な●ぷるを見て死ね

オウムの子会社(俺様認定)「な●ぷる」の素敵な発行物をかいつまんで紹介するコォナァだ。
ネット論壇で唯一「な●ぷる=シロ」と唱えていた河上イチローも実はサマナらしいし。
まぁ白黒は個々人で判断してくれ。


痛快トンデモ活用術
もしもの時でも困らない!


脱常識委員会・編 な●ぷる刊 1997年10月30日初版発行


 酒鬼薔薇本・環境問題本・エヴァ本というミーハーなラインナップで過去3冊の新刊を出していたオウムのダミー出版社(85%確実)「な●ぷる」が放った4冊目の資金稼ぎ兼シンパ集め本ですが……そう、タイトルで一目瞭然、あのと学会の「便乗本」です。
 懸命にオウムである事を隠している本文が涙を誘いますが、マニアには『STEP TO 真理』や『ヴァジラヤーナ・サッチャ』でお馴染み、例のファンシー調の挿し絵のおかげで正体モロバレ。

 全体は9章構成で、前半の《UFOに遭遇したらどうする》《UMAに遭遇したらどうする》《幽霊に遭遇したらどうする》《経済ビッグバンが来たらどうする》あたりまではその関係の疑似科学本・論理飛躍本を笑うポーズを見せて、「と学会」本のスタイルを擬態している(つもりらしい)のですが、第5章《陰謀に遭遇したら》あたりからボチボチ本音が出てきます。
 「ダイアナの系図をさかのぼればロスチャイルドにつながる」など、例の「ダイアナは殺された」説を取り上げていますが、その陰謀論を嘲弄するのかなーと思ったらとんでもない、「では、我々が陰謀にまきこまれそうになったらどうすればいいのか?」と来る(笑)。「『シオン賢者の議定書』偽書説」にも、「その元ネタの作者はフリーメイソンである事が判っている」(いつ判った)などとさりげなく反撃してたりします。
 最後に、「これらの陰謀に巻き込まれないためには何をすればいいか」をご教授してくれますが、これがもう見え見え。
 まず「TVなどの情報から遠ざかる」。
 次に「セックスをやめる」。
 んで「陰謀を仕掛ける連中が神秘的なものを利用してきているのだから、こちらも同じ神秘、さらにはもっと高度な神秘を学ばねばならない!
 ……そこまで露骨に下心を見せるかなぁ、諸君(笑)。

 さらに不信感をつのらせてくれるのが次の第6章《マインドコントロールにかからないためには》
普通このネタに触れる文章には一言二言出てくるはずの「オウム」の名が全く出てこないのが、かえって不自然さを醸し出しててグーです。
 当然、脚注で薦められている参考文献は外国の本や地下鉄サリン以前の本など、オウムに言及していない本ばかり。S.ハッサン著『マインドコントロールの恐怖』(1993年)を挙げて「日本で出ているマインドコントロール本は全てこの本の焼き直しである(→だから読む必要はなし)」と、オウムの出て来る本を読ませまいと読者を操作しようとしているのが泣かせます。
 ただ、その後で高橋紳吾先生(東邦大学)の「マインドコントロールにかかりやすい21のタイプ」を引用した脚注で、失礼にも「これじゃぼくたちみんなかかりやすいってこと……? 笑っちゃうね」と急に「馬鹿本おちょくりスタイル」に戻ってます。オウムごときに引っかかるような奴に笑われても、高橋先生も逆に苦笑せざるを得ないでしょうな。
 だいたい、心理的メカニズムも解明されて実効力も証明されている「マインドコントロール」を、実在すら怪しいUFOとかネッシーと一緒くたに「トンデモ」でくくるか?(「毒電波で脳を操る」あたりは疑似科学系だけどそれとは違うだろ)
 ……つまり「マインドコントロールは疑似科学の分野であって、反オウム本に書いてある『オウムのマインドコントロール』は全部ウソッパチなんだよーん」と読者に信じさせようって魂胆のようです。とほほ。

