようにコースから人がいなくなってしまう。
「ああ!どうしてみんな!僕の話を聞いてくれないのだろう!」
 花和は嘆いたが、人のいなくなった路地の真ん中でまだ来るかもしれない生徒の案内のために立ち尽くすしかないのだった。

 一方、女子生徒たちもようやくスタートを切った後のそのグラウンドに、女教師はたどりついていた。
「諸星君はじめ2年のグループがコースを外れました!」
「なにぃ!?」
 運営員会のテントでくつろいでいた温泉マークが立ち上がると、遅れてその場にいた二人の教師も立ち上がった。
「すぐに諸星を連れ戻すんだ!見せしめに本体を叩く!他の生徒は二の次だ!」
 教師たちは頷きすぐに行動に移した。
 その後、あたるとその他大勢、そして教師たちが激突するとが町中にごった返すと大騒ぎになった。
「諸星〜〜!!」
「うるせ〜!いいところで邪魔しにきやがって!」
 温泉マークの竹刀があたるめがけて振り下ろされるところを、あたるは店の看板よけると頭から温泉マークを叩きつける。しかし、すぐに新手の教師が現れて、あたるを捕まえようとする。
「諸星を捕まえろ〜!」
 他の生徒もここには大勢いるというのに、その生徒には見向きもせず教師はあたるを一点集中に攻撃していた。
「小賢しいことを!あたる一人でも検挙した時点でゲーム終了って魂胆だな。行くぞ!なんとしてもやつらにあたるを渡すな!」
 作戦の意図を悟ったメガネはあたるの周りに集まった教師たちを後ろから殴りつけた。
「あたる!加勢にきたぞ!」
「メガネ!」
 囲まれていたあたるがようやくその間を縫って教師たちの壁から抜け出でると、ぽんっとメガネに肩を叩く。
「あとはよろしく!」
 そういったかと思うと、あたるは持前の逃げ足の早さでこの商店街を突っ切って行ったのだった。それはもう、メガネがそのあとを視線で追う間もないほどのスピードだった。
「あんのガキャぁあああ!!」

 スタート直後の女子の先頭集団ではしのぶが混じって走っていた。足が特別速いわけではないが、体力はあるので最初から力いっぱい走ってもスタミナ切れすることはない。それで、先頭集団に入り込んでしまったというわけだ。
 しのぶは息を乱さず走りながら、あたりをみまわしていた。通りの向こうで騒ぎが時々聞こえてきて、なにかあったことに薄々感づいていた。
「しのぶ?どうしたの?」
 同じ集団で走っているクラスメートの一人がしのぶの様子に気づいてそう問いただすと、しのぶが首を振ってこたえる。
「男子の方でなにかあったんじゃないかしら…」
「ああ、なんか騒がしいもんね。私も気になってたの」
 違うクラスではあるが、同じ集団という気安さもあってもう一人の女子が話しかけてきた。
「女子のみなさーん!」
「花和先生だわ!」
 花和は息を切らせて女子の集団に近づくと、女子の集団と一緒に走りだしながら用件を伝えた。
「町が混乱しています。これ以上続けては女子の皆さんに危害が加わることも予想されます!そのままコースを外れて学校に戻ってください」
 しのぶはそれを聞いて、すぐさま花和に聞いた。
「何が起こってるんですか!先生!」
「ああ、しのぶさん。諸星あたるくんですよ。諸星くんが他校の女子をめがけてコースを外れて…ああ!しのぶさんも!?」
 しのぶはそれを聞いて、何を思ったかコースを逆走しはじめていた。
 花和とクラスメートが不思議そうな表情でしのぶの後ろ姿を見ていた。

