耐性導入法と減感作療法の違い

 2003.3.25 upload


a.自己血のあるなし
  まず、方法の違いですが、自己血注射をする、しないこの違いがもっとも目だつ。自己血注射をすると例のシンデレラ・タイムには限界値が上がっている。そうすると無理なく高い濃度のエキスを投与出来る。その結果限界値の上がり方が早く治療に要する期間が大幅に短縮されます。減感作療法の場合、10倍あげるのに4−5回以上かけていますが、耐性導入法では鼻粘膜閾値は1回で平均5倍くらい上がり、皮内閾値は2回で10倍上がるという実績があります。

b.投与方法の違い
  次に投与方法ですが、第1段階では経口、第2段階では皮内です。経口という方法は結局腸管から吸収させていますが、腸管に入ったばかりのところで多数の免疫細胞、つまりリンパ球の監視を受け処理されている。これが経口が効果が高いひとつの理由でしょう。第2段階の皮内と減感作療法の皮下の違いは何か。皮膚の血管が多いあたり、ここは免疫細胞(リンパ球、ランゲルハンス細胞)がやはり多く、早めにアレルゲンを処理する。ところが皮下は免疫細胞も血管も少なく、アレルゲンは時間をかけてゆっくり処理されます。この投与法は「免疫を付ける」のに非常に適した投与方法です。「免疫寛容」を起こすのにはふさわしくない。

c.痛み
  減感作療法のときはグリセリンでスギ花粉エキスを溶解し、皮下注射を行います。これは痛みがあります。耐性導入法のときは対照液(生理食塩水に近いもの)で溶解し、皮内注射を行います。注射液自体から来る痛みがありません。 

d.投与スケジュール
  減感作療法ではおおむね一律に上げていきますが、耐性導入法では第1段階では1回毎に鼻粘膜閾値を測定してその結果で上げます。第2段階でも約2回に1回の割りで皮内反応閾値を測って上げていきます。通院間隔はどちらも1週間毎です。皮内閾値を上げるためには1日の午前と夕方の2回病院に来るか、あるいは1日目の夕と2日目の午前の2回病院に来なくてはなりません。このことだけが、減感作療法より不便なところです。

e.副作用
 減感作療法ではときとして全身性の副反応(アナフィラキシー)が出ることがあります。耐性導入法では第1段階ではまったくありません。第2段階では、皮内注射の濃度が高すぎたときには局所の腫れや痒みが出ることがまれにありますが、全身的な副反応はまったくありません

f.治療期間
 減感作療法は2−3年、耐性導入法では半年から1年。

g.維持
 減感作療法では維持濃度に達したあとも1−2年維持濃度の皮下注射を続けます。耐性導入法は次のシーズンには皮内閾値は下がっていました。ただし、皮内閾値は下がっていてもそこそこ効果はありました。今後、効果が持続するようになる方法をけんきゅうしないといけません。

h.治療成績
 減感作療法では70−80%に効果。しかし、同時に脱落例が多く2−3年の治療を続ける人は2−3割です。耐性導入法では結論は来シーズンになりますが、1万倍くらいから効果が現れています。効果の発現率は高いです。ただし、重症の方では症状が完全になくなるところまでは行っていません。しかし、抗アレルギー剤を飲んでもまったく効かなかったのが、服用しさえすればほとんど症状は出ないと言っています。

i. 減感作療法と耐性導入法はどちらも免疫寛容(免疫解除と考えてください)を起こさせる治療法です。免疫寛容にはclonal deletion またはanergy という仕組みで起こるものとactive suppressionの仕組みで起こるものがあると考えられています。免疫寛容についてはまだよくわかっておらず、この言葉や分類もいい加減です。そこであっさりと前者を免疫寛容Tと後者を免疫寛容Uと呼ぶことにしましょう。免疫寛容Tは完全なもの、永続的なもの、免疫寛容Uは不完全なもの、ときとして後帰りしやすいものということが出来ます。免疫寛容Uは続けて投与していないとときに元に戻ることがあるのです。
そして実際上は減感作療法は免疫寛容Uの方であり、耐性導入法は免疫寛容Tを目指して治療法を考えてきました。

 

減感作療法

耐性導入法

自己血注射    なし    あり
投与法   皮下 最初から経口+皮内
または皮内のみ
投与スケジュール 一律 鼻粘膜:適宜、鼻粘膜閾値を測定
皮内:2回毎に対照を置く進級試験あり
増量 5回で10倍 経口のときは1回で3−10倍以上
皮内のときは2−3回で10倍
副作用 注射部位の腫れ、かゆみ
全身的副反応出ることあり
経口についてはなし
注射部位の腫れは軽度、まれ
治療期間 2−3年 シーズン前8〜10週
維持 1−3年  不要だが、今後検討課題
治療成績   70−80%は脱落、
70%が効果 
2年目で必ず効果あり。
皮内1万倍から効果


 

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