part_2 言葉と潜在意識 アンチエイジングの為に
“はじめに言葉ありき”とキリストは聖書に記しているように、人は言葉によって対象を認識している。言葉がなかったら、それは人にとって対象外のものになってしまう。
ここに、ガラスのコップがあって、コップという言葉がなければ、ガラスの器ということになり、器という言葉がなければ、へこんだガラスということになり、ガラスという言葉がなければ、透明な石になってしまう。
また言葉は、ものを指し示すものだけではなく、イメージを持つ。誰かがリンゴという言葉を発せれば、まわりの人々は、リンゴを心の中にイメージするだろう。だから我々は普段イメージを使ってコミニュケーションしている。
そしてそのイメージは、良いイメージ(快い)と悪いイメージ(不快)がある。
赤い新鮮なリンゴと腐ったリンゴを思い浮かべれば、当然前者は美味しそうというイメージを抱き、腹が減っていれば、食べたいという気持ちになり、体になんらかの反応が起きる。反応が起こると(腹が鳴る、唾液が出るなど)それを確認し、増々それを食べたくなる、といった具合である。
これが物ではなく、心を表す言葉、例えば“ありがとう”という言葉は、人に対して感謝をする時に使う。使っている人は嬉しいからその人に礼をする。言われた人は感謝されることは快い。つまりここでは双方が快いのだ。そのことで元気が出たり、自信を持ったり、勇気つけられたりする。
その逆に“バカ!”と言われた人は、屈辱感、無力感を覚え、その結果言った人間を怒り、恨みの感情をもったりする。
言った方の人間はどうか、言っている瞬間はストレスが発散され、一瞬快いかもしれない。しかしそれで果たして完全に心がスッキリするだろうか?何故ならその言葉は他人を傷つけていると同じように自分をも傷付けている。だから言った後、気分はスッキリしない。不機嫌なままである。
では、怒りを持った時、言葉を発さないとどうなるのか。言葉が浮かんだ瞬間にイメージをもつ。それは悪いイメージである。それが外に放たれないとすれば、自家中毒のような状態になり、心と体にダメージをあたえる。つまりストレスを溜める事になる。悪い言葉を発すれば、双方が傷付き、人間関係を壊し、発せなければ、ストレスを溜め込むという最悪の結果になる。
つまり、言葉はそのように力を持っている。それを昔の人は言霊と呼び、言葉は目には見えないけど生命のようなものがあると思ったのだろう。では、アンチエイジングの立場からその事を考えると、当然良い言葉、快い言葉を使いたい。先の“ありがとう”“感謝します”“お元気ですか”“うれしいな”など言った方も言われた方も気持ちが良く、心が喜ぶ。心が喜べば体も喜び、元気になるといった具合に。そして、悪い言葉をなるべく使わない生活を心掛けるようにしたい。それには、そうした状況を自分のまわりに作らないようにしたい。普段からの努力が必要だ。しかしこの複雑な現代社会において、なかなかそれは難しい問題である。こんな社会だからとか、あんな奴がいるからだとか、外に理由を求めたらキリがないほどである。そしてそれを内に理由を求めたら、ダメな自分ということで、自信喪失し、気力を失う。そうした自己嫌悪や自己処罰も社会,他者による被害者意識では問題解決にならないし、心身にも悪影響する。
ではどうすれば良いのか?