 あとは第7章《ヒーリング・気功》、第8章《死》(『チベット死者の書』の垂れ流し)、最終章は《ハルマゲドン》(←やっぱりそこへ行くか)となりますが、最後のとこで、出口王仁三郎の予言「私の後に救世主が来るが、あまりそれらしく見えない奴なので教育してやらねば覚醒しないぞ」(大意、原文は文語体)を引用して「つまり、メシアは『誰もが「こいつは絶対違う」と言っている人』である」……って誰がそんなこと言うかーっ! これ読んでチヅヲのことをメシアかも知れないと思い込む奴、いるのかなぁ。

 というわけで結局のところ、いわゆる「トンデモ本」(世間一般の定義によるところの)の内容を引用して、その中に自分たちの思想を巧みに混入しているだけでして、要するに「と学会」便乗本の皮をかぶった『ヴァジラヤーナ・サッチャ』でした。
 それにしても、酒鬼薔薇・エヴァに次ぐ「売れ筋ネタ」として「と学会」がオウムに見込まれたとは、当の学会員諸氏はいかが思し召しておられる事でしょう。
 なお「な●ぷる」、エヴァ本のあとがきでも思いっきりと学会にケンカ売ってるそうです。世が世なら山本弘・と学会会長のポア計画もあったかも知れません。んで「氏はフリーメイソンの陰謀で暗殺された」とまた宣伝に利用して……はーやれやれ。

(『大宗教学第拾號』(1997.12)より)


週刊光源氏

紫式部・責任編集 な●ぷる刊 1998年11月1日初版発行


 昨年、と学会便乗本やらエヴァ本やらを発行して一部で話題になった、オウムのダミー出版社(決め打ち)「な●ぷる」。
 例の『痛快!トンデモ活用術』のあまりにも下心モロ出しな内容で正体がバレて以来、しばらく徳川慶喜の本を出したりしてほとぼりが冷めるのを待っていた「な●ぷる」ですが、『人はなぜセックスするのか』(推薦文:ムツゴロウ)の思わぬ増刷(1998年末現在4刷もしてやがんの。何故?)で調子に乗って、またまた布教の虫がウズいてきた様子です。

 女性週刊誌をA5判に縮小したようなレイアウトと、オウムウォッチャーには見覚えのありすぎる耽美同人系ヘタレ絵の踊る、ケバい装丁の本です。皆様も、もしかしたら大きめの書店の「イロモノ本」のコーナーでちらっと見かけられた事もおありなんじゃないでしょうか。よくまぁ擬装したもんです。
 私も営団地下鉄の車吊り広告で出版社名を確かめるまで、本書が「な●ぷる」の本だったとは全く気付きませんでした。驚いて最寄りの大型書店に駆け込んで斜め読みしてみたら、私のオウムセンサーにビンビン来るの来ないの。こいつは限りなく黒に近いクロです。

 内容は『源氏物語』のストーリーを女性週刊誌のゴシップ記事調にまとめあげたという、見かけそのまんまなモノ。「歴史新聞」のバリエーションのようですが、ネタがネタだけにいかにもゲスい本です。冒頭から光源氏を「スケベ男」呼ばわりするなど、相手が架空の人物だと思って言いたい放題。源氏物語をゴシップ小説と扱う試み自体は『笑う大天使』等でも見られる定番ギャグですが、そのネタだけで本1冊造って売るってえ世間をナメきった根性がイカしてますね。「責任編集:紫式部」ってギャグ(のつもりかい?)も古人をナメきってます。
 なぜオウムが『源氏物語』に目をつけたか、古典の素養のない無学な私は最初ちょっとピンと来ませんでした。が、読んでみて納得。『源氏物語』のラストって、スケベストオンナスキーの限りを尽くした光源氏が結局「世の無常をはかなみ出家」してしまうんだったんですね。(まぁ、平安貴族文学のオチはだいたいそうですが。)
 最後の「光源氏出家!」云々といった一連の記事中、「財産は寺に寄進して云々」って所はしっかり太字で印刷してあるし。(笑)
 また、途中で「物語論」とかゆーて光源氏に「報道は本当のことばかり書いているわけではない」「面白ければ何だって書くもんだ」みたいな事をさりげに言わせたりもしてます(P.166−167)。もちろん太字で、しかも傍線まで引いて。(傍線まで引いてあるテキストは他の箇所には見つからなかった。)
 こうまで分かりやすいと、実は裏をかいて私のようなウォッチャーを購買層に設定して本作ったんじゃないだろうなと勘ぐってみたくもなります。

