微量連続負荷による耐性導入法
 
                                                       2007.12.17 first upload

耐性導入法の新たな展開を報告する。微量連続負荷を行うことによって、比較的大量負荷が滞っているときに乗り越えることが容易になった。その前に、これまで、私が試してきた耐性導入法には次の3つがあった

最初に成功したのは自己血による方法である。

1.自己血援助下の耐性導入法

自己血療法はアトピー性皮膚炎の治療法として1992年から取り入れていた。

◆この時間帯には皮膚症状の改善が顕著に見られる。◇自己血注射の約5時間後から56時間後にはアレルギーに関する免疫が正常化していると考えられる。「シンデレラ・タイム」

◆また、スギ花粉症の治療のために行った、スギ花粉エキスの鼻粘膜に対する閾値を測定すると注射後6時間後には限界値が一時的に上昇している。1−2日後には限界値は元のレベルに復帰する。

「シンデレラ・タイム」に限界値の量を食べることによって、新たな限界値の量にリセットされる。

1週間に一度自己血を行い、そのたびに限界値の量を倍にしていくと、当初、卵の限界値が1/4096個であったとして、12週間で1個を食べることができる計算になる。


2.自力での耐性導入法

自己血援助下の耐性導入法の最後で卵1個を食べることができた。多い摂取量に達してからは、症状が出ることなく食べられた量がそのまま「時間外」での限界値となることはないようである。
また、単発で食べられる最大量と連続して食べられる量とでは意味合いが違う。
自己血援助下の耐性導入法での歩留まりは1/4である。
この意味は週に2回1/4個の卵を食べることができる。

それでは少ないので、次のようにして食べられる量を増やすことができた。
これを自力での耐性導入法と呼んだ。

卵1/4個→(2日開けて)→1/4個→(9日開けて)→1/2個→(9日開けて)→1/2個→

→(6日開けて)→1/2個→(2日開けて)→1/2個→(9日開けて)→1個→

(9日開けて)→1個→(9日開けて)→1個→(6日開けて)→1個→(2日開けて)→1個


◆この方法は摂取の間隔の調整に着目した方法である。
◆負荷摂取量の増加程度は2倍が適当のようである。1.4倍とか、1.2倍にしてもメリットはあまりないようである。つまり、増加には免疫細胞にとって「サプライズ」が必要なのではないかと思う。

この方法によって2倍、あるいは4倍に増やすことができた例もあるが、自己血による耐性導入の段階のときと較べると「通過率」はよくない。よくいっても、倍量にするために1ヶ月かかる。

3.毎日倍増法

毎日倍増法がそのまま耐性導入法になっていることがある。

年少かつ軽症の乳児例で、より微少量から限界値測定を始めた場合、測定前後で明らかに症状が突然軽快している例が見られた。また、かつて症状が出た量を越してはるかに多い量が限界値になることがあった。これらの事実は毎日倍増法が耐性導入を行っていることの証左であると考えられる。

注)耐性導入のさいにそれまで、除去を行っても自己血を併用してもよくならない種類の「遅発型」の湿疹が突然改善することがあった。したがってそのような改善が見られたときには耐性導入があったと考えることができる。
 


自己血援助下の耐性導入法においても、最終的に次のような「壁」にぶちあたることはしばしばある。

「壁」

 1.何回チャレンジしてもある用量を超えられない。 
 2.それどころか、何回目かのチャレンジの後には用量を
   下げても下げても通らなくなる。 
 3.ひどい(全身)蕁麻疹−咽喉頭浮腫−アナフィラキシー反応が出る。
 4.消化器症状(口腔、舌、食道の違和感、腹痛)あるいは、
   呼吸器症状(鼻汁、耳の痛み、咳、気管支喘息)が出る。 



「自己血援助下の耐性導入法」に習熟し、より高い用量にまで到達する機会が多くなる一方、上述のような症状に遭遇する機会が多くなった。

実は、1.自己血援助下の耐性導入法 と 2.自力での耐性導入法 の考え方の基本には、負荷と負荷の間の期間は厳重な除去期間でなくてはならないという基本概念があった。それは、1.自己血援助下の耐性導入法 を確立する模索の段階で、何回か負荷と負荷の間において、少量の摂取を行っており、その少量の摂取が次の負荷のときに症状を誘発する原因になっているということに気が付いたからである。


そこで考え方を根本から改め、微少量の連続摂取によって次回の摂取の際の過剰反応を抑制することができないであろうか、ということをはじめて実験した。結果は成功であった。

その定式は現在のところ次のようになる。

4.微量連続摂取後の限界値摂取による耐性導入法

a.限界値設定 自己血援助下の最終負荷量
b.微少量設定 1/256量が多い。1/32、1/16でいい場合もある
c.連続摂取期間 1週間
d.自己血あり、またはなし
e.通れば、倍率はそのままとし、微少量と次回負荷量をどちらも倍増させる

これによって「壁」をかなり越えられるようになった。今後、さらにリファインすることを予定している。
 



なにも考えずに自然に食べられるようになっていっているたくさんのこどもたちは実在する。医師の間でも、さまざまな方法で食べられるように努力している方たちがたくさんいる。

その方たちが食べられるようになる、させるスピードというのは私が今までやってきた1−3の耐性導入より早いことはしばしばある。決して私は最速ではない。

しかし、問題は安定性と汎用性である。だれでもがその方法で食べられるようになるかということである。

おそらく医師の制止に反して勝手に食べて成功するこどもたちの割合はわずかであろう。また、アレルゲンを食べられるようになるよう努力している医師たちは従来、除去食に対してはある程度批判的な態度を示してきた人が多い。そういう背景であれば、かなり自由な食べ方に踏み出すことが容易であっただろう。

これに反して除去食療法家たちは、除去を無視して食べて失敗した経験が豊富である。危険を知っているから、容易に「無謀」な食べ方という分野に踏み出せない。

私が踏み出せたのは自己血療法のシンデレラ・タイムに気が付いたからである。その自己血化の耐性導入法でさえ、危険とは隣合わせであった。アレルギーの進行・悪化と耐性導入(経口免疫寛容)のすべての過程は隣合わせにある。

おそらく、他の医師はそのことを十分には知っていないだろう。アレルギーの進行・悪化と耐性導入(経口免疫寛容)のすべての過程を理論化し、仮説を立て、常に用心深く、決して不用心に危険地帯に立ち入らないようにしてきた。たまたま入り込んでも何ごともないとわかったときにはおそるおそる立ち入る範囲を広げて行った。逆に理論的に考えて、同様のことが予想されるときには慎重かつ大胆に危険地帯に踏み込んだ。
また、微量連続摂取法を構想しえたのは、自己血援助下の耐性導入法を徹底的に考え抜いて理論化し、仮説を立てていたからである。

 

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