常色山記
高鉢山 705.8m
広島市安佐北区
2002.2.10

  高鉢山は白木山の向かいのボリュームのある山で前から登りたかった。県道広島向原線を北上し、狩留家で右に分け入り、人家がとぎれたあたりで渓流沿いの道が始まる。林道を突っ切ったところで眺望が開けた。枯れ草、木立の色にも冬枯れとは違ってどことなくモワッと赤い色合いが感じられる。スギは鉄錆を浴びせたかのように赤く、春の蠢きを感じさせる。冬至を過ぎると植物は春の準備に入るのだ。白木山の方を見ると実に雄大で嬉しくなる。ひとは大きなもの、雄大なものを見るために山に登るのか。

白木山の西端にかかる雪雲

  スギ林に入ってまもなく登山道は左に折れる。この曲がり角には県の山岳連盟の方が登山道でない方にスギ丸太で進入禁止の印を作ってくれている。道は行けども行けどもスギ・ヒノキ林であり、斜面を直登するので急勾配である。パラパラと降ってきたものがある。見ると砂粒ほどの大きさの小雪で半ば雹と化している。寒冷な気団と温暖な気団のなかで風に揉まれて出来た雪なのであろう、都会で見る雪と違って硬くしまっている。今夜は積もるのか。急勾配は尾根近くまで続いた。スギ林が尽き、ナラ、アベマキ、ヒサカキの植生になった。急坂のためふくらはぎは引き延ばされるような感じがする。尾根はしばらくは緩やかであったが、すぐに急勾配に戻った。今日は道の温度表示で3℃、天気は寒冷前線が南下し、山沿いで雪の予報であった。風があり、体感温度は0℃をとっくに切っている。登山口で見た向かいの白木の勇姿を見たいのだが、木立ちに遮られてほとんど見えない。特にデジカメでは枝越しの景色は精彩を欠く。この日は曇り、雪、日差しが刻一刻とせめぎ合い、頂上についたとき日差しが戻った。何もない頂上である。薪の燃えさしと登頂記念の古い板がまばらにかかるだけの何もない山頂である。冷たいむすびを喰らい、冷めてきたお湯を飲み干すとただちに帰途についた。帰りには一時雪が強くなり、ザラザラと音を立てて雪がレインコートを滑り落ちた。予想通り、帰り道はかなりきつかった。駆け降りては木に手をついてスピードをゆるめながら駆け降りた。この間デジカメの写真を取るべき場所がまったくなかった。そこで登山道入り口近くで今朝、目に焼き付けた景色を撮った。また、車で白木の方まで行って高鉢山の遠景を撮った。その頃には春の陽気を思わせる天気になった。今日は天気も晴れと雪、季節も冬と春を交互に体験した。高鉢山は眺めはないが、トレーニングにはいい山である。

白木山口から見る高鉢山の木々は春が近いことを感じさせる。
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