アトピー性皮膚炎を治す、
自己血療法ってなんですか
09/01/26 upload

 

1.自己血療法ってなんですか。

Q:自己血療法ってなんですか。

A:自己血療法はアトピー性皮膚炎のもうひとつの原因療法だと考えています。自己血療法は免疫変調療法のひとつです。平たくいうと体質改善療法ですね。世の中には食物やダニなどのアレルゲンに対して、激しく反応する人とあまり反応しない人、全く反応しない人がいます。激しく反応する、いわゆるアレルギー体質の人は免疫を担当するリンパ球の機能のアンバランスが生じています。「免疫を変調させる」というのはそのひとの免疫機能を大改造するのではなく、からだに備わったバランスの調節機構を利用して少しずつ正常に近づけて行くことです。

Q:お話に出てくる「免疫機能の大改造」というのはたとえばどういうことですか

A:ステロイドや近頃ステロイドの代わりとして一部で期待を集めている、FK506やシクロスポリンのことです。これらの薬は一時的には湿疹を改善させますが、薬をやめたらやはりアレルギー体質は元のままなので症状も元に戻ったり、かえって悪くなる、リバウンド症状を起こしかねません。 

Q:自己血療法のことをもうひとつの原因療法とおっしゃっていますが、ひとつめの原因療法は何なのですか。 

A:アレルゲンの除去や忌避、すなわち除去食療法やダニ対策、それにダニアレルギーに対する脱感作療法もそうです。これらはアレルゲン側に対する対策です。これに対して自己血療法はそういうアレルゲンに敏感な体の側を直していく手段です。 

Q:おっしゃる通りだとすれば今までになかった治療法ですね、では具体的にはどういうふうに治療するのですか。 

A:腕から1−3ccの血液をとっておしりの筋肉に注射します。これを8回または12回、1週間に1度繰り返します。8−12回を1シリーズとして、 よくならなければ数シリーズまで繰り返します。採血時の痛みを減らすために、乳幼児では血液をまとめてとって、濃縮し凍結保存します。

Q:そんなに簡単な方法で効くというのは驚きですね。
 
2.なぜ効くのですか

Q:どうして効くのですか。血液を注射するだけで体質が改善するだなんてことが、本当にあるのですか。

A:血液を注射するだけで効くというと、みな不思議がります。しかしねその前に体がバランスをとる実例を示してみましょう。
アトピー性皮膚炎のお子さんが風邪をひいて熱をだしたとします。すると皮膚炎はどんどんひどくなります。ところが熱が下がり始めてからは皮膚炎がどんどん軽くなって風邪をひく前よりもきれいになることがあるのです。なぜでしょうか、私はこう考えています。
 熱が出ているときには細菌やウイルスと闘うためにリンパ球の司令塔は免疫よ、もっと働けもっと働けと号令をかけている。細菌やウイルスが撃退されたときには免疫よ休め、やりすぎるなよ、と引き留めている。アレルギーもまた免疫の働きの一種です。だから、熱のあるときにはアレルギー症状はどんどん悪くなる。ところが熱がひくときにはアレルギーがどんどん軽くなる。

Q:なるほど。ところでリンパ球の司令塔っていうのは何なんですか。ほんとにそんなのがいるんですか。

A:いますよ。免疫学の世界では調節リンパ球といったりしています。リンパ球の中でもサッカーでいえば中田みたいのがちゃんといるわけです。全体の流れをつかんで他のリンパ球に指令を出しているのがいるわけです。
  問題はひとの体はこんなふうに刺激に対して反応し、免疫のバランスを回復する能力を持っているということです。なぜ自己血療法が効くのかは、まだよくわかっていませんが、風邪のときと何か共通する働きがあるのだろうと思っているわけです。

Q:でも自己血療法とリンパ球の司令塔と何か関係あるんですか

A:血液をお尻に注射したあとのことを想像してみますと、血液の中にあった白血球は死んでしまいます。死んだ白血球の残骸は体の中をパトロールしているマクロファージに食べられてしまいます。マクロファージはそのあと所属リンパ節に帰ってリンパ球の司令塔に面会するわけです。

Q:それって本当ですか。

A:この筋書きは誰も見てきた訳ではありませんが、今までの免疫の知識からいえばそうなります。そして私は注射した血液の成分の中で効く要素は死んだリンパ球であることをほぼ明らかにしました。でもわかっているのはここまでです。

 
3.効き目について教えて下さい(その1)

Q:リンパ球の司令塔がそれを見て免疫よ休めという指令を出すんでしょうね。いや、よくわかりましたよ。でも、実際にはどこまで効くんでしょうか。

A:これは一口にいうのはとても難しい。年齢と重症度で非常に違うからです。でもごくおおざっぱにいうと、自己血療法単独で著効1割、有効4割、やや有効2割くらいです。もちろん、従来治療すなわち、除去食療その後に除去食療法、漢方薬、塗り薬なども同時にやっていますから、それらの効果とあわせると、やや有効以上が8割7分になります。

Q:いや、今の話でもよくわからない。たとえば私の子にすると治るのでしょうか。

A:患者さんの親御さんと話をすると、最後は必ずそういう話になるんですよね。それはあなたのお子さんを診てみないと治るかどうか、予測はつかない。今は一般的な話ををしましょう。この治療法の最大の強みは重症のひとほどよく効くということなのです。
重症のひとほど免疫のバランスが崩れている。それは免疫を担当しているリンパ球に機能的な歪みがあるということにほかならない。自己血療法はその歪みを逆手にとってそれを免疫のバランスを取り直すためのエネルギーにしているみたいなんですよ。

Q:それは心強いですね。重症のひとほどよく治るというのはわかりました。
 もう一つ年齢ではどう違うのでしょうか。成人でも治るのでしょうか。


A:年齢的にみると乳児がもっともよく効き、その次が思春期・成人、その次に小児という順になります。年齢別のグループの中でもみても重症度が高いほどよく効くということがいえます。乳児では自己血療法を始める前は1年に1例か2例はどう除去食を行っても、まるでよくならない、困り果てる症例があったのですが、今は重症の乳児をみると初診の時に「重症だから、必ず治る」というくらいです。中くらい悪いのよりはむしろ思いきり重症の方がかえって完全に治るほどです。
  一方、成人では除去食が効くのは10%もいればいい方でしょう。しかも除去食で改善するといっても、乳児では元の症状が90%よくなるとすれば成人は60%よくなればいい方で、その上再発、再燃が多かったのです。自己血療法では成人の重症者も非常によくなるので有用性は乳児に劣らないともいえます。
 
4.効きめについて教えて下さい(その2)

Q:軽症のひとや、学童期の子はあまり効かないのですか。

A:統計的にはそういう傾向がありますが、その中でもいろいろあるのです。軽症者でも学童期でもアトピー性皮膚炎になったばかりのときはよく効く。前回自己血がよく効いたことのある、再発例ではよく効く、などの原則があります。そしてどういう症例が効いて、どういう症例が効かないか、いまでは初診のときに皮膚の状態をみると大体は予測がつきます。

Q:どのくらい自己血療法をすると効いてきますか。

A:効き目そのものは1−2日目にもすぐわかります。乳児では特に1−2日目に非常に症状が軽くなります。これを早期反応と呼んでいます。しかし、これは長続きせず、3−4日から少し元に戻りかけますが、1週間後でもわずかに軽くなっています。ひとによって違います。早いひとですと、大体4回目くらいから効いてくるのがわかります。遅いひとだと8回、16回治療しても全く効果が見られず、24回位から効いてくる人もあります。

Q:副作用はないのですか。

A:注射そのものの副作用は全くありません。注射されるものはもともとその人の血液だったのでpHや浸透圧は安全で、薬を注射するのではないのでペニシリン・アレルギーのようなこともおこりません。ただ自己血療法そのものが裏目にでて症状が悪化するひとはいます。

Q:悪化の原因はなんですか。

A:アトピー性皮膚炎の皮膚症状はひとにより、十人十色、千差万別です。悪化する人は免疫のバランスが大多数のひととは逆になっていると考えられます。悪化する人は思春期・成人のうちの50人に一人くらいです。これもある程度初診のときに見当がつきます。

5.なぜ一般的に行われていないのでしょうか。

Q:初めて聞く治療法でしたが、他にはしている医師はいないのですか。

A:私の他には浜田市、西宮市、光市、東京都にしている先生がいますが、全国的にはほとんど行なわれていない 治療法です。

Q:なぜ一般的に行なわれていないのでしょうか。

A:私は92年からたびたび学会、研究会で発表をしましたが、直接発表を聴いた先生もまだほんの一部、少しは効果があるのではと思って下さった先生方はそのまた一部、実際に試していただいた先生は2−3人に過ぎません。その理由は多くの先生方が「そんなもので効くわけがない」 「理論的な裏付けがない」 と感じていらっしゃるためだろうと思います。

Q:治療成績を発表されたのに効くわけがないとはどういうことなのですか。

A:理論的に納得いかないというひとには、いくら治療成績のデータを示しても皮膚炎がよくなった写真を示しても信じてもらえませんでした。

Q:理屈はともかく実際に効いたか、効かないかが問題ではないのですか。

A:医師も頭では理屈じゃない、治療成績だとわかっているはずです。それなのに実際は理屈がないとデータを見ても、写真を見ても信用しないのです。医師に限らず、人間はまったく新しい事実、新しい体系に接すると事実そのものを否定しにかかる、そういう性質があるのです。私自身も初めて自己血の症例に接したときは「確かに効いているが、何か落とし穴があるのではないか、何か裏があるではないか」と疑ったものです。自己血を認めたのは自分でしてみて著効例を経験してからです。

Q:理論的な裏付けはないのですか。

A:今までになかった治療法ですから、証明された理論的裏付けというものはありません。いまから研究していかなくてはなりません。これは私ひとりの手には負えないことで、当然しかるべき研究者が手がけることですが、そのためには効いているということをわかってもらわなくてはなりません。これでは堂々巡りですが、私の発表を何回も聴いている人の中には徐々に関心は高まっているのでもう一押し、二押しだと思います。私がいま手がけている自己血療法の新しい方法はもしかしたら、誰がみても効いていると認められるきっかけになるかしれません。
 

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