スギ花粉症の耐性導入法(経口免疫免疫寛容)の発展経過
                   2009.2.12reviced

A.スギ花粉症の耐性導入法の歴史
B.スギ、ヒノキの鼻粘膜テスト
C.自己血注射
D.持ち帰りテスト
E.スギの皮内閾値テスト
F.治療にどのくらい時間がかかるか、どこから効くか
G.減感作療法との違い


A.スギ花粉症の耐性導入法の歴史



1.自己血療法のみの時代
  自己血療法だけしていた。単独でも数時間後から数日効く人もいた。

2.2000年、鳥居薬品のエキスによる耐性導入法 
   アトピー性皮膚炎における耐性導入法にならって考案した。アトピー性皮膚炎が遅発型アレルギーが主体であっても効いているので、純粋な即時型に近い花粉症ではもっと効果があがる と考えた。
   鳥居薬品のエキスは高価なので高い濃度まで経口摂取ができなかった。効果を高めるためには高濃度のエキスが大量に必要だった。

3.2001年シーズン、スギ花粉エキスを自作。
   この年は前年に較べて花粉が平均10倍、ピークで1000倍飛んだ。原液濃度 まで摂取しても効果が不十分な患者もいた。かならずしも摂取濃度だけで効果が決まるわけではなかった。

4.2001年シーズン終了後、原液濃度まで摂取したひとは皮内注射に切り替えた。皮内に注射すれば服用するよりは大量に体の中に取り入れることになるからである。

5.1−2年、皮内注射を併用して見たが、効果は不確実という結論になった。ときどきしなければならない、皮内閾値のテストの判定が曖昧で濃度を濃くしていくことが困難である。経口だけに戻す。

6.2008年、食物の耐性導入において、微量連続摂取が好調なので、スギ・ヒノキについても微量連続を一部取り入れた。

7.2009年、限界値の検査は鼻粘膜を使うより、眼瞼結膜を使った方がより鋭敏であることがわかった。


B.スギ、ヒノキの眼瞼結膜テスト(ときに鼻粘膜テストも行う)


@スギ花粉エキス原液の10倍希釈列が用意されています。
 M0が原液、M1は10倍、M2は10倍,......M10は100億倍に薄めたものです。
 ※番号が小さい方が濃いので注意してください。
 ※10万倍とか、100万倍というとき、もちろん10万倍希釈、100万倍希釈の略です。
(以前は3倍希釈列で作っていましたが、あまりにも本数が多くなるので10倍希釈列に切り替えました。)
Aヒノキ花粉エキス原液の3倍希釈列が用意されています。
 #0が原液、#2は10倍、#4は100倍,......#12は100万倍に薄めたものです。
 同じく#1は3倍、#3は30倍,......#13は300万倍に薄めたものです。
(ヒノキの方は以前と同様3倍希釈列のままです。)
B指定された番号のエキスから鼻粘膜テストをします。
エキスを綿棒に浸して両方の眼瞼結膜に塗って1分のタイマーをかけます。
C1分後までに症状が出なかったら、ひとつ濃いめのエキスを塗ってください。(ひとつ少ない番号のエキスを塗ります)。
D症状が出たらテストは終了です。その番号が鼻粘膜閾値(限界値)です。薄いほうから少しずつ濃くしていくので症状そのものはかなり軽いので注意してください。(出てくる症状 は、痒い、鼻水、くしゃみ、違和感、眼瞼結膜の充血、顔面の紅潮(主としてアトピー性皮膚炎患者)など)


C.自己血注射

院内で自己血注射をします。おとなは生血(なまけつ)をしますが、子どもは冷凍保存血を使うことが出来ます。

D.持ち帰りテスト

スギ、ヒノキ花粉エキスの閾値を自宅で測定できるよう、持ち帰りセットを作っています。持ち帰りテストを行うことにより、効果的に鼻粘膜閾値を上昇させることが出来ます。
例 3月6日午後3時(自己血注射直前)テスト
   スギM13から開始し、M11で(+)
   ヒノキ#13から開始し、#8で(+)
                    
  3月6日午後9時(自己血の6時間後)テスト
   スギM13から開始し、M9で(+)
   ヒノキ#11から開始し、#4で(+)
   同濃度すなわち、スギM9の1mlとヒノキ#4の1mlをコップ1杯の水で飲みます。
   ※飲むのはこの回だけです。
   ※開始濃度は前回成績を見て多少引き上げてもいいです。 
   ※時刻は6時間後が都合が悪ければ24時間後まで変更可です。

  3月7日午後3時(自己血の24時間後)
   スギM11から開始し、M9で(+) 
   ヒノキ#8から開始し、#5で(+)
   ※自己血で上がった閾値が24時間後まで維持されているのを確認するためです。

  3月13日午前7時(自己血当日)
   スギM11から開始し、M10で(+)
   ヒノキ#8から開始し、#5で(+)
   ※当日医院の中で待つ必要がなくなります。


E. 効果発現までに要する時間と治療期間

  まず、鼻粘膜閾値がM0、#0に上がるのにどれくらいかかるか、ということですが、初回の閾値にもよります。例えばM30のようにいくらでも低いひと がいるので一口には言えません。また、急速に上がる人がいる一方で治療に抵抗するひともいます。

一方、はじめからもM0というひともかなりいます。 明らかな症状があり、RASTでも陽性であるにもかかわらず、鼻粘膜閾値が測定されない方がいます。なぜかは不明です。このときは経験から適当に低 いところから、段々濃くしていきます。たいていはこのやり方でも効果があります。シーズン中に始めた人では後で閾値が測定されるようになる場合もあります。

個人の免疫的状態の方が影響が強く、アトピー性皮膚炎を持つひとと重症かつ、長年月罹患していた花粉症のひとは非常に長くかかります。それ以外のひとですと、数週間−10数週間で M0に達します。
  


F.微量連続摂取法

まだ、試験的にしている方法です。閾値が原液濃度までに上がってきたときには、6番から10番くらい薄いエキス1mlを渡し、それを500mlのペットボトルの水で薄め、冷蔵庫においておきます。その希釈エキスを5ml(ティースプーン1さじ)ずつ1週間毎日飲んでもらいます。1週間後自己血をし、希釈用のエキスの番号を1つずつ上げていきます。



G.減感作療法との比較



減感作療法は唯一の原因治療法でしたが、耐性導入法はいろんな点で減感作療法より優れています。
 

  減感作療法 耐性導入法
自己血注射  しない する
投与法   皮下 経口
投与スケジュール 一律 1回毎に鼻粘膜閾値を測定して決める
増量 5回で10倍 経口のときは1回で5倍以上のことも
「進級試験」 なし
ただし、副作用出れば減量
毎回閾値を測定している
副作用 注射部位の腫れ、かゆみ
全身的副反応出ることあり
なし
 
即効性 あり なし
治療期間 2−3年 シーズン中のみ、長くとも半年
維持 1−3年  不要
治療成績   70−80%は脱落、
70%が効果 
85%の患者に効果。速効性がある。
2003年度、スギ花粉症治療成績のまとめ

耐性導入法と減感作療法の違い も参照のこと。

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