part_10 セルフイメージについて
アンチエイジングを訳すと、抗年齢、歳に抵抗するという意味になるわけだが、私は単純にそう考えない。抵抗しようがなにをしょうが歳はとっていくものだ。だからと言って少しでも遅らせようと考えるのとも違う。そうではなく自分の年齢に囚われるな、と言いたいのだ。人は一年々年齢を重ねるものだが、それがその人の精神、肉体の年齢ではないのだ。人はそれぞれ個性をもった生き物で、生き方考え方によって歳のとり方はちがってくる。またDNAなどにも左右されるだろう。そして人それぞれのアンチエイジングのあり方があるとも考える。
私にとってアンチエイジングとは前述したように、自分の歳に囚われるなということである。私は今年六十歳になった(還暦と言われる歳だ)だから世間一般に、漠然とイメージされている六十歳にみあった生き方をしなくてはならないなどと思っていない。ついでに言えば、肉体的には以前の自分より若く、したがって調子よく感じられる。しかし長く乗っている車ではないが、そこらへんにほころびを感じるのもまた事実である。事実は事実として受け入れそれをどう考えるか。例えば、足腰が弱ってきたと感じる。そうしたら私の場合ウォーキングなりスクワットなど試みるだろう。髪が薄くなってきた、皺がふえてきた、それも養毛剤や乳液で少し手厚くケアーしてやる。ただそれだけのことだ。それでも加齢にはかなわないだろう。それ以上は自然の摂理に逆らわない。これが私の肉体に対するアンチエイジングだ。多分だれしもこのくらいのことはしていると思う。
問題なのは心のあり方だ。具体的に言えば、自己に対するイメージ。人はそれぞれセルフイメージを持っている。私は優しい人だとか、美人ではないがチャーミングだとか。そのセルフイメージは世間の見方と多少ずれているかもしれないが、大した問題ではない。セルフイメージが自己を規定していると考えれば、自分は優しいと思っている人は実際にも優しいのだ。しかし、ここで注意しなくてはならないのは自己欺瞞である。心から自分は優しい人だとは思っていずどこかで自分を疑っている、または本当はそんなことを思っていず、なにかネガティブな自分を隠蔽するために偽っている場合だ。だが他人の目は誤魔化せない。必ずそこには他人との齟齬があるだろう。
素直に自分は優しい人間だと思い(意識する、しないにかかわらず)周囲にもそのように振舞っている人は、たとえ少々イジワルな面が出たとしても基本的に優しい人なのだ。そのようにセルフイメージは機能し大切なものだが、そのセルフイメージを誤ってもってはいないだろうか?例えば、何事にも自信のない自分、かわいくない自分、意地の悪い自分、短気な自分等々。つまりありとあらゆるマイナスイメージの自分だ。そうしたマイナスイメージは当然他人に対してもそのようにし、そのように映っている。
ただこうしたマイナスイメージは無意識のなかに隠れていることが多いので、本人は自覚できていないようである。ある日、友人に自分の欠点を指摘されすくなからずショックを受けた経験は誰でもあるだろう。
それにしてもそんなマイナスセルフイメージをいつからもってしまったのだろう?
最も大きな影響は両親だろう。自我が形成される以前、12,3歳までにはセルフイメージはだいたいできあがっている。思い出してほしい両親はあなたにどんなことを言っていたのか?どんなふうに接していたのか?そのほかに学校の先生、友人、先輩、社会に出てからは同僚、上司など。そのことであなたは、納得いかないものは反発しながら、しかし受け入れてしまったものが今のあなた自身だ。それはあなた自身が自発的に作ろうとした自分ではなく、外側から規定された自分に対するイメージである。
すべてのマイナスイメージは、自分を傷つけ自信を喪失させ、ひいては自己嫌悪に陥りさせる。例えば私は過去に人にエゴイスティクだと言われ自己嫌悪になったことがある。確かに少々自己中心的であったかもしれない。しかしエゴイスティックと利己主義はことなる。ただ私は個人というものを大切にしたいと考えているだけだと、プラスに転化してセルフイメージを良い方向に向けたことがある。
若いときはしばしば自己嫌悪に陥いりやすい、そこにあるのは自己処罰であり自己疎外であり、ひいては生きていくことになんの意味もみいだせなくなっている自分がある。それには、まずセルフイメージの修正である。マイナスイメージのあなたはあなたではない。それは外側から規定されたものだ。
この世に変わらぬものなどない。一瞬々変化している。昨日のあなたは今日のあなたではない。だからこそ自分を変えられる。ただ誤解のないよう、一夜にして人格を変えられると言っているのではない(そんなことは不可能)自分に対する見方、捉え方を変えていくことによって、徐々に自分を変えられるといっているのだ。例えば、失敗を恐れて行動できないと思っているのならば、失敗してもかまわない、失敗は失敗ではなく今はただうまくいかなかっただけだ。と思えるようになろうとすることだ。そのようなクリエーティブセルフイメージをもつことだ。短所は長所というではないか。いまいちど自分を客観視し、自分のマイナスセルフイメージを点検してみないか?
そしてあるべき自分の創造的なセルフイメージをつくりだしてみないか?
アンチエイジングも自己嫌悪の牢獄から解放されなくてはありえないのだ。いつまでも若くありたいと願うならば、セルフイメージを変えるだけでいい。まず、私は若々しいと思うこと。そして心からそのように思い、他人からもそのように言われたら、あなたはすでにアンチエイジングの真の体現者である。
(無断転載禁止します)
前のページへ