| 松原秀樹先生連載116 |
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葛藤
動機(要求や衝動)は、人が行動を起こすためには、なくてはならないものです。たとえば治療動機がないと、必要な自主的な治療努力はまったく期待できないことになります。他にも動機は沢山の種類があります。何か食べたくなる摂食動機、親しくなりたいという親和動機、やり遂げたいという達成動機など、枚挙に暇がありません。こうした動機を種別する考え方にもいろいろあり、生得的な渇きや性の動機のような生理学的要求に基づく生理学的動機や、いろいろ操作してみたいという操作動機、新しい珍しい刺激を求める好奇動機、何かをしたり動き回りたいという活動性動機、感覚的な刺激を求める感性動機、安心する対象や安心できる感覚のするものに触れていたいという摂食動機などの感覚希求動機。そして後天的に取得される社会的動機などに分けられる。こうした動機群を、大きく二つに分ける考え方が、接近動機と回避動機というわけ方です。回避動機は、痛い思いをしたくない、失敗したくない、落第したくないなど、ある事態を避けようとする動機群です。この反対のもの、たとえば成功したい、愛されたい、食べたいなどが接近動機です。
拮抗する二つの動機を内に持っていることを葛藤(コンフリクト)といいます。すなわち動機の矛盾状態のことです。葛藤は、接近―接近葛藤、回避―回避葛藤、接近―回避葛藤の3種類に分けられます。
二種類の接近動機による接近―接近葛藤は、あれも欲しいしこれも欲しいという葛藤で、たとえばA大学に入学手続きをしたいけど、B大学もいいなと思えて決めかねているときがこの接近―接近葛藤状態です。この葛藤の解消には片方の魅力がより大きくなっていって、2つの動機の強さの差が広がれば、大きな魅力を感じるほうを選択するので、葛藤の解消ができます。
二種類の回避動機をもつことで生じる回避―回避葛藤は、あれも嫌これも嫌というもので、勉強したくない、試験で落第したくないといった矛盾した状態のときがこの葛藤です。解消には、片方の動機が強まっていくことによります。例で言えば、落第の惨めさや損する情報が増えると、これに比べて小さな動機(この例の場合では、勉強したくない)を我慢できるようになり、しぶしぶ勉強をするようになる、といった形になるわけです。
困るのは3番目の接近―回避の葛藤です。次回はこのテーマで書いていきます。不登校の解決のヒントになれば、と願って書きます。
up 2008/