常色山記

6.灰が峰(呉市)

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 1月28日呉市の灰が峰(737m)に登る。午後からは寒気が下ってきて山間部では雪
の予報であった。車で185号線を行く。呉のメインストリートをそのまま北上し、峠に近い
西畑のバス停から横道に入ればいい。入り口を確かめたところでコンビニを探し、弁当を
買おうとしたが、思いの外コンビニが少なく、延々中心街まで引き返さないと買えなかっ
た。西畑に戻り、住宅街を縫うように続く坂道を上り詰め、平原の変電所の少し脇の道を
行くと駐車出来るスペースがある。実はガイドブックに載っている、この変電所脇の道がな
かなかわからず、何回か坂道を往復した。モルタルを熊手でなでた舗装道を上がっていく
とやがて民家はとぎれ、登山道の入り口となる農道の前に立つ。ここもしばらく行くと落ち
葉の積もる山道に変わる。道の様子が都会からより自然の道へと変わるたびになぜか嬉
しくなる。やがて環境庁の作った大きな地図の案内板が立つ三叉路にぶち当たり、右手
に進む。道は険しさを増し、やがて小川を渡る。この当たりからは七曲がりの名称通り、
急な登りを楽しむ。今日は久しぶりの単独行なのでいつもの自分のペース、ということは
ハーハーと息をはずませる程度に早足で登るのぼるわけである。銀明水あたりには大き
な谷間が開け、そのランドスケープは目を都市近郊の自然とは思えない迫力がある。
あまり人手は入っていないのだが、一部分、桜を植えたところがある。これだけの自然
があるのに都会近くどの山とも同じ色合いに染めてしまうのは惜しい。また谷の右手に取
りついてからは終始呉の市街が見下ろせるのが楽しい。谷を上り詰めると車道と交差す
る。登る前には何回も車道と交差するのではと心配していたが、交差はここ1カ所だけで

呉市の中心部がたなごころを見るように。

あった。車道にそって展望台が設置してありそ
こで休憩し、呉の市街をもう一度眺める。少し
右に行ったところから登山道の続きが始まる。
ここから見上げる山頂は立派である。よく整備
された新道と旧道があり、樹齢の高い木が並
旧道の方を選ぶ。頂上近くには雪が残ってお

灰が峰山頂を望む

り、少し緊張した。雪どけ水がポタポタ落ちる円形の展望台の下の周りを廻ると頂上広場
にでる。北側のレーダー施設を除くとほとんど360度遮るもののない眺めである。この山
は独立峰であり、東の野呂山839mを除き周囲40kmにこの山より高い山はないので眺
めがいいのは当然である。呉の市街と広の市街地を分けて休山、三津峰山がそびえ、そ
の向こうに瀬戸内海が輝いている。倉橋、能美、蒲刈の島々などの広大な展望はデジカメ
の狭いアングルに入りきらない。
 都会の眺めがいいこと、海が見えること、自然がよく残されていること、名水があること
など神戸の六甲山にとてもよく似ている。都市近郊の山としては全国でも屈指と言えるの
ではなかろうか。車が押し寄せ、売店などがある頂上をイメージしていたので今まで敬遠
していたのだが、もっと早く登るべきであった。

休山、三津峰山の向こうは倉橋島

東に野呂山を望む

 登りの間は登山客に行き会わなかったが、他にも展望台下のスペースで弁当を食べてい
る登山客はいた。レーダー施設の前の平たい大きな岩の上だけは雪がなく、そこに座って
弁当を食べた。車で上がってきた中年の夫婦が登山姿の私を認め、登山道はあるのかと
聞く。私と同じく広島から来られ、やはり景色のよさに驚いたようで、今度は足で登るつもり
でいるらしい、そんな口振りであった。帰りには滑らないように気をつけながら、走るように
降りた。案内書には登り2時間と書いてあったが、この日は結局、登り1時間15分、下り
45分であった。帰りには来た道と少し違った道を行ってみたら、こちらの道はずっと標高の
高いところまで農家、住宅地が迫っていた。この道にも「灰が峰登山道」の標識が点々と
立っていた。ルートはいつもあるらしい。平原変電所の方には出ず、西原のバス停近くに出
たので、駐車場まで登り返したが、終始快適な歩きであった。下りの途中からは曇ってきた
がまずは上天気の部類であった。
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