阿弥陀山
837.1m
14.3.17
佐伯郡湯来町

   東郷山の西に見えるお椀を伏せたような山が阿弥陀山である。五日市から湯来へ向かう国道433号線で大森神社の先から別荘地の集落に入る。広い通りから恰幅のいい東郷山の姿がよく見える。まばらに建っている別荘の一つには木のてっぺんをオレンジ色に染めたいかにも花粉がついてそうなスギがあった。スギ花粉採集をしている私にとってはよだれが落ちそうである。ただし、今日は飛散する花粉で症状を起こす可能性もある。阿弥陀山を周回する林道を北に進んだ後、鋭角に切り返して突き当たりから山道に入る。いくらも行かないうちに私の嫌いな杉の植林に入る。スギ林の下は花粉が飛んでない。花粉は日の当たらない下枝にはつかないし、湿って風もないからだ。景色の変化もなく面白みのない、じめじめした林がつきると一気に明るくなって灌木地帯に入る。ここは急坂で木々を手で引き寄せながら上がっていく。足もとは滑りやすい。
  山頂の茂みに分け入ると人の背丈ほどの真っ青な常緑樹はすべて馬酔木である。日差しがまったくの春だ。馬酔木の葉の反射が目にまばゆい。風が生暖かい。花こそ付けていないが、春になっているのだ。ここは気が利いていることには山頂に展望台を作ってくれている。コンクリート造りだが、適度に古びているので山の景観を乱さずにすんでいる。二階屋上は周りの樹々より頭ひとつばかり高く、四方が一望である。今日も黄砂が多いが、よく晴れているので山々の同定は容易である。東に東郷山、窓が山、北には湯来の感応山あたりのぎざぎざの山並み、南には野貝原、西には阿弥陀山の西峯が近景にあり、その後に峻険な大峰山が横顔を覗かせている。東郷山の山頂よりよほど開放的で心も晴れ晴れとする。ここで弁当をひろげ、家内と息子たちの将来などを語り合った。 

  自然林とスギ林の右の境界を通って頂上へ    大峰山の横顔を望む

   

  展望台を下りて馬酔木の続く道を通る。先ほど展望台から見たスギ木立と自然の植生の際を通っていく。無線塔の下に達するとパトカーが止まっていた。こんな山の中になんでだろうと思って近づくと座席から警官がむくりと起きあがり照れくさそうな笑顔を浮かべる。どうやらパトロールをさぼって昼寝をしていたらしい。田舎町では昼寝の場所を確保するのも大変ですね。
  スギ林に分け入り黒谷の方へ下山する。道標のビニールテープもまばらな、あれた登山道で下に行くに従って豪快に切れ込んでいく谷になっていった。下山途中から風が強くなり、麓についたあたりから花粉症が出てきた。町道大森黒谷線を周回する当たりでは鼻や目がどうにもならず、非常に不愉快。もう春には山に登れないのかとさえ思った。花粉を付けたスギの枝先が道に落ちているが、見るのも嫌である。今日の隠れた主役はスギ花粉であった。

 

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