私のケーブル製作法
2000.12.04


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   音のいいケーブルを作る5箇条
1)ケーブルの方向性
2)音のいい長さ
3)ストレスがなく強い結束力の被覆材料
4)ホット、アースを離して右よりによる
5)つるつるした、防振シース、ジャケット

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 1.ケーブルの方向性をあわせる
  ケーブルはほとんど被覆の上の文字の流れる方向に電気が流れやすくなっている。つま
 り、ケーブルの被覆に「CABLE」と書いてあるとすればCをスピーカー側、Eをアンプ側に
 つなぐわけである。この繋ぎかたで間違いはないはずだが、念のため逆向きにも繋いで
 確認しておこう。逆向きの方が音がよいことも希にはあるそうだ。試聴によって方向性を
 確認するときはケーブルを長めで試聴する。30cm、50cmでは馴れないとわかりにくい。
  逆向きに繋ぐと音はかすれて、つまった、抜けが悪い音になる。ケーブルを長くすれば
 するほどこの傾向は明らかになる。ケーブルに付属した電気伝導性のパーツ類すなわち、
 コネクター、プラグなどにも方向性がある。ケーブルの芯線だけでなく、すべての電気伝導
 性のパーツの方向性をあわせると音はいっそう良くなる。
 
 2.音のいいケーブルの長さを測る
  このノウハウはAVvillage誌〇〇号に茂曽路さんが書いたもので、茂曽路さんのオリジ
 ナルである。ところが、発表されたあともほとんど反響がなかった。このノウハウは最大
 限に活用するとものすごい効果をもたらすのに残念だ。
  私は彼の記事を読んでやってみたが、いたるところでつまづいた。これは茂曽路さんが
 自分と一般読者のレベルの差を意識しなかったからであろう。事実、彼は素晴らしく耳が
 よいので、音のちょっとした違いを瞬時に聞き分けてしまう。これは素人にはまねが出来
 ない。たまたま私は茂曽路さんに直接教わることができたので、このノウハウのすべてを
 知ることが出来た。本来ならば茂曽路さん自身がもう一度詳しく書けばよいことであるが、
 レベルの低い私にして初めて書きえることもあると思うわけである。
 
  音がよくなる長さは試聴によって決める。2台のスピーカーに対し予定より25cmくらい
 長めのケーブルを2組用意する。一端をあらかじめ25cmくらい剥がして端子に通しスラ
 イドさせながら試聴する。剥がす側をアンプ側にするかスピーカー側にするかは作業
 効率のいい方を選ぶ。25cmも被覆を取り去ると線はばらけるので、2cm毎に1cm巾
 のテープで留めておく。端子から垂れ下がるケーブル同士のショートには十分注意しなけ
 ればならない。
  試聴のソースとしてはオケの伴奏付のボーカルが最善である。クランプする位置を2c
  mずつ短くしながら、各点毎にオケとボーカルの聞こえかたの特徴を「感じ」でいいから
 メモ書きしていく。1回目は明らかに感じられないが、2回目には、音が変わったことが
 はっきり分る。3、4回目には変化の方向がつかめる。すなち、ある帯域だけがスポット
 ライトをあてたように、明瞭でよく響いて聞こえ、背景となるその他の帯域は濁り、かすれ、
 妙な付帯音が付き際だった対比を示す。明瞭に聞こえる帯域はケーブルが短くなるに
 つれて高域にシフトしていく。ボーカルがもっとも聴きやすく、かつオケの情報量が最も
 大きいところがいわゆる「音のいい長さ」である。さらにケーブルを短くしていくとクリアー
 な高域も消失して、ほぼ全域がスカスカの領域が現われる。そしていつのまにかクリアー
 な最低音が現われ、以下同じような繰り返しの末に14−16cm短くなったところで音の
 よくなる点がある。したがってケーブルは長さによってきれいな音が出る帯域が決まって
 おり、その帯域はケーブルを短くしていくと低域から高域に変わるということを15、6cm
 毎に繰り返す。
  さて試聴によってケーブルをクランプする位置を変えてに追い込むのでは精度に限りが
 ある。正確に測定する方法を書こう。音の良くなる点のことを節と呼ぶことにする。最初に
 見つかった節がケーブル長253cmにあり、次ぎに見つかった節が238cmにあったとす
 ると節間の長さは15cmとなる。検算のためケーブル長を節間の長さで割ると253÷15
 =16.8となる。これは整数である17にかなり近い。したがって現在のケーブル長には
 17だけ節があると推定される。もし16.5とか16.4とかの値になれば試聴のどこか
 に誤りがある。よって253÷17=14.9cmがより正確な節間長であり、14.9×17=
 253.3cmまたは14.9×16=238.4cmがもっともいい音の長さとなる。
  ここまでは2つの節について観察をしただけであるが、実はこの先ケーブルをどんどん
 短くしていっても正しく14.9cm周期で出現する。同時に400Hzがクリアーに聞こえる点
 も正しく14.9cm周期で出現するわけである。
  ケーブルは短いほどが音がいいというのはこれまでの常識である。確かに253.3cm 
 と238.4cmを較べると238.4cmの方が音がよい。ところが節である253.3cmと
 これより7.5cm短い245.8cmでは明らかに253.3cmの方が音がいい。245.8
 cmの音はケーブルを逆向きにしたときと共通する、スカスカの音なのである。そればかり
 か例えば156.5cmぐらいにしても253.3cmのほうが音がいい(156.5cm=
 14.9cm×10+7.6cm)。したがってケーブルは短い方が音がいいといういいかた
 は正確ではない。この表現は例えば「ケーブルは短いほど電気抵抗が小さい」という
 ような単純な比例関係にある事柄をいうときの表現である。
  ところで私の経験では、2ウェイ、3ウェイのスピーカーであればウーファーのみ鳴ら
 すようにすると音の善し悪しが分かりやすい。バイワイアリング用の端子があるのならウ
 ーファー用端子にのみ繋ぐ。入力端子が1組だけなら、繋いだあとツイーター、スコーカ
 ーをいったんバッフルからはずしてユニットへの入力端子を抜いておけばいい。
 
