松原秀樹先生連載64

 

 


 ゆとり・余暇
 抱えている仕事や課題などでゆとりのないとき、病気や怪我のときにもそうですが、こういうときには人のことにかかわることが十分にできません。人のことどころではないわけです。周囲の人間をみれなくなっていますから、彼らに適切にかかわれなくなるのです。人は自分の生活・生命・人生が保証されているという基本的な前提条件に欠けると、他人の人生や生活、生命を心配したり配慮することはできなくなるのです。長い病歴のクライエントには周囲の人々との問題を抱えることが多いのは、一次的な不適応がある場合が多いのですが、こうしたゆとりのなさからより問題が生じてくると言えるのではないでしょうか。
 ギリシャ時代にはスコレー(ΣΧΘΛΗ)と呼ばれる時間がありました。市民が義務となっている仕事をした後の時間を指したことばです。このスコレーの時間に、ギリシャ市民達は哲学をしたり弓や刀剣の稽古をしたり、詩を書いたりしていました。つまり自分のためになることに時間を使っていたわけです。このスコレーの語源から派生した英語が、schoolです。学校は自分のためになることに時間を費やす場だからです。社会人にとってのスコレーは、どのように使われているでしょうか。いや、むしろスコレー時間を如何に作っていくかが大切な日々の生活の構えとも言えるでしょう。余暇とは与えられるものではなく、自分で作っていくものであり、何か自分のためになることに使う時間なのです。

連載65

up 2006/07/14

 

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