 正直、前号(第拾號)で『痛快トンデモ』を紹介した時は、たまたま無知な出版社が隠れオウム信者の持ち込んだ企画を採用してしまっただけかもしれない、との疑念もありましたけど、本書の登場によって、すくなくとも私の中では「な●ぷる」イコールチヅオちゃんの走狗、と正式に認定いたしましたことを、この場を借りて発表します。(拍手)
 にしても、『AUM COMIC』ん時に比べれば、少しは絵ェ上達したみたいだな、緋月馨花。おおっと、いくら名前を変えたって、その成田美名子を5回ダビングしたような絵を見りゃ一目瞭然だぜ。もっとも、十二単は身体のデッサンをうまく誤摩化せるし、構図はほとんどバストアップだし、雅な世界の話だからアクションシーンもないし、それで上手く見えるのかもしれませんが。さっさと脱会しろよ……。

(『大宗教学第拾壱號』(1998.08)より)


節約しませう

モダン生活向上委員会・編 な●ぷる刊 1998年4月10日初版発行


 ※(NIFTYSERVE某所での書き込みより)


 Tさん、情報ありがとうございます。

 こいつは書店で一度も見かけなかったもんでノーチェックでした。
 幸運にも高田馬場の古本市にて350円でゲットしたばかりの初版がありますんで、読んでみましょう。どれどれ……ぶははは、これはたまらぬ。

>>前書きにはいきなり「施しの心を持て」とか書いてあります。よーするに
>>節約してお金が浮いたらお布施しろっていうようなことですね。

 「人の利益を考えることは、結果的にあなた自身を物質的、精神的に豊かにすることと結びつくのです」とか偉そーなことをぬかしてますが、著者はさぞ「カルマの法則」と書きたくてウズウズしてたことでしょう。
 もちろん「利他」の精神や「小欲知足」自体は、学ぶべき所のある大切な仏教哲学ですし、それにケチをつけるつもりは毛頭ありません。
 でも、我々よりもまず小菅に住んでる損師サマに読ませてやれよ

>>また、Q&A形式になっている本文の方には、
>>「パソコンを安く買いたい」という質問に
>>「秋葉原の裏通りでビラをまいてる店で買いましょう」など、
>>たいへんわかりやすいことが書いてあります。

 「(そういう店は)すでに値段を下げきっているので値切れなくても文句を言うな」ってのもケッサクですな。そのほか

 ・契約アンペアを1ランク落として電気代節約
 ・便所は外で済ませて水道代節約
 ・洗濯は早朝の公園で
 ・風呂には入るな
 ・パンの耳・コンビニの賞味期限切れを狙え!
 ・人間食べるのが当然と思うのはまちがい


 など、平和な王国をガリバーに奪われた信者サンたちの極貧生活がしのばれ、他の本とは一味違った観点で楽しめます。てゆうか彼ら、事件前からこんなサバイバル生活してますけどね。
 次は走る爆弾娘あたりに『逃亡しませう』でも書いてほしいもんです。

 あと、家賃補助制度など、一般市民の知らない公的援助のしぼり取り方にやたら詳しいのも、困った時だけ弱者ヅラして公権力にすり寄る彼ららしいですね。

>>この本が、4月に初版で、10月で3刷りって、世の中甘くできてますなあ

 まー、今までの「な●ぷる」本の中ではいちばん役に立ちそうですし。
 それより、今どき「●●しませう」って連発されるほうがよっぽど腹立ちません? 15年前のセンスだわ。

