常色山記

周防大島/文殊山・嘉納山2001.1.2

 

  1月2日、晴れ時々曇り、ところによって雨、山沿いでは雪というお手本のような天気予報を
聞いて周防大島にわたる。大島大橋を渡る頃には小糠雨が降っており、行く手を危ぶみながら、
車で道を急ぐ。文殊山は残念なことに8合目まで車道がついているが、今日のように雲行きの
怪しい日は助かる。駐車場に車を置いて少し登ると文殊堂に出る。古いが、思ったよりは小さな
お堂だった。そこから古い石段、整備された登山道の急登になる。30分ほどで文殊山(663m)
つの頂上にくが、風は吹きすさび瀬戸の海は霧でうっすらとしか見えない。大きな木製の展望台
がしつらえてあり、登ると階段が風で揺れた。しかし、幸いにも雨は上がった。これなら景色が
見えなくとも、嘉納山まで行かなくてはならない。平坦で広い尾根道を登り降りを繰り返しつつ、
なだらかに下っていく。この道は昔のひとにとって身近な生活道であり、林道でもあり、戦時は
軍用道にもなった。ここは幕末の「長州征伐」、こちらでいう「四境の役」の古戦場でもあった。
間近に峰が見えたと思うと短いジグザグの急登にさしかかり、嘉納山頂上(685m)に出た。ここ
には砲台跡という円形のコンクリートの基礎がある。風は相変わらずバサバサと音を立てて樹木
を揺すっている。頂上べりの階段で風を避けながら妻と弁当を食べる。ゆで卵の塩味が利いたの
うが何年ぶりかのまさだった。

尾根道より源明寺山を振り返る         文殊山より嘉納山を望む       
 尾根道の帰り、視界の開けたところで振り返ると、うねうねと続く平坦な尾根の窮まるところに
源明寺山の青いシルエットがくっきり見えた。余裕が出たのと明るくなったので尾根道の帰りで
は植物をゆっくり観察した。自然林にはアオキの群生があり、陽が当たり始めたスギ林の下ばえ
では、ヤブコウジ、ヤブランをみた。笹林のなかにはナワシログミ、ネズミモチがあった。気候が
暖かなのでこんな山の上にもあるのだろう。

ヤブコウジ

             右

         ヤブラン

 再び文殊山の頂上に戻り、海峡と琴石山など対岸の山々を眼下に見た。標高よりは高度感の
ある眺めを楽しむ。今日のハイライトである。車で上った分だけ、山登りとしてはものたりなか
ったが、陽が長くなった頃にはその先の源明寺山まで脚を伸ばせば、南の海を見晴らせよう。

ホームへ戻る