3.ストレスがなく強い結束力の被覆材料
  多芯線に電流が流れると芯線同士には弱いながら斥力が働く。芯線はすべて同じ方向に
 電気が流れるので、芯線の一本一本の周りに右回りの磁界が出来る。隣り合う芯線同士
 の磁界は反発するので中心から外へと斥力が働き、強い電流が流れたときは芯線の束が
 膨らみ、弱い電流が流れたときは芯線の束が縮むような振動を起こす。この振動モードと
 一致する帯域の音は阻害される。一番いい例は裸電線で、最低音からかなりの高音まで
 阻害され、もはやシヤラシャラという高域しか伝えない。これを被覆すると中低域も戻ってく
 る。市販ケーブルの被覆は厚手ではあるが被覆自体は結束力が少し弱い。そこで薄くても
 強力な被覆材料としてポリエチレン・テープを見つけた。これは荷造り用ヒモのレコード巻
 きというものをDIY店で売っており、その中でも色つきのものがよい。ポリエチレンは
 誘電率がテフロンと並んで低いのもいい。そこで市販ケーブルをわざわざ被覆を剥いてポ
 リエチレンを巻き付ける。この時注意しなくてはならないのはテープ巾が広すぎると銅線
 が自由に曲がらず、突っ張ったようになる。一カ所を曲げるとその代わりにその近くで曲
 げた箇所と逆方向に少し曲がる。この芯線を使うと突っ張ったような固い音で聞きづらく
 なる。ポリエチレンテープ巾は出来るだけ狭くするほうがいい。といっても線径くらいが限
 度だが。それから巻いてから気付いたのだが、ポリエチレンテープと芯線の一本一本の間
 にはわずかに隙間が出来る。そうすると芯線は放射状の振動はしないが、円周方向には
 わずかに動けることになる。長い間には隙間から酸化も進むだろう。そこでポリエチレン
 テープを巻くまえにパラフィルムという素材を巻くことにした。これは実験化学用の素材で、
 試験管やビーカーをこのフィルムで空気が出入り出来ないように密封する事が出来る。
 これを巻くとポリエチレン単独よりかなり音がよくなる。
 