まず、社会,他者のせいにはせず、自分の心の問題として受け止める。(外を変えようとすれば、相当のエネルギーがいると覚悟が必要)
ひとつには、「許す」こと。
ふたつめには、「受け流す」こと。みっつめは「時間が解決してくれる」と悟ること。
許すとは、相手の立場を考え、寛容になることことだが、それは怒りが先走りし、理性を失うとそれは出来ないので、まずは感情をコントロール訓練が必要だ。それをする良い方法がある。まず呼吸をゆっくりする。怒りが湧いたら呼吸を整える。それから、この事は、社会勉強であるとか、自分が試されているとか、神があたえてくれた試練であるとか、というふうに思考を転化する。受け流すというのは、まともに取り合わない、我儘な子供にたいしてとる大人の態度のそれだ。言い換えれば同じ土俵に上がらないようにすること。
それでもダメなら、みっつめの時間が解決してくれると諦観する。この世は無常である。一時でも留まっていることはない。悪い事も、悲しい事も流れていく。自分も人も変わっていく。幸い人は時間の経過によって忘れていく動物である。とくに感情などという表面意識はあっという間に変わってしまうものだ。(さっき怒っていたのに、もう笑っているということが良くある。) 子供は時間の観念が弱く、現在形で生きているので尚更である。

さてここで、言葉の真のプラス面を考えてみよう。先述したように、良い言葉は良いイメージを伴い、心身を元気にしてくれる。そこで、アンチエイジングとしては、自分に対して良い言葉を投げかける。例えば、私は美しい、きれい、若くはつらつとしている。といった具合に、言葉に出さなくても良いイメージを強く持つのが良いと思う。念じるのも良い方法だと思う。
実は、この事は潜在意識というものに大きくかかわっている。潜在意識というのは、心理学用語で我々が普段自覚している顕在意識に対して、無意識の領域を指すのだが、この潜在意識は顕在意識より巨大で、よく氷山に例えられる。つまり顕在意識が水面上にある氷の山だとすると、顕在意識は水面下に沈んでいる大きな氷の塊だ。それは水面上に見えるものより何倍もの大きさといわれている。ということは、我々の行動、思考のほとんどは、潜在意識によってなされているということだ。ちなみにあなたの好きな食べ物を思い浮かべてみよう。あなたは何故それが好きなのか自問してみるといい。多分美味しいからという答えが出るだろう。しかし、それは何故美味しく感じられるのかと自問した時、なかなか答えは出せないだろう。
そのように自分に関して、いろいろ自問してみると良い。ほとんど解らない事だらけに気付くだろう。それはあなたが、自覚できない潜在意識によってなされているからだ。また、“火事場のバカ力”という言葉に代表されるよう、パニック状態になった時、人は超人的なパワーを出す事がある。これも潜在意識の力だといわれている。今では当たり前のように、アスリートたちがイメージトレーニングをし、この潜在意識の力を引き出そうとしている。
これをアンチエイジングに使わないてはない。
まず、言葉であり、イメージである。それを自分に言い聞かせるのである。しかしここで問題なのは、顕在意識が強い時には潜在意識は蓋を閉じている。だから、昼間、顕在意識が活発に働いている時にいくら良い言葉を言っても潜在意識に届かない。
潜在意識に言葉が届く状態とは、催眠術を思い浮かべると良い。催眠術状態とは、半意識の状態である。つまり、覚醒と眠り、いわゆる、うつらうつらとした夢を見ているような、起きているような状態。この時、術師の言葉は催眠術を受けている被験者の潜在意識に最も有効に働きかける。ここから解るように、自分に対して言葉を発する良い状態は“うつらうつら”の時だ。それは寝入りばなか、目醒めるまどろみのなかが良い。“私は若い”でも“私は美しい”でも快い言葉で自分に言いかければ良い。他の方法としては、瞑想をし、意識が深まったところで、好きな言葉を発すれば良い。その時、イメージを強くもてば更に有効だろう。
例えば、“私は元気”と言った時に、ハツラツとして活動している自分を思い浮かべると良いだろう。それが潜在意識にうまく届けば、薬もサプリメントも何もいらない。人の体は巨大な副作用無しの薬工場を持っているから、あなたの身体が自ずとそのように働いてくれるはずだ。
プラシボー効果という言葉をきたことがあるだろう。例えば、薬効成分が入ってないのに効くと思い込むことによって、その効果があらわれてしまう。
風邪が治る、痛みが消えるなどだ。これも潜在意識のはたらきによるものだ。つまり自己暗示によって潜在意識に有効に働きかけるスキルを身につけ、訓練すれば若さを保つことは難しいことではないのだ。
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