『ヘルメス』とは?
1997年春、地上がエヴァだ失楽園だなんだと騒いでいた頃。そんな俗世間の喧噪を尻目に、東映系で全国一斉公開されると同時に「TOKYO WALKER」誌等で週間観客動員数第1位を記録した奇跡の劇場用アニメーションがあった。
そう! あの『ヘルメス 愛は風の如く』である!!
幸福の科学の全面出資で製作された、「実在の英雄」(!)ヘルメスの活躍を描いた愛と感動の物語。私(編者)は、この日本アニメ史上に燦然と輝く怪作を酔狂にも初日第一回に観賞しようという、ニフティサーブ「オタクアミーゴス会議室」にて企画された命知らずな会合に志願。めくるめく2時間の精神崩壊体験をさせていただいた。
監督・今沢哲男による、数ヶ月ものギリシャロケを生かした美しい映像には賞賛を惜しまない。豊富な資金を背景に透過光もCGも存分に使い、特に公開前から豪語していた「海の表現」は誰もケチのつけようがあるまい。主役・ヘルメスの声に子安武人を配し、脇役陣にも名だたる実力派声優を取り揃え、音響効果も見事の一言。映像的には間違いなく日本でもトップクラスの出来である。
……この一流の映像とO川隆法主宰先生の原作が出会った時、大いなる喜劇の幕が開かれたのであった。
原作『愛は風の如く』は、小説の体裁を取ってはいるものの、実は「4300年前のクレタ島に実在した英雄・ヘルメスの生まれ変わりである主宰先生が、過去世の記憶を元に書いた事実の物語」(!)であり、無数に散らばるギリシャ神話との矛盾は「時を越えて語り伝えられるうちに、神話のほうが、事実と食い違ってきてしまった」せいなのだ!!
残念ながら、その壮絶なるストーリーの詳細を伝える余裕はもはやない。が、集会参加者が劇場で大爆笑、怒り狂った信者とみられる女性に「あなたたちは人として最低ですね!」と罵倒され、方々の体で逃げ帰った(笑)事は言うまでもない。
未見の諸君は、こちらの「ヘルメス大事典」に書かれた断片情報をつなぎ合わせて、そのすばらしい作品世界を類推していただきたい。幸運にも『ヘルメス』を観られた諸君は、あの込み上げる感動と笑いを思い出してもらえれば幸いである。
それでもよくわからない、という諸君のために、著作権法違反覚悟で、だいたいのストーリーを4ページのはみだしコミックスにまとめてみた。下の赤い字を踏めばジャンプできるので、参考にされたし。
あとはもう知らんぞ。
(『大宗教学第9号』(1997年8月刊)より転載・一部加筆)
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