4.ホットとアースの線を離す
  ホットとアースの線をどうまとめるか、メーカーでもいろいろ対応が違う。まず、くっつける
 のか、離すのか。くっつけると導体同士がもつ静電電荷が大きくなり、コンデンサーとして
 働き、低域がカットされる。離すとホットとアースのラインで作られるループが大きくなりコイ
 ルとしての働きが大きくなり、高域がカットされる。一長一短である。
  次ぎにホットとアースのラインを平行とするか、撚るかで分かれる。平行とするとコイル
 としての働きで高域がカットされ、低域が伸びる。撚るとループを通る外部磁界と自己
 誘導による磁界は非常に少なくなり、ノイズは減少する。またホットとアースは電流の向
 きが反対であり、それを撚りあわすことでお互いの信号電流を強めあうというメリットが
 出てくる。撚りあわすと互いの銅線の重量を抱くことにより、振動に対して2倍強くなる
 し、いいことばかりのように思える。事実、市販のケーブルはくっつけて、撚るというの
 が大部分で残りは少数が近づけて平行、まれに離して平行というシェアである。
  くっつけて撚るのというのが有力なのだが、ひとつ問題がある。往きの信号電流が還り
 の電流によって汚されるということである。外部からのランダムなノイズというのは誰し
 も気を付けるが、自らの信号がノイズ源になっていることには気が付きにくい。ランダム
 なノイズは単にSN比を崩すだけだが、信号によく似ていてちょっとだけ違うというのも
 厄介なものである。還りの電流は微小時間遅れた自己の信号であり、かつ機器を通った
 際に附加されるノイズが少量乗ってくる。この2つのノイズとも原信号を少しだけ変調した
 ものであり、量的にはごくわずかなのだが、原信号を微妙に汚染する。
  そこで、少しだけ離して撚るという、市販のケーブルに類を見ないアプローチをとるこ
 とにした。しかし、スペーサーの材料として何を選ぶかが難題であった。第一に振動に対
 してきれいな反射音を返してくるものでなければならない。当初木円柱をスペーサーとし
 たが、引き回しに難があった。次ぎに選んだのは1cm径の発泡ポリエチレンである。これ
 は誘電率が高くケーブル材料にも多用される材料であり、被覆とも同じ素材である。素材
 はいろんなものを取り合わせるよりは、一種類に統一した方がいい。また使ってわかった
 が、振動に対して非常に素直な反射を返してくる。これにハンダごてで螺旋状の溝を掘り
 粘着テープでとめる。全体をポリエチレンテープで包む。締めつけることがないように、ゆ
 るむことがないように巻く。
  この作業は時間を食うがその音を聴くと今までの努力が報いられたと感じた。すごく、
 繊細で細かい音の表情が出てくる。特に音場感というものが、圧倒的に優れている。スピ
 ーカー・ケーブル、ピンケーブル、電源ケーブルの順にこの方式にしていったが、変える
 えるごとに飛躍的に良くなった。
 
 5.つるつるした防振シース、ジャケット
  ケーブルの被覆の性状は音に影響する。これまでに布、紙を使った試みはすべてよくな
 かった。絹だろうが木綿だろうが、和紙だろうが、音がかさかさして困るのである。すべ
 て見かけ通り、手触り通りの音がするのである。特にケーブルのジャケットは表面がつる
 つるしていなくてはならない。不思議なのは表面の手触りはFLチューブのように大きな
 デコボコがあってガサガサ、ゴソゴソしていてもいいのである。ポリエチレンの紐がよれ
 てグシャグシャしていてもいいのである。ただ素材そのものの手触りとしてつるつるして
 いればいいのである。これは不思議だ。スピーカーを塗装したり磨くと音がよくなるのと
 似ている。
  FLチューブはポリプロピレン製で多数のケーブルを一束にまとめるのが本来の用途で
 あるが、防振効果がある。このチューブは芯線に付かず離れずといった形で接している。
 音圧がかかってケーブルが揺れるとチューブと芯線は別々のモードで振動する。チュー
 ブと芯線はぶつかり合い、こすれ合う。そのときに振動エネルギーが熱エネルギーとなっ
 て消費されるのである。これに対して粘性、弾性を持つブチルゴム、ソルボセインなどは
 振動をいったん吸収する能力は強いが、あとあと、少しずつ振動を返していくので振動エ
 ネルギーの消費は遅れる。
  最後に最新の試みを紹介する。できあがったピンケーブルを手持ちの2−3万円までの
 ケーブルと比較するとまったく足もとにも寄せ付けなかった。おそらく10万円台のケーブル
 と比較しても勝つのではないか、いい線をいくのではないか。しかし、20万円台のケーブル
 と比較するとさすがに負ける。音の芯の強さということでは一歩も二歩もひけをとる。しか
 し、それでも音場感だけとると私の方が勝ってはいるが。そこでもう少し強さを引き出そう
 と試みたあげく、ポリエチレン・テープ巻きで終わっていた芯線をさらにポリエチレン・ロープ
 をほぐした糸で巻き上げるのである。この糸は比較的固く、またFLチューブに似た手触り
 である。一応タイトに巻くが若干の隙間はあり、これはFLチューブと同じ形で振動を処理
 するらしい。これによってマシュマロみたいに柔らかい発泡ポリエチレンにくるまれていた
 柔らかい音に少し芯が出てきた。またスピーカー・ケーブルに似つかわしい派手な色を
 選べるようになった。