(1998年11月頃初出)


元気しませう

モダン生活向上委員会・編 な●ぷる刊 1999年6月10日初版発行


 ただのプロパガンダ組織と思ってたら、『週刊光源氏』などのヒットで今じゃ隠れた資金源にまで成り上がっちまった、オウムのダミー出版社「な●ぷる」。
 信者サンたちが逃避行の中で培ったビンボ生活のノウハウをまとめた『節約しませう』(1998.4.10)、市販食品の危険性を針小棒大に喧伝して一般市民を無駄に不安に陥れる『健康食しませう』(1998.11.20)(もちろんステビアは猛毒で、お薦め食品は天然酵母パン)に続く、「しませう」シリーズ第三弾がこのたび上梓された模様です。
 今度のタイトルは『元気しませう』。節約術の本とか食品添加物の本とか、あいかわらず現代日本の消費者が普遍的に持っている「不安」のストライクゾーンのシブい所を突いてくる「な●ぷる」。この企画力だけは評価できます。オウムでさえなきゃな。『週刊光源氏』も、瀬戸内寂聴訳『源氏物語』と同時に起こった「源氏ブーム」に乗ってかなり版を重ねていやがりますし。
 チヅオちゃんのエサ代を提供するのは死んでもイヤなので、立ち読みで概観するにとどめましたが、断食4時間半睡眠を推奨したり、コラムで「健康体操」とか称してヨガを紹介したり(最後のコラムページはおもいっきり結跏趺坐)と、あいかわらず、迷彩塗装の間からオウム臭さがちらほら見え隠れしてました。でもまぁこのくらい、一般の健康本でも書きそうな事だし。
 ……と思いながらぱらぱらとページをめくっていた私の視野にひっかかった、気になる一言。

 「『罪悪感』は元気を根こそぎ奪ってしまいます。『罪悪感』にとらわれず、肯定的な行為をしましょう。」
 (174ページ欄外)

 すこしは罪悪感持てよ!!(怒)

(1999.05.27の日記より)


週刊聖書 総集編

 な●ぷる刊 1999年11月頃初版発行


 『週刊聖書 総集編』。ついにこのネタで来たか、と、首を長くして発売を待っていた。
 発売と同時にワクワクしながら立ち読み。このボリュームで1400円(本体)たぁ、『週刊光源氏』のヒットに気をよくしてかなりの部数刷ったとみえる。5ケタは刷ってるぞ。
 で、肝心の中身だが、『光源氏』に比べてあまりにもあたりさわりのない内容に、ちょっとガッカリする。
 旧約聖書「ヨブ記」の解説がウスウスなのが気になったり(冒頭と結びの部分しか読んでないぞ絶対)、イエスが侮辱され「死刑にしろ」と罵声を浴びせられるシーンで、「ヒステリックな民衆の醜く歪んだ顔が云々」とか書いてて、あーこれはそんし様とイエスをオーバーラップさせてるな、と感じたぐらいで。
 ただの聖書ダイジェストとして読めば、歴史などもそこそこ勉強した上で書いていて、好感すら持てる。特に用語関係は厳密にチェックしているようで、一般の出版社がよくやる「ゴルゴ」って間違いが目立たないのは感心感心(最後の「タ」は「tha」だから絶対「ダ」にはならない)。よほど7年前の「エウアゲリオン」で懲りたとみえる(笑)。一ケ所、ヘブライ語綴りで「M」の終止形をよく似た形の「S」とまちがえて表記しちゃってるところもあるが、まぁ大目に見てやろう。
 北星学園の山我哲雄先生が推薦文を寄せていたのには、一瞬目の前がブラックアウトしたが、まぁこの内容なら、ひっかかっても無理はないか。やはり「な●ぷる」にとって例の「FOCUSショック」の波紋は大きかったらしい。