 一方、女子の中でもコースを外れていた生徒がもう一人いた。
「はぁっはぁっはぁっ…」
 ラムだった。
 悪気あってのことではない。さすがに体力がそれほどないラムにマラソンは無理があったのだった。少しだけ休もうと、コースから外れた小さな路地の影でしゃがみ込んでいた。
 ラムの体に人影が被ってきて、ラムはあわてて顔をあげた。
「思ったとおりね」
「…しのぶ?」
「いつも空を飛んで筋力も使わないような子がマラソンなんて急に無理よ。さ、立てる?おぶってあげる」
 しのぶは少し笑うと、背中を向けてしゃがみ込んだ。
「いいっちゃ!…少し休んだら走れるようになるっちゃ…」
 強がって下を向いたままそう言うラムに、しのぶは幼子をなだめるように言った。
「もう走らなくていいのよ」
「へ?」
 驚いて、ラムは思わずしのぶを見上げた。しのぶが複雑な表情でため息をつくと、笑う。
「マラソンは中止」
「どうして?」
 しのぶはその場にしゃがみこんでラムを覗き込んだ。ラムは怪訝そうに眉根に皺を作っている。
「あたるくんよ」
「ダーリン?」
「あたるくんがコースを外れて乱闘騒ぎになっちゃったみたい。女子高生のお尻めがけて大騒ぎになったそうよ。町中大騒ぎでもうマラソン続けるどころじゃないって」
「〜〜っ!ダーリン!!」
 怒りに任せてラムは立ち上がろうとしたが、足に力が入らず立てそうもない。自分の体を浮かせる気力も残っていない。ラムは悔しそうに地面に手をたたきつけた。
「っもうっ!ダーリン、帰ったらお仕置きだっちゃ」
 そんなラムを見て、しのぶは困ったように笑う。
「そのあとでいいから、お礼言いなさいね」
 やさしい口調でしのぶはそういうと、さりげなくラムの手をとって背中に引っ張り寄せた。ラムが引きずられてしのぶの背中に収まると、しのぶは声もかけずに立ち上がった。
「お礼って、何のだっちゃ?」
「あたるくんはラムがこのマラソンを最後まで走れないって、たぶんわかってたのよ」
「だから、ダーリンが女の子を追っかけまわして大騒ぎした、なんて言うっちゃ?」
 ラムはしのぶの話を聞きながら、憤慨したようにそういった。
「まさか」
 思わずラムがしのぶの肩を握り締めると、しのぶはラムの顔を一瞥した。
「あら、ラムがもう走らなくても負い目を感じなくていいのは一体誰のおかげなの?」
 幾分強い口調でしのぶがそう言ったのに、ラムは少なからず驚く。しのぶは前に向き直ると、静かに言った。
「あたるくんって結構優しいの。ラムも知ってるでしょう?」
「……」
 何も言えなくなって、ラムはただしのぶの肩を握り締めていた。

「あれ、なんでしのぶがラムをおぶってるんだ?」
 学校にたどり着く前に、大騒動の張本人であるあたるがしのぶとラムを見つけた。しのぶはあたるを見るなりラムを押し付けた。
「ちょうどよかったわ、あたるくん。ラムをお願い」
「あ、ああ」
 断る理由もなく、あたるはラムの腕を取ると自分の背中にラムをおぶった。ラムはその間何も言わずされるがままになっていた。
「足でもくじいたのか?やっぱ急にマラソンは無理だったろーが」
 あたるがからかってそういってみると、ラムは何も言わずに首を振った。
「いったい、どうしたのだ?ラムは」
 あたるが隣を歩くしのぶに声を潜めて聞いてみるが、しのぶがラムの顔を窺おうとするとラムは慌てて逆の方向を向いてしまった。そんな様子にしのぶが肩をすくめて笑って見せる。
「たぶん、困ってるんだと思うわ」
「困ってる?」
 あたるが不思議そうな顔でしのぶを見つめると、しのぶは笑って前を走っていく。
「100万ボルトを落としてやりたいんだけど、どうしようって」
「なにぃっ!?」
 あたるは慌てて後ろのラムを見ようとしたが、ラムはあたるの背中に隠れるように顔を沈ませていた。
「ラム、こら!落ち着け!一体俺が何をしたと言うのだ!」
 すでにずいぶん先を走り始めていたしのぶは、手を振りながらあたるに言った。
「近所迷惑になるから、集中落雷は電線から離れてやりなさいね!私は先に学校に戻るから!」
「わっわっ!しのぶ〜!俺を見捨てないでくれ〜!」
 あたるは情けなくも弱音を吐いたが、しのぶはとりあわず先に行ってしまう。残されたあたるはラムをおぶったまま、戦々恐々とした気持ちで立ち尽くすしかなかった。
 やがてラムが手を伸ばしてあたるの肩を握り締めると、やっと声を上げた。
「ダーリン」
「な、なんだよ…」
 おそるおそる、あたるは横を向いてラムの顔色を窺おうとする。ラムはあたるを見てから、しのぶが言った通り困ったようにため息をついた。やがてゆっくり手を延ばしてあたるの首に自分の腕を絡ませると、あごをあたるの左肩に載せた。
「うち、ダーリンがわからないっちゃ…」
「なんだよ、それ」
 ひとまず100万ボルトは免れそうだと野生の勘を働かせて、あたるは再び学校へと歩き出すのだった




 
 

END

楽しく書いていたけど時間がかかってしまいました。
とにかくあたるが最高!あとしのぶも好き。
ラムちゃんは難しくて、つい出番が減ってしまった…。
つかめない子だよ本当に…。



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