常色山記 |
登山ルートはもっともポピュラーな中出(なかいで)ルートではなく、もっとも距離が短くてすみそうな佐開(さびらき)ルートを選んだ。これは家内が明日の白山の登りに自信がないからである。林道の分かれ道で私たちは立派な道の方を選んだが、この道は車と歩行で長い道のりを行った挙げ句どんづまりになった。実は分かれ道のところで急角度でターンする、舗装のはげかかったボロい道の方が正解だったのだ。やっとのことで正しい道に復帰したがこの道でも途中車がどうしてもスリップして上れない箇所があり、時間的にはほとんど短縮されなかった。佐開コースはあまり踏まれていない道で里山に近い雰囲気だった。尾根近くなって風に曲げられたようなブナが出現。中出コースとの合流点である鞍部のシャクナゲ平で一息入れた。
大野平野を望む |
![]() 鎖場 |
つるつるすべる餅が壁 |
![]() 佐開コースの杉の美林 |
荒島岳の主峰への道をたどり、高度をあげるにしたがってブナは樹高を増し、主な樹木相はダケカンバ、灌木へと変わって行った。それからは「餅が壁」と呼ばれる急坂の小ピークが連続する。簡単な鎖場も何カ所かあったが、それより登山者の足で道が深く掘りこまれ、足場が悪いのに難渋する。山頂を覆う霧は途絶えることなく、途中から下の景色は見えにくくなった。いくつものピークを過ぎようやく山頂につく。山頂は意外と広く、対になった反射板と小さいが形のいい社があった。霧がなければ白山まで望めるはずなのに残念。高山植物ではないが、小規模なお花畑の趣を呈している。
荒島岳は深田久弥の生家に近く、彼の親近感によって百名山入りを果たした山、いわば縁故採用である。そのため深田はこの山を百名山に入れた理由を縷々書いている。その理由も是とした上でやはり、荒島岳は里山の大型になったようなもののような感じがする。独立峰であり、大野平野にを直視出来るので、比較的高度感はある。頂上付近から見ると大野平野に半ば埋もれた巨大な恐竜の背にいるようだった。