 しかし。立ち読みでは分からなかったが、じっくり読んでみると、やはり疑惑点がポロポロ出てくる。
 中でもオウムらしい箇所をひとつ解説しよう。

 新約聖書「マタイによる福音書」第24章に、「世の終わりの前兆」を予言したイエスの言葉がある。
 実際には、紀元70年のローマ軍によるエルサレム陥落を踏まえた記述とされているが、ハルマゲドン好きなオウムがこんなおいしい箇所を見逃すわけはなく、『週刊聖書』でも、コラムでほぼ原形どおり引用されている。(p.297)

* * *

●イエスの終末予言

 「わたしたちは、不安になって先生にいつ恐ろしいことが起こるの
 かとおうかがいしたんです。すると、先生は恐ろしいことをおっ
 しゃいました。とにかく“そのとき”が来たら、偽メシアにだまさ
 れないように気をつけなさい。戦争の噂を聞くかもしれないが慌て
 ないようにしなさい。人は人に、国は国に対して敵対して立ち上が
 り、ほうぼうに飢饉や地震が起こる。しかし、それはすべて産みの
 苦しみのはじまりにすぎない。そのときあなたは、わたしの名前ゆ
 えに人々から憎まれる。そのときは、多くの人が互いに裏切り、憎
 みあう。偽預言者も大勢現れ、多くの人を惑わす。しかし、最後ま
 で耐え忍ぶ者は救われる、というのです。御国の福音はあらゆる民
 への証として全世界に宣べ伝えられる。それから終わりがくる、と
 いうのです。
  そしてその日は、今後決してないほどの大きな苦難がくるそうで
 す。神様が選ばれた人のためにその苦しい日々を縮めてくださらな
 かったら、だれ一人救われないそうです」(弟子アンデレ談)


* * *


 では次にこの項の元ネタである「マタイによる福音書」24章(新共同訳)3-22節を見てみよう。(コラムの文言と重なる部分は太字で表記。[ ]内の数字は節番号)

* * *


 [03]
 イエスがオリーブ山で座っておられると、弟子たちがやって来て、ひそかに言った。「おっしゃってください。そのことはいつ起こるのですか。また、あなたが来られて世の終わるときには、どんな徴があるのですか。」
 [04]
 イエスはお答えになった。「人に惑わされないように気をつけなさい。
 [05]
 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『わたしがメシアだ』と言って、多くの人を惑わすだろう。
 [06]
 戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞くだろうが、慌てないように気をつけなさい。そういうことは起こるに決まっているが、まだ世の終わりではない。
 [07-11]
 民は民に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に飢饉や地震が起こる。 しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりである。 そのとき、あなたがたは苦しみを受け、殺される。また、わたしの名のために、あなたがたはあらゆる民に憎まれる。 そのとき、多くの人がつまずき、互いに裏切り、憎み合うようになる。 偽預言者も大勢現れ、多くの人を惑わす。
 [12]
 不法がはびこるので、多くの人の愛が冷える。
 [13-14]
 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 そして、御国のこの福音はあらゆる民への証しとして、全世界に宣べ伝えられる。それから終わりが来る。
 [15-20]
 「預言者ダニエルの言った憎むべき破壊者が、聖なる場所に立つのを見たら――読者は悟れ――、 そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。 屋上にいる者は、家にある物を取り出そうとして下に降りてはならない。 畑にいる者は、上着を取りに帰ってはならない。 それらの日には、身重の女と乳飲み子を持つ女は不幸だ。 逃げるのが冬や安息日にならないように、祈りなさい。
 [21-22]
 そのときには、世界の初めから今までなく、今後も決してないほどの大きな苦難が来るからである。 神がその期間を縮めてくださらなければ、だれ一人救われない。しかし、神は選ばれた人たちのために、その期間を縮めてくださるであろう。

* * *

 『週刊聖書』の記事では、4節から始まるイエスの言葉がほぼ逐語的に引用されていることが分かる。手抜きもいいとこだが、それはまあいい。問題は、なぜか5節の「偽メシア」云々という箇所だけが、4節とくっつけて「偽メシアにだまされないように気をつけなさい」の一言で片付けられているところである。ここだけ妙に目立つ。
 (なお、12節と15〜20節の欠落は、単に意味が分からなかったからと思われる。)
 しかも! 実はマタイ24章の23節以降はこう続くのである。

* * *

 [23-28]
 そのとき、『見よ、ここにメシアがいる』『いや、ここだ』と言う者がいても、信じてはならない。 偽メシアや預言者が現れて、大きなしるしや不思議な業を行い、できれば、選ばれた人たちをも惑わそうとするからである。 あなたがたには前もって言っておく。 だから、人が『見よ、メシアは荒れ野にいる』と言っても、行ってはならない。また、『見よ、奥の部屋にいる』と言っても、信じてはならない。 稲妻が東から西へひらめき渡るように、人の子も来るからである。 死体のある所には、はげ鷹も集まるものだ。」


* * *

 5節に一度出てきた「偽メシア」の出現が、ふたたび23〜28節で詳細に解説されている。「終末」において「偽メシア出現」は切り離せない重要なファクターであることが分かろう。だが『週刊聖書』は、この23〜28節をあえて無視している。
 ……この編集方針から意図的なものを読み取ってこそ、聖書研究の基本・「文献批判」であろう(笑)。
 そう! 彼らには、『キリスト宣言』なんて恥知らずな本まで出した代表的偽メシアであるところの誰かさんを否定するような引用はできないのである!
 信者として!(笑)


 本書にはこのほか、「歴史書」ばかり扱ってて「文学書」やパウロ書簡はシカトしている、聖書正典には出てきやしない「リリス」だ「失われた十支族」だ「カスパル・メルキオール・バルタザール」だ「ロンギヌスの槍」だといかにもオウム好みな項目が平然とトピックされている、などの問題点もあるが、まぁ「一般向けの聖書紹介本」としてはそこそこまとまった、しかもとっつきやすい本だと思う。その点は素直に評価したい。
 ほんと、この企画力、そして、都内のめぼしい書店に軒並み本書を平積みさせている超人的営業力を、まっとうな方向に使えないものだろうか。つくづく思う。

 あ、それとちなみにイラスト描いてるのは、昔『理想社会』8号(オウム出版)に、青山元弁護士の半生を描いた「ノンフィクション・ストーリー・マンガ『聖は正(オウム真理教顧問弁護士奮闘記)』」を描いてた人です。モロバレ〜ん。

 余談だが、昨年(1999年)末、雑誌媒体を持つキリスト教系出版社に、な●ぷるから「書評してくれ」と、『週刊聖書』が送られてきたそうだ。
 内通者からいただいた、送付状のコピーの文面を以下に記す。(誤字はそのまま)

* * *

平成 11年12月20日
書評ご担当者様


株式会社 な●ぷる
営業部 ●●
東京都文京区根津 *-**-*-****
TEL 03-5815-****
FAX 03-5815-****


拝啓
 貴社ますます盛栄のこととお慶び申し上げます。
 さて弊社では、『週間聖書総集編』を新刊として発刊させていただきます。昨年貴社の出版物にて書評をいただけましたら望外の幸せに存じます。何卒ご検討の程を宜しくお願い申し上げます。
 またご面倒ではありますが、貴社の出版物に掲載させていただく折りには、弊社までご連絡くださいますようお願いを申し上げます。
敬具


* * *


 「週」ってぇ恥ずかしい誤変換とか、意味不明の「昨年」とか、このくらいの短文も校正できないほど急いで作ったんだろうか。
 なお、情報提供者氏は
 「献呈本はいくらでもあるが、『書評する時は連絡をよこせ』てぇ書評願いは初めて見た」
と呆れておられた。まぁ、よっぽど「オウム」と書かれたくないんだろうねぇ、な●ぷるも。