スギ花粉症の免疫療法、

耐性導入法と減感作療法の違い

 2003.3.25 upload
2009.2.2 riveced

減感作療法耐性導入法も「免疫療法」に属します。
アレルゲンを少量から投与して、次第に「馴らしていく」治療です。
それによって免疫細胞の働きかたを変えていると考えられています。
アレルゲンに対して反応しなくなることを目的としています。

両方とも「免疫療法」であり、免疫寛容を誘導するものです。

どこが違うかと言えばまず馴らしていくやり方、実施方法が違います。

減感作療法は
1.皮下に注射する(皮下は免疫細胞はまばら)
2.皮内反応で限界値を設定するが、その後には限界値より多くなっていることがある。  (厳密な濃度管理は行われていない)
3.皮下に注射すれば、1回注射しても長くその場にアレルゲンが残り、持続刺激となる  (休息期間はない)

耐性導入法・経口免疫寛容は
1.食べて馴らすこと
2.厳密に限界値近辺の量を投与すること
3.適度な休息期間を置くこと


腸管は免疫寛容を起こすのに適した臓器です。
目や鼻や気管、気管支などにアレルゲンを投与したら、アレルギーを強めてしまいます。
免疫寛容を誘導するのは腸管がもっとも適しています。


この違いによって働きかける免疫細胞が違うと考えられています。
上記は基本的な違いで、実際面の違いは以下になります。



a.自己血のあるなし
  まず、方法の違いですが、自己血注射をする、しないこの違いがもっとも目だつ。自己血注射をすると例のシンデレラ・タイムには限界値が上がっている。そうすると無理なく高い濃度のエキスを投与出来る。その結果限界値の上がり方が早く治療に要する期間が大幅に短縮されます。減感作療法の場合、10倍あげるのに4−5回以上かけていますが、耐性導入法では鼻粘膜閾値は1回で平均5倍くらい上がります。

b.痛み
  減感作療法のときはグリセリンでスギ花粉エキスを溶解し、皮下注射を行います。これは痛みがあります。耐性導入法はエキスを飲むだけで痛みはありません。 

c.副作用
 減感作療法ではときとして全身性の副反応(アナフィラキシー)が出ることがあります。耐性導入法では まったくありません。

d.治療期間
 減感作療法は2−3年、耐性導入法は花粉症の強さによっていろいろです。普通はシーズンがはじまって症状が出てから始めることが多いので、シーズン前後の数ヶ月、半年 というケースが多いです。

e.維持
 減感作療法では維持濃度に達したあとも1−2年維持濃度の皮下注射を続けます。成功例では効果の持続が長年月あります。耐性導入法では維持治療はありません。また、軽快しても、翌年大量の花粉を浴びると再び、閾値(限界値)が低下し、症状が 再燃することがあります。

f.効果の発現
減感作療法では高濃度に達するまで、1−2年かかります。耐性導入法は即効性があり、初回の注射(内服)後から効果は発現します。完全治癒は1−2シーズンかかります。

g.治療成績
 減感作療法では70−80%に効果。しかし、同時に脱落例が多く2−3年の治療を続ける人は2−3割です。耐性導入法では効果の発現率は高いです。ただし、重症の方では症状が完全になくなるところまでは行っていません。しかし、抗アレルギー剤を飲んでもまったく効かなかったのが、服用しさえすればほとんど症状は出ないと言っています。

h. 減感作療法と耐性導入法はどちらも免疫寛容(免疫解除と読み換えてください)を起こさせる治療法です。

免疫寛容にはT.clonal deletion またはanergy という仕組みで起こるものとU.active suppressionの仕組みで起こるものがあると考えられています。

前者の免疫寛容Tは完全なもの、永続的なもの、後者の免疫寛容Uは不完全なもの、ときとして後帰りしやすいものと考えられています。
投与方法から考えると減感作療法は免疫寛容U、耐性導入法は免疫寛容Tと考えられます。しかし、免疫寛容についてはまだよくわかっていないことが多く、これらのことは確実ではありません。

 

減感作療法

耐性導入法

自己血注射    なし    あり
投与法  皮下 経口
増量 ほぼ一律
5回で10倍
毎回、鼻粘膜閾値を測定して決定
1回で10倍(以上)
副作用 注射部位の腫れ、かゆみ
全身的副反応出ることあり
ない
治療期間 2−3年 シーズン前後の数ヶ月、半年
維持 1−3年  不要
効果の発現 1年以上後 注射の翌日からはじまる。
シーズン中に軽快する。
治療成績   70−80%は脱落、
70%が効果
痛みがなく、スケジュールも自由なので、
治療継続は本人の意思次第。
80−90%に効果あり。


 

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