耐性導入とは

経口免疫寛容を起こすことなり

                              
2009.3.13 upload


経口免疫寛容ということを説明します。

経口とは口から食べて、飲んでという意味です。
免疫はわかりますね。
寛容とは心を広く持って、ゆるす、受け入れるということです。

免疫というのは異物、アレルゲンを排除する、受け入れないという働きです。
だから、免疫寛容とは免疫をあえて発動しないということになります。

選択的に免疫を緩くする。

免疫を強くする、ということとは逆の概念です。
しかし、免疫を弱くすることかというとちょっと違います。

免疫を弱くするというのはどういう言われ方をしているか。
免疫を弱くしてしまっては細菌やウイルスにまで弱くなります。
ステロイドなんかは確かに「免疫を弱く」します。
そのおかげでアレルギーは軽くなりますが、その代わり細菌やウイルスにまで弱くなります。これはちょっとまずいですね。

ところが、免疫寛容というときは「ある異物に対してのみ」免疫を軽くしているのです。つまり対象を選択してその対象に対する免疫を弱くし、さらにはなくしてしまうことなのです。だから、免疫寛容は細菌やウイルスの病気にかかりやすくなるということはありません。

免疫寛容は経口的にしか起こらない、起こせない

では免疫寛容はどうしたら起こすことが出来るのでしょう。
実は「免疫寛容」の前にくっついている「経口」という文字に重大な意味があります。

はっきり言って免疫寛容は経口でしか起こりません。
「経口」とは言いますが、実態は腸で起こっていることです。
腸を通して異物を受け入れるときだけ、免疫寛容という現象がありえるのです。

他の器官・組織を通じて異物・アレルゲンが入ってきたときには免疫寛容ということは起こりません。例えば、皮膚・目・鼻・気管などです。

ゴム手袋の材料である、ラテックスをどのくらいの量で、どのくらいの頻度で皮膚に塗りつけても免疫寛容を起こすことはできません。

目にスギ花粉をどのくらいの量で、どのくらいの頻度で塗りつけても免疫寛容を起こすことはできません。

ダニのふんをどのくらいの量で、どのくらいの頻度で吹き付けても免疫寛容を起こすことはできません。

それどころか、これらのアレルゲンを塗り続ければアレルギーを強くするばかりです。でも、もし、ものすごく薄い量を塗ったとしたら、アレルギーは強くなることはありません。しかし、免疫寛容を起こすこともありません。

ところが、経口、すなわち消化管を通じて、腸管を通して、アレルゲンを受け入れる場合にのみ、免疫寛容という現象が起こり得るのです。

昔から、漆職人はハゼの木から取った樹液を工芸に使っていました。ハゼの樹液、すなわち漆は皮膚に付くと激しいアレルギーを起こすことで有名です。ところが漆職人は漆を少しずつ舐めて、消化管に少しずつ取り入れて、アレルギーを起こさないようにしていたのです。

これが経口免疫寛容です。
すばらしい智恵じゃありませんか。


免疫寛容は生きて行く上で絶対に必要だった

皮膚にどういうやり方で塗ってもアレルギーを強くするばかり。
ところが少量を口から摂取すると免疫寛容が起こってアレルギーにならずに済む。
なぜでしょう??

アレルギーというのは毎日、毎日繰り返し、同じ異物に曝されると引き起こされます。
腸管は毎日、毎日何十グラム、何百グラムという食物に曝されています。もし、免疫寛容という仕組みがなかったら、私たちは重度の食物アレルギーになって生きて行けません。ですから幸い私たちの体には、免疫寛容の仕組みが組み込まれており、食物アレルギーから逃れられているのです。

腸は大量の異物である食物を毎日、毎日受け入れています。それらは消化酵素の働きを受けて大部分が分解されてアレルゲン性を失った形で吸収されています。しかし、大量の食べ物であるために、大部分が分解されたと言っても、残りの少量はアレルゲン性を保ったまま、腸の粘膜を通じて体の中に入って来ます。

腸の粘膜の直下には免疫細胞であるリンパ球がびっしりと並んでいて、アレルゲンを上手に処理します。そのために体の中にアレルゲンが入ってきてもアレルギーを引き起こさないのです。

これに較べて皮膚や、目、鼻、気管支などの粘膜は消化酵素をもっていません。そして皮膚・粘膜直下の免疫細胞は腸に較べてずっと手薄です。このために皮膚や、目、鼻、気管支の粘膜から入ったアレルゲンは容易にアレルギーを強くするのです。


免疫寛容を起こすことは夢の治療法である

免疫寛容の仕組みはこれまで、ずっと免疫学者、医師にとって夢の治療法でした。その方法を使えば多くの治せないアレルギー病が治る、そう考えられてきました。しかし、免疫寛容がどのような仕組みで起こるかということはわずかしか知られていませんでした。

私は平成11年から約10年の間、アトピー性皮膚炎の食物アレルギーからはじまって、スギ花粉症、そしてこの近年、いろいろなアレルギー病を次々と耐性導入法で治すことができることを証明してきました。

この耐性導入法こそが、経口免疫寛容を起こす方法そのものなのです。
経口免疫寛容という言葉は一般の方にとって非常に馴染みがない言葉です。
なので、これまで私はこの言葉をあまり使わないようにしてきました。
しかし、そろそろこの言葉とこの言葉の意味を伝えていきたいと思っています。

いろいろなアレルギーを治している耐性導入法はすべてアレルゲンを口から食べたり飲んだりしてもらっています。実は耐性導入法は「経口」で治しているのです。「寛容」という言葉は英語でtoleranceと言います。そして耐性という言葉もtoleranceと訳されます。すなわち、寛容=耐性なのです。 耐性導入法とは経口免疫寛容を起こさせる治療法なのです。

ですから、耐性導入法とはなにか、と聞かれたならば、これから私は
「耐性導入とは経口免疫寛容を起こすことなり」と答えるでしょう。

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