| 乳児湿疹について −乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は違う病気か 2009.2.5 upload |
| 「乳児湿疹」という病気はありません。そのような名前は不要です。 「乳児湿疹」とアトピー性皮膚炎は同じ病気です。 同じ病気に二つの名前はいりません。 早いうちにアトピー性皮膚炎であることを理解し、対処することが重要です。 |
私のところに来る患者さんの母親の多くが、前のお医者さんに「これはアトピーではなくて乳児湿疹だ」、「乳児湿疹か、アトピーかもう少し経ってみないとわからない」などと言われていた、と言います。
乳児期早期から起こってくる湿疹をアトピー性皮膚炎と認めない、とかアトピー性皮膚炎と「乳児湿疹」を区別しようといる医師は多くいます。というか、そういう意見の方が多いです。
しかし、私は乳児湿疹と呼ばれている病気はアトピー性皮膚炎そのものだ、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎を区別する理由はない、と主張します。なぜなら、症状(湿疹)の見かけは変わらない
し、食物除去をするとどちらもよく治るなどからです。
実は見かけで区別がないからこそ、多くの医師たちが乳児湿疹か、アトピーかを「区別」しようとして首をひねっているのです。はっきりした区別が確立されていれば、だれも乳児湿疹か、アトピー性皮膚炎か迷うことはありません。
実は区別などはじめからないのです。
他の医師が「乳児湿疹」と呼んだ患児も食物除去をしてみれば、よく治るので両者とも食物アレルギーが原因だということはわかります。しかし、「アトピー性皮膚炎」と「乳児湿疹」が別の病気だと考えている医師
の多くはアトピー性皮膚炎の原因は食べ物アレルギーであることを否定したり、あるいは原因になることはあってもそれはすべての症例で原因になっているのではない、と考えていますから、食物除去はしません
。したがって、両者の原因がおなじ食物アレルギーであることには気が付きません。
なぜ、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎が別の病気だ、というようなことを言う人が多いのか。それはアトピー性皮膚炎の診断基準に「3ヶ月以上続く、慢性の湿疹」という項目があるからです。
この項目は主として成人や小児を元に作られた基準です。しかし、3ヶ月未満の乳児には3ヶ月以上続く、ということがありえませんから、小児や成人で決められた基準を適用するのはおかしな話です。
あかちゃんは
おなかにいる間はお母さんにとって「異物」です。したがって、おなかの子どもを攻撃することがないよう、免疫を抑制する物質が出ているはずです。産まれたあかちゃんも最初はその影響でアレルギー症状が出にくくなっています。時間がたつと、免疫の抑制がとれ、本来持っていたアレルギーが徐々に姿を現します。
アトピー性皮膚炎(最初は乳児湿疹と呼ばれている)はだいたい1ヶ月頃から始まった、とお母さんが答えることがおおいのですが、よくよく聞いてみますと、生後2−3週間から少しずつ始まっていることも多いです。最も早い例では1週間、あるいは退院した直後というのもあります。
この頃の湿疹の形は小児・成人のアトピー性皮膚炎の形とは少し違います。赤い点々だったり、ブツブツだったりして、小児・成人のアトピー性皮膚炎の特徴である、慢性湿疹の様相がないのです。
それでも、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎と分けることにまったく意味がないわけではありません。実は私もこれなら乳児湿疹と言っても構わないか、と思う症例はあります。それは見かけが軽くて治りそうな気配がするのです。なにもせずに経過を見ていると確かにそのうちのいくらかは自然に治ります。
ただし、その印象は絶対的なものではありません。治るかもしれないと思っていても治らないこともあります。つまり、事前に予測はできないのです。しかし、アトピー性皮膚炎にも軽いものと重いものがあるのは当然のことです。軽いアトピーは自然にも治り、重いアトピーはなかなか治らない、自然には治らない―当たり前の話ではありませんか。
例えば、風邪にしても軽いものと重いものがあります。軽いものは暖かくして一晩寝るだけで治ることがあります。重いものの中には気管支炎から肺炎にまで進むものもあります。軽いから風邪ではないとか、自然治癒するから風邪ではないという言い方がいかに無意味であるかは、この例でも明らかでしょう。
私は、アトピー性皮膚炎の乳児をお持ちのお母さん方には初診ではっきりとアトピー性皮膚炎です、と告げることにしています。その上で、そのアトピー性皮膚炎が軽いものなのか、重いものなのか、治療にどのくらいかかるかなどを説明しています。
中にはアトピーと言うとお母さんがショックを受けるから乳児湿疹ですという先生もいるようですが、私はお母さんがお子さんの状態を正しく認識し、その上で病気に対して正しく対処
することを援助できると思うからです。
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