| 松原秀樹先生連載104 |
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親子関係 ― 過去の考え方の再整理 2 ―
幼児期に養子になり、養父母の性格もその生活も違った、別々の生活環境で育てられたにもかかわらず、こうした一卵性双生児の社交性や感情的な性格傾向を調査してみると、遺伝的一致率は実に46%にのぼるという結論が出ている。つまり、養育した親の性格や言動の違いは、子どもにはほとんど影響していないという結果ということができます。そうした子どもの性格をさまざまな側面から調査した結果をみると、遺伝によって決定される率は、42%になるということが最近の研究で明らかになってきました。
この遺伝によって規定される性格特性は、独創性、創造性、想像力、芸術性、誠実さ、社交性(外向性)、協調性、感情安定性、ストレスへの抵抗力、保守や革新などの政治的基本姿勢、信仰心、薬物などへの中毒になる危険性などが、遺伝によって左右されるのだと報告されています。また不慮の事故などの偶然のようなできごとも、30%ほど遺伝が影響しているという結論も出されています。
よく似ているのが特徴の一卵性双生児の、お互いが違っている似ていないという程度は、一緒の環境で育った場合も、別々の環境の場合で育った場合でも、結果は同じでした。その割合は40〜50%の性格が共通しているということでした。約半分の他の性格は、まったく違っていたというわけです。ということは、人格形成上影響するとされ、その違いをもたらすとされてきた大前提、つまり両親の態度や家庭環境そのものの影響力は、同一家庭内にもあったのだ、ということになります。なにしろ半分も性格上に違いが出たのですから。同一家庭内で育った一卵性双生児の性格のうち、約半分にあたる共有されていない性格からみて、相違する環境因子は、一体何なのかということについての研究は、まだスタートしたばかりで結論が出ていませんが、大いなる関心と興味をもって、この研究の結果を見ていきたいと思っています。
親子関係―過去の考え方の再整理1―のコラム記事で書きました通り、子ども時代の不幸な体験にもかかわらず、幸福でありかつ生産的な生活をつくりあげた成功者(レジリエンツ)研究を見ると、彼らの性格は他者より柔軟であり、環境の変化になじみやすいという傾向も見られた。また、他者よりやや知能が高く、全般的にポジティブな傾向がみられ、何か問題がおきると、積極的に立ち向かい、他者のアドバイスを求めることもできていまし。つまり健康な依存性もきちんともっていたことが分かります。これに対してレジリエンツでない、幸せに育ったはずの子どもたちは、問題があると、現実から目をそむけようとする傾向が見られました。なぜこうなるのでしょう。
さまざまな青少年の問題が起こると、家庭環境、親の愛情などが問題にされますが、最近の細密な研究結果からみると、あまり意味のない議論を長々としていると言えないでしょうか。
up 2007/