2011年3月11日、東日本はかつてないほどの大きな地震と、
その後の津波による大きな被害を受けました。
この震災により、首都圏のマンション市場にも
少なからぬ影響が出ています。
一見、東京のマンションではほとんど被害が出なかったように
思われていますが、実はみなさんご存知ないだけで、
多くの建物に破損などが発生していたのです。
特に大規模マンションでは深刻な被害が発生しました。
それは、建物と建物をつないでいる「エキスパンションジョイント」。
ここが破損すると、共用廊下の行き来が自由にできなくなります。
「新築マンションは新耐震基準だから大丈夫」
というのは、大きな間違いです。
私が調べた限り、築2年に満たない大規模マンションでも、
この「エキスパンションジョイント」に実に深刻な被害が出ています。
そして、みなさんはもっと驚かれると思いますが、
そういった被害に対して売主は一切の補償をしないのです。
なぜなら、天災による損傷は、
売主の責任が問える「瑕疵」ではないからです。
マンションによっては、数千万円の補修費がかかっています。
「大きなマンションだから安心」というのは、ウソです。
大規模マンションには、
こういった様々なリスクが隠されているのです。
共用施設が充実しているから
売主が大企業だから
駐車場がたくさんあるから
駅までシャトルバスが運行されているから
人気のニュータウンだから
近くに大きなスーパーがあるから
そういった理由でマンションを選ぶと、
何年かたって大きく後悔することになりそうです。
大きなマンションは、
事業規模が大きいのでたくさんの宣伝費がかけられます。
でも、たくさんお金をかけて、ド派手な広告をしているから
そのマンションが優良な物件であるかどうかは別の問題。
大規模マンションにはたいてい、多額の広告予算が確保されています。
それは、それだけお金を掛けなければ、人が集まらないだろうと
予め予想をしているから、多くの予算を取る場合がほとんどなのです。
「さあ、儲けてやるぞ!」

モノにも価格にも自信があれば、多額の広告費は不要です。
私が2年ほど前にテレビで紹介した、世田谷のあるマンションは、
通常のマンションの1割くらいの広告予算で
あっという間に完売してしまいました。
大規模マンションでは、本来の商品と関係ない
ビジュアルで広告している例が多く見られます。
タレントやイメージ広告でエンドユーザーの目を引くのは、
何か誤魔化さなければいけない欠点が隠されているからです。
新築マンションは、
ウエディングドレスを着た女性のようなものです。
ほとんどの女性が、ウエディングドレスを着ると美しく見えます。
多額の広告費を掛けている大規模マンションは
無茶苦茶上等のウエディングドレスを着せられているようなもの。
そして、一番見せたいところだけ見せているのです。
でも、これが一旦中古になるとユニクロの
ジーンズを履いた女性に早変わり。
それでも、本当に美しい方は美しいもの。
外見だけではありません。
人間の本当の魅力が内面からあふれ出すように、
お化粧をしていなくても、普段着のままでも、
目鼻立ちが整っていなくても、美しい方は美しい。
「普段着のアタシを見てね」

マンションも同じです。
いくら外見を着飾っても、
アレコレとデコレーションを整えても、
醜いマンションは醜いもの。
シンプルで愛想がないファサードであったとしても、
中身をしっかり作ってあるものは、凛とした表情があります。
みなさんが、厚化粧の大規模マンションが
繰り出す様々な広告に騙されないために。
また、一見便利で住みやすそうな大規模マンションの
イメージに惑わされないために、
この「東京の大規模マンション全解説39物件」を
世に送り出すことにしました。
このレポートは、最も数多くのみなさんにお読みいただいた
「買ってはいけない大規模マンション 首都圏編」を改編したものです。
最初に「買ってはいけない」シリーズを出したのは2009年の夏でした。
あれから2年が過ぎ、首都圏のマンション市場も大きく変化しました。
ミニバブルの清算が進み、場所と中身の割に価格の高いマンションは
ほとんどが値引き販売によって市場から淘汰されていきました。
ただ、今でも住友不動産を中心に、一部残っている物件もあります。
もちろんこのレポートでは、
そういった「ミニバブルの残骸物件」を厳しく指摘し、
みなさんに「買ってはいけない」と警告を促しています。
ただ、現在ではミニバブル崩壊以降に企画された物件がほとんどです。
2年前と著しくことなる現象としては、
「買ってもいい」と言える物件がいくつか見られること。
ただ「お勧めします」というレベルではありません。
このように、今の東京には「買っていい」大規模マンションと
「買ってはいけない」大規模マンションが、
まだらに混在しているのです。
しかし、一般の方がそんなマンション市場の実態や
各物件について冷静に判断することは
かなり難しいことだと思います。
広告を見てモデルルームに行き、販売担当者の美辞麗句を聞くと
ついつい「これは買わなければいけない」と思ってしまいがち。
しかし、大規模マンションには先に申し上げたように
多くのリスクが潜んでいるのです。
契約してしまってから「あ、しまった」と思うケースも多々。
ついつい広告や営業トークに流されてしまいがちなマンション選び・・・
そんなみなさんに冷静な判断材料を提供し、
悔いのない判断をしていただきたいと考え、
このレポートを作成しました。
ここで取り上げたのは、アドレスが「東京都」になる
200戸以上の大規模マンションで、現在販売されているもの。
ただし、タワーマンションは含まれません。
レポートの構成はまず、
「東京都アドレス」の中でも
「東京23区内」と「東京都下」の2つに分けました。
さらに、その中で、対象の39物件をすべて
【買ってもいいマンション】
【ニュートラルなマンション】
【買ってはいけないマンション】
【今は判断できないマンション】
という4つのカテゴリーに分類しています。