| 松原秀樹先生連載54 |
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オ オペラント行動の分析
鳥が空を飛ぶのも、魚が泳ぐのも、人がことばを話すのもオペラント行動と呼ぶものです。50回目の記事で触れましたように、これらの行動自体に強化が伴われています。こうした強化の与え方には二種類あり、反応のたびに即時に毎回おこなわれる全強化(連続強化)と毎回は強化されない部分強化(非連続強化)があります。部分強化によって維持されている行動は、消去されにくくなる、つまりその行動がいるまでも続く可能性が高まるという特徴があります。たとえば30日に1回強化される給料をもらうことについて考えてみるとよいでしょう。出社して仕事するという行動が、定率に部分強化されているわけです。このように部分強化によって維持されている行動(この場合は仕事をするということ)は消えにくく、給料日以外に働かないというようなことはありません。
正の強化であれ負の強化であれ、強化された行動はそれ以後、その行動が選択されやすくなり、またその自発する頻度を高めるようになります。
正の強化とは、望ましいものが得られた状況を指し、負の強化とは、自発した行動によって、それまで環境にあった嫌悪刺激を低減させたり消去することができた場合をいいます。つまり回避行動のことを指しているわけです。負の強化を罰と間違える人が多いですが、負の場合も強化ですから、以後その行動は採用され増加していきます。
たとえば、おもちゃ売り場の前でいつも泣き叫ぶこどもがいるとします。そこにはどのようなオペラント条件づけが働いているでしょう。オペラント行動の分析には、手掛かりとなる刺激、実際の反応、反応の帰結(反応の結果、反応に随伴する刺激)の解析が必要になってきます。これを三項分析といいます。
三項分析
先行刺激
反 応
反応の帰結
こども: 玩具売り場
泣き叫ぶ
玩具が手に入る
母 親: こどもの泣き叫び
玩具を買い与える
泣き声からの開放
上記の例の場合で考えると、この経験後、こどもは泣き叫ぶ行動をより自発するようになってきます。泣き叫ぶことが正の強化を受けたからです。逆に母親は玩具を買い与える行動によって、それまで続いていた子どもの泣き叫びという嫌悪刺激を低減させることができたわけです(負の強化、回避できた)。ですから、今後もこどもに玩具を買い与える行動を選択して行うようになっていくでしょう。
家庭内暴力も上の例と同じ構図です。こうした事態で母親が、こどもがいかに泣き叫ぼうと買い与えることをしなかったとしたら、子どもは泣き叫びが強化されなくわけですから、この結果、強化されない泣き叫び行動はだんだん使われなくなっていきます。
子どもの問題行動は、こどもと親の両面から見ていかなくてはなりません。なぜならば、強化子が不適切な行動をしている最中やその直後に与えられていることが多いからです。親というものは、子どものもっとも近くにいつもいて強化を与える存在です。医師も、教員も周囲の大人も、友人も、強化を与える存在です。こうした観点から問題を見ていくのが行動療法、現代心理学の考え方です。
up 2